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『新しい放置ゲーム』とその可能性

これはわんど100の3番目の記事です。

放置ゲームは0人ゲームか

前回記事で0人ゲーム(シミュレーション)の例として放置ゲームを上げたのですが、
少し雑で、例に上げたクッキークリッカーを始め、ほとんどの放置ゲームはリソース管理の要素を持っており、1人ゲームに属するのではないかという話がありました。正しい。

とは言え、記事としては、放置ゲームのシミュレーションパートのメカニクスに惹かれた。ということで、放置ゲームの放置パートについて言及しているものとしてください。
インタラクションの薄い多人数ゲームがソリティアやパズル要素で構成されているようなものでしょうか。

新しい放置ゲーム(1).file

実際、放置ゲームには数字が増えるシミュレーションとしての面白さと、
効率化を計算して選択肢を決める面白さの両方が存在します。

今日はリリース当初から半年に渡って楽しんでいる、しゃく(suunn)さんの新しい放置ゲーム(1).fileについて紹介します。

ちなみに新しい放置ゲームというのは新規性を主張しているわけではなく、2番目に作った放置ゲームなので、OSのファイルコピーの命名規則に沿って「新しい放置ゲーム」と命名されたもののようです。


※ネタバレ注意

本ゲームは初期段階でゲームの要素の多くが伏せられており、
実際にゴールに到達するまで
目的が明かされないため、

  • Wikiを読んで目的を先に知るか

  • 闇雲にポイントを稼ぐか

というプレイ方法を選ぶことができます。

以下、ゲームの中心となるシステムについて語るにあたって、
初期段階では明かされていないシステムのネタバレを含みます。



発生器を増やす発生器

クッキークリッカーなどの放置ゲームのシステムは、
生産器を購入することで、直接生産量を増やしますが、
新しい放置ゲームはそれより下の生産器(このゲームでは発生器)の個数を増やすことができます。

これにより、すべての発生器が効果を持つため、放置ゲームでよくある
「下位の生産器がポイントの発生にほとんど貢献せず、テコ入れ的な生産器アップグレードが入ったり入らなかったりする。」
みたいな現象が発生しません。

また、モードを切り替えることで、下位の生産器ではなくポイントを直接増やすように設定することもできます。

ポイントを直接増やすモードを強制されるプレイの実績欄には「古い放置ゲーム」とあるので、ここが新世代と旧世代の放置ゲームをわける要素とされているようです。

挑戦システムと効力システム

発生器のメカニクスはそこまで特筆するものでもないのですが、
このゲームには挑戦システムという目玉機能があります。

挑戦システムを簡単に説明すると、

  • 放置ゲームに対して、なんらかの制約を加えた上で1e18ポイントを目指す。

  • 制約は8種類(挑戦1〜8)あり、重ねがけすることができる。

  • すなわちそれぞれ難易度が異なる 2^8-1=255個の挑戦がある。

挑戦システムがあることで、

  • 稼いだポイントの上限値を高めること

  • リセット回数を増やすこと

  • 挑戦を達成すること

がゲームの主目的となります。

255個の挑戦システムが、それぞれ通常の機能や計算式を一部取り除いただけで、なんら新しい要素を加えていないにも関わらず、
挑戦同士の相性などから、ゲームのフェーズを8段階ほどにわけており、

それぞれのフェーズで挑戦に立ち向かうための手段としてゲームが拡張されていきました。

255個の挑戦は昨年8月の公開から半年以上経過した22/2/21に達成されました。一区切りですがその先もあり、まだまだゲームは終わりません。

ちなみに、現在ポイントの倍率に関する因子は16種類あるようです。
非常に複雑そうですが、ゲームのフェーズに応じた解禁のおかげで複雑さは感じず、
「繰り返しに飽きてきた頃に新要素が投入される」
ような、段階的ルール解禁に近い設計となっています。

繊細、純粋、多彩

あーくさんが以前アナログゲームに求める3要素として、
シャニマス『シャイノグラフィ』の歌詞に例えて
繊細、純粋、多彩を上げていましたが、
『新しい放置ゲーム』にもこの特徴が当てはまる気がします。

繊細、については放置ゲームなので、時間で解決することも多いのですが、
下手な設定をすると達成までに数世紀を要するものになる
といった指数/対数由来の計算式による大変さがあります。


純粋かつ多彩については、
前述の「挑戦」システムを始めとした、いくつかのゲーム要素から
各フェーズでやることが違う多彩なプレイ体験が生まれています。

後付けで要素を足してゲームが壊れないのすごいけど、
一体どんなバランス調整を行っているのか、
と思っていたのですが、

数字のセンスが良いのはそうとして、
上限値や対数、二重対数的なソフトキャップなどを利用して、
それぞれの要素の価値をうまく変化させることで強固な設計を実現しているようです。なるほど。

ストロングスタイルの放置ゲーム

純粋な要素がむき出しであるがゆえ、
荒削りなところも多く、決して万人におすすめできるゲームではありません。

  • ブラウザを開いているときしか進まない

  • バックグラウンドのタブで進むかも怪しい

  • 開始早々に丸一日待たされる、その間できることがない

  • 待てば良いだけかと思いきや、数分おきの手動操作を数百回やることが推奨されるフェーズに突入して、進めないところがある

    • (個人的には放置よりこちらのほうがツラい)

    • とはいえ、戦略的に優れてなくても放置して数字を増やす手段はあるので進めることはできる

    • けれどもいつかは向き合わなければいけない

など。

けれども、かつてクッキークリッカーがそうであったように、
純粋で奥深いゲームが作れるメカニクスは、
未来のゲームがこぞって取り入れるような、可能性を感じます。

自分がこういう数字が増えるのを楽しめるタイプなのはわかっていて
世間では一過性の流行かと思っていたのですが、
クッキークリッカーのメカニクスはその後のスマホの放置ゲームの主流の1つになり、
「これは自分だけが楽しめるものではなくて、みんなをハマらせるメカニク
スだったのだなあ」というのが当時の1つ発見でした。

「ペンシルパズル」というゲームが流行って欲しい / ゲームの中でのパズルの立ち位置

後記

週末に美容院に行ったのですが、
家にいる時間が増えたことで(美容師さんの)ゲームをやる時間が増えた話になり、
何のゲームやってるか聞かれて、「ここ半年、新しい放置ゲーム以外のデジタルゲームをやってないな」と迷ってる間にカットが終わった。

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