名CM考Ⅱ 第五二回 2003年 UFJ銀行 「UFJ24」

見てください。この必死さ。つまりATM手数料でなんとしてでも銀行を維持しようとしたのです。もちろん産業史的にも画期的です。今のATMは24時間じゃないんで。つまり退化したんですね。ネットバンキング?それはATMに比べたら使い方面倒でしょ?もちろんゼロ金利の時代です。企業にお金を貸しても全く利益にならないので預金者からお金を取るというみっともない組織に堕ちた。それが日本の銀行の現実です。これは今でもそうです。
なぜ信販会社ですら不可能な「24時間コールセンター」対応可能なのか。派遣を安くこき使ったから、ですよね。それだけ当時は人が余ってていくらでも低賃金でこき使えた。深夜割増賃金を当時の東京都最低賃金並みプラスアルファにすれば。 ザ・デフレです。経済の事を何も考えない銀行って何だ?

実は本当はここに「あさひ銀行」が入ってUFJ銀行になるはずだったのに勝手に三和銀行が入ったためにあさひは離脱。そして残った大和銀行とあさひは合併して出来た「りそな銀行」は2003年発足年からなんと国有化されます。当時の日本はそのくらいの危機的状況だと思ってください。世が世なら東海+あさひ=UFJだったのです。

なぜあさひ銀行、要は埼玉銀行の事ですよね。なんで離脱したのかというと三和銀行に飲み込まれることを恐れたからです。東海とあさひだったら「スーパーリージョナルバンク」つまり「超・巨大な地方銀行」として生き残ることが可能だと彼らは思ったのです。しかしそこに三和が入ってきたことであさひは逃げ出したのです。そして残った旧東海銀行員に悲劇が襲います。

「緑化政策」と言って東海を飲み込む政策に旧三和陣は出たのです。規模が違うしね。つまり「UFJ銀行」とは言ってるけどこれ実質「三和銀行」なのね。なんで「緑化政策」と言ったのかと言ったら三和銀行のコーポレートカラーは緑だからです。つまり看板のワインレッド色からして大嘘です。

そんな銀行がまともなはずがありません。不正・隠ぺい・改ざんを金融庁に内部告発されました。また三和銀行は日本信販などの「みどり会財閥企業」の中核ですがものの見事に不良債権の山で瀕死です。よって二重の意味で金融庁検査を受けます。なぜかみどり会に所属していないダイエーが最悪の不良債権額だったようですが、ね。

※半沢のモデルはたぶんここ「UFJ銀行」です。ただし銀行員のモデルとなった人物はなんと優良銀行の三菱銀行員だったのだとか。意外です。

筆者注

そして国によって事実上強制的に東京三菱と合併、三菱東京UFJ銀行となりこれが現在の三菱UFJ銀行ですがなんのこっちゃない。事実上の三菱銀行です。社名から「東京」が消されたように今度は自分がしてきたことを相手にされる時がやってきました。因果応報ですね。UFJ銀行は4年で消えることになったのです。

私はね、そりゃ当時のあさひ銀行経営陣が逃亡する理由がよくわかりますよ。そりゃまだ大和銀行とくっついて国有化される方がマシだ。

ここで読者の皆さんは「何で旧三菱銀行だけ傷が浅いんだ?」とか思うのかもしれませんが当時の三菱銀行ってバブルになってもあまり興味を示さず三菱財閥だけのことを考えて堅実に融資をしたからだそうです。

このように21世紀初頭の日本は何度も言うようですが銀行という資本主義の心臓部分が心停止状態だったのです。不良債権処理額は実に100兆円です。もはや天文学的数字すぎて意味不明です。我が国の2023年の国家予算約1年分です。(※このうち新生銀行だけはいまだにバブルの不良債権処理が2023年になっても終わっていません。新生銀行というのはつまり長銀の事ですよね)

2009年頃にバブルの不良債権処理が新生銀行以外で終わりますが、そうですね。2009年というのはリーマンショックで日本はより瀕死状態になっていきます。

そして日本国は2011年3月11日に事実上死亡します。今の日本国および日本国政府ってじゃーなんだよということになりますが……。

答え:「ゾンビ」

という事になります。

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