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十進法のススメ
今日はわんど100ではなく、
なにかAdventCalendar2021 14日目の記事です。
3ヶ月以上の遅刻!
学問作り直しについて
もし、文明が滅んで学問を再構築しようとなった時、
既存の体系を一部変更しようという動きがあります。
こちらがそのリストです。
目から鱗。文明が滅んで学問を作り直すときにやることリストが増えた。
— 吉田匠 (@takuYSD) July 17, 2019
・10進数はやめて12進数か6進数にする
・1週間は6日にする
・数字と文字で同じ形を使わない
・時差は撤廃、世界標準時のみ使う
・左手系座標は法律で禁止する
・電流の向き
・円周率は半径に対する円周の比(New!) https://t.co/0b4El9gk3p
もっと合理的な決め方があったが、現状そうなっていないし、文明崩壊でも起きない限り変えられないものリスト
と言い換えることもできます。
実際に文明を再建する必要に駆られた時に、従来の体系と新体系のどちらを選ぶかはともかく、
おおよその項目に関しては合理性を認めます。
しかし、位取り記数法に関しては、本当に10進数から12進数に変えたほうが良いのでしょうか。
12進数派の意見
12進数がいい理由。結論から言うと約数が多いと便利だから。そもそも10はたまたま人間の指の数というだけの、2と5でしか割りきれない半端な数字。10個入りのお菓子を3人や4人で分けようとすると誰かが我慢しなければならない。一方、12個入りなら2、3、4、6、12人で分けられる。争いの無い世界。(続く)
— 吉田匠 (@takuYSD) July 18, 2019
その他にも2分割、3分割、4分割が全てできるという恩恵は色々あり、実際色々な場面で12の倍数は使われている。60分、24時間、360度など。12をひとまとまりとすることで、便利な数を表記上シンプルに書けるようになる。12→10、24→20、36→30…(続く)
— 吉田匠 (@takuYSD) July 18, 2019
数を数えるのに指の数が足りないと言われるかもしれない。そういうときは2進数を使えばいい。1023まで数えられる。私はプログラマなのでコンピュータで使いまくる8進数や16進数がいいという主張も理解はできるが、実生活では使いづらいと思う。10進数よりはましだけど。以上が12進数がいい理由でした。
— 吉田匠 (@takuYSD) July 18, 2019
約数が多いというのは確かに12の利点ですが、
10進数を利用しているからといってお菓子を10個にする必要はなく、
お菓子を12個セットにするために12進数を利用するわけでもないです。
日常生活に使う数で、進数に依存しているものというと、貨幣の種類やテストなどの点数、ペンシルパズルの標準サイズなどでしょうか。
これらは変わったところでそんなに影響なさそうです。また、ペンシルパズルの標準サイズは進数に依存せず10にしたいところです。
一方で、ある数がある数で割り切れるかどうかの判定には進数が大きく関わってきます。
12進数の倍数判定法
10進数で3の倍数かどうかは各桁の和を合計して、3の倍数かどうかを調べるという方法で判定できます。
これを12進数に当てはめるとこうなります。
![](https://assets.st-note.com/img/1647865361001-6bejy3HCvG.png)
確かに下一桁を見るだけで判定できるものは増えていますが、
5の倍数についても、7の倍数のような特殊な倍数判定を行わなければならなくなっています。
12進数の数を5の倍数か判定する方法です
— あせろら (@EatenGrapes) April 1, 2021
一番上以外10進法表記です pic.twitter.com/YogQUuhLST
これは10進数ユーザー向けの12進数の倍数判定法ですが、
12進数の世界では、2桁ごとに交互に足し引きする操作が5の倍数判定法として使われていることでしょう。
十進法のススメ
2や3に次いで、使用頻度の高い素数である5の倍数の使い勝手が悪い時点で、12進数は使い勝手が悪い可能性があります。
時間などの単位やダースでは12進数に近い基数法が用いられていたわけですから、12進数の利便性が高ければ日常的にも12進数が用いられてたのではないでしょうか。
森博嗣『すべてがFになる』では、10進数の7、16進数ではB(11)とD(13)が他のどの一桁の数とも互いに素な、孤独な数として挙げられています。
同様に、6進数では5が、12進数では7と11が孤独な数になります。
孤独な数の割合が少ないのも10進数の利点と言えるでしょう。
特殊な倍数判定
10進数の世界で7の倍数判定をするのに
「3桁ごとに区切って足す」という手法が使えます。
例えば123654は3桁ごとに区切って足すと
123+654=777となり、7の倍数であることがわかります。
これは
1001 = 7 * 11 * 13
であることを利用しており、10進数独自の倍数判定と言えそうです。
(13の倍数に関しても同じことが言えます。)
こういった倍数判定は他の進数でどうなのかというと、
12進数の1001は10進数で1729、
1729といえば、3乗の和
12^3+1^3 = 10^3+9^3
で知られるタクシー数なので、13(12+1)や19(10+9)で割り切れ
1001_(12) = 1729_(10) = 7 * 13 * 19
と表せるため、実は12進数でも7の倍数や19の倍数判定で同じ3桁ごとに区切る手法が使えます。 (by じょのさん(@jono0819))
便利ですね。
おまけ: 10進数という表記をやめたい
忘れないうちにこのリストに足しとこう
— わんど (@wand_125) March 20, 2021
0からNまでの記号を使う位取り記数法をN+1進数と呼ぶ命名をやめてN進数などにする
(10進数の10は何進数で10?ってなるけど、9進数と呼べば不都合は生じにくいので) https://t.co/CV9EiCUN1F
ところで、6進数を使ったとしても10進数を使ったとしても12進数を使ったとしても、
その進数を使っている人は自分の使っている進数を10進数と答えることになります。
これは命名が悪いし、9進数、もしくは9+1進数と呼ぶなどすれば混乱は防げそうです。
文明再建時と言わず、今からでも変えた方が良い
最後に
12進数を推している人も、実際に12進数を使って生活しているわけではない、12進数エアプのまま話しているのではないかと気になったため、
倍数判定法に着目して10進数と比較し
・10進数には一見半端な数に見えるが、倍数判定において利点が存在するかもしれない
・12進数派は5の倍数の煩雑さを無視しがち
といった考察を行いました。
とはいえ自分も10進数以外の体系で生活したことはないので、
本当に使い勝手の良い体系がなにかは気になるところです。
ぜひぜひ、他の進数ユーザーの声も待ってます。
協力
じょのさん、フライパン職人さん、思考エンタメDiscord"学問作り直し"チャンネルのみなさん