名CM考Ⅱ おまけ
名CM考ってのは実は120作品(本作品100、余談枠18、あとがき1、おまけ1)で成り立っている。ということは合計240作品なんだな。
で、最近こんなCM見たことあるか?
1994年 三菱銀行
まだ就職氷河期世代の先頭とは言え「がんばれ、平成6年組!」とかいう位には実はまだこの時代就職があったし同期を気にするほどにはまだ終身雇用の幻想が維持されてたんだ。ここには間違ってもインディードとかリクルートエージェントなどのCMは流れてこない。いかにルーキーが必死に真の社会人になるかの成長譚がまだCMにあったんだ。
まあ1993年就職活動で1994年大卒入社ならまだギリギリ就職氷河期にひっかかなかっただけ、なのかもしれないけど。(※この国は高卒現業からリストラしたので1994年の高校新卒・専門学校新卒は既にフリーター地獄。つまり就職氷河期とは現業職・低学歴層から襲って来た社会現象なのだ)
例えば「がんばれ! 令和5年組!」なんて今の大人が言う? そのくらいに今の大人って50代、40代、30代が劣化したよ。そりゃそうじゃん。都合よく派遣を使い捨てる事を覚えたら新人を大切に育てようなんて思わないよね。
「新入社員に、給与口座もう決めた?」とか「ボーナスは~へ!」なんて流れなくなったらそれ「経済終了」のお知らせです。冗談抜きで。そうでしょう? 何のためにボーナスをもらうんだよ。そしてボーナス商戦って何のためにあるんだよ。
・ボーナス商戦
・クリスマス商戦
・お歳暮は~
なんてのが聞こえなくなったその国の経済は完全終了です。だから日本って終わってるよね。だって今の三菱UFJ銀行が流すCMは大谷選手です。でも大谷というインチキ級に強いキャラを流しても一般人には大谷という人物は「漫画」にしか見えないんだ。それ、全然勇気とか感動はもらえないんだ。このCMのように無名のどこにでもいる新人の奮闘記を流さないと一般人は絶望するんだ。だってそうだろ? じゃあ君は大谷になれるか? 無理だろ?
そういう人間の心を平成後期とか令和の人間は失ってしまったわけ。
なんでこの新人が積極的に電話を受け取ってると思う? 「必死に頑張れば報われる」と本気で信じているからだ。だから腐らないんだ。いつか部長や課長のようにいい生活してみせると本気で信じてるわけ。ここには「転職」って発想がないんだ。逆に同期が気になるほど昇進レースの方が気になるくらいに安心して働けるからなんだ。違うか?
で、平成6年組の大企業ホワイトカラーサラリーマン元部長・元課長の皆様へ。今の人生報われてます? そうですよね。むしろ役職定年導入とかになったんですよね。「話が違う!」と言いながらヒラ(厳密には主任や係長級)に降格されたんだよな。53~55歳ぐらいでいきなりヒラに落とされたり「早期退職勧告」されたりしたんだよな? そんな自分を見て「がんばれ! 令和5年組!」って新人に心から言えるか? 言えないよね。
CMって大事だよ。だって「世相」が分かるんだから。社会学という学問ががなんでCMを研究・分析するか分かったかい?
=真・END=