名J-POP考 第70回  徳永英明 『壊れかけのRadio』

ドラマ『都会の森』の主題歌です。


この人はジンクス破りどころかこの時期(1990年)になんとアニメ主題歌歌ってたんですって。とんでもない人ですよね。普通なら世間から即「オワコン」の烙印が押されるのですが逆なんです。この人は逆なんです。なんとアニメ曲で音楽界を昇っていくんです。異端児です。当時の少年の生きずらさを歌った貴重な曲でもあります。

思春期に 少年から 大人に変わる
道を探していた 汚れもないままに
飾られた 行き場のない 押し寄せる人並みに
本当の幸せを教えてよ 壊れかけのRadio

心が純粋すぎる。下手すると徳永自身も世間に心を壊されそうだ。よく、こういう歌詞を作れたもんだ。2021年なら不可能だ。

『都会の森』って少年犯罪とか教え子と……。なんて内容で重苦しいです。ただの裁判ドラマじゃないんです。主人公は検事一家であることに反抗して弁護士人生を選ぶんです。で、最初に任されたのが簡単な窃盗事件という事なんですが……。

どうですか。やっぱり今と違いますよね。作り手も視聴者も大人です。不登校になった中学生とパソコン通信でやりとりして心が開くシーンとか。

というか「子供を守るのは大人だ」という当たり前のメッセージが伝わってきます。もちろん主題歌にも。だからこの時代は「親ガチャ」・「子ガチャ」なんて言わない。親の財力的な格差があったとしても社会がそれをどうにかするという連帯がまだあったんです。公助もあった。当たり前ですね?「自己責任」なんて言う子供じみたセリフは言わないし少年に自己責任なんてあるわけがない。児童福祉って、じゃ何だって話になるわけでして。少年法とか。

少年を厳罰にするのは簡単な話ですよ。でもそれって教育放棄・大人失格なんですよ。罰を与えたら再起不能になるだけ。よっぽどの凶悪犯罪じゃない限りはね。

人は罪を償うことができる。デジタルタトゥーで「ざまぁ」してるやつに言いたい。「お前は大人失格なんだよ!」罪を償うために「前科」は消えるんだ。

ちゃんと社会科で教えてくれませんかね。「前科」って物の意味を。罪って一生償うものですか。そんなことしたらゲルマン法の復讐権の世界ですよ。それじゃ社会は持たないから時効も前科の消去もあるんです。人間は立ち直れるんで。

私の言ってる意味がわからなければ「大人」を今後二度と名乗らないでください。30代・40代・50代・60代の「おこちゃま」として謙虚に過ごして。マジで。

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