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アメリカ大学院入学への道のり⑥急展開

学部長からの連絡で、大学内にある語学学校のような教育機関IELP (Intensive English Language Program)で大学院生向けのクラスを取ることを勧められた私。可能性が少しでもあるならアドバイス通りにクラスを取ろうと決め連絡をとってみると、翌朝そのクラスを受け持っている先生からメールが。「S教授から話を聞きました。今日キャンパスに来れますか?」


今日か。という急な展開に驚きつつ、特に予定もなかったので夕方その先生と会うことに。またしても普段よりややきれいめな服を選び、そわそわしながら大学のキャンパスに向かいました。

迎えてくれたL先生は、知的さと柔らかさを合わせもったような雰囲気の先生。案内された彼女のオフィスには、暖かい間接照明に、少なくも一つ一つが大切にされていることがわかるようなインテリア小物。大学構内であることを一瞬忘れそうになりながら、言われるまま椅子に腰掛けました。

Graduate Reading Strategyと名付けられたそのクラス。L先生がプリント類を見せながら、シラバス、課題の内容、スケジュール、評価方法などについての簡単な説明してくださるのですが、この時の私はどうにもまだ飲み込めていなかったように思います。ただ、質問はあるかと聞いてくれた彼女に、不思議と率直にそのままの気持ちを伝えることはできたのです。

「正直なところ、全体像というか
これから自分が何をするのかよくわかっていなくて…。」

それを聞いたL先生、合否結果待ちという私の状況を察し、微笑み、いや苦笑いだったかもしれないけれど「もちろんそうよね。」と笑ってくださいました。

「S教授からあなたが出願している旨は聞いているし、Applied Linguistics(私が出願しているプログラムの学部)とIELPはこまめにやりとりする関係だから何かわかることは私も確認してみるわ。」と。

その後IELPのオフィス内、学生用のラウンジやPCルームやチュータリングデスクなどを案内してもらい、そこから事務の先生にバトンタッチ。
気さくな雰囲気のこの事務の先生は、なんと日本の方でした。L先生にお礼を言い部屋に案内されながら、日本語で会話できる安心感で私は途端にふにゃりとなっていました。

薄い黄緑の紙を取り出した彼女は、時折たわいない話をしながらも名前、住所、電話番号、と私の基本情報をフォームに書き込んでいきます。その後手慣れた様子で大学のシステムらしい画面に色々入力したかと思うと、あっという間に私の学生仮登録が完了。

「IELPの入学許可はもう降りたことになっているから、あとはこの紙を持って今日明日中に教務課に行けば間に合うから大丈夫!今行けばまだ開いてるから、今日行っちゃった方がいいかな。」

そう言うと、彼女はキャンパスの地図を取り出し現在地と教務課の建物のあたりに蛍光ペンでささっと印をつけると手渡してくれました。よくわからないことだらけの色々を日本語で聞きたい気持ちに後ろ髪引かれつつ、事務室を後にしました。

彼女のくれた地図とスマホのMapをぐるぐるしながら慣れないキャンパス内を何ブロックか歩くと、移転のために一時的に作られた質素なプレハブが。プレハブの一つ、教務課と案内板のついたそれに入るとさして並ばずに順番が来ました。受付のお姉さんに「このクラスを取りたいんです…けど。」黄緑の紙を差し出します。

「OK〜」すぐに脇のPCでかちゃかちゃと何かを検索し、黄緑のフォームと照らし合わせながら小声で何かを確認するお姉さん。キョロキョロしてしまいそうになる自分を抑えながらカウンターに視線を落とす私。

「はい、これで登録できたわよ。」
「あ、、え。ありがとうございます…。」



この辺の記憶は曖昧なのですが、たしか教務課について5分も経たずして本登録が完了し学生番号をもらい。
トントン拍子とはこういうことなのか、この日私は州立大学の学生になったのでした。


後から知ったのですが、S教授と面談したのが4月最初の火曜日、クラスを取ることを勧められたのが翌日水曜日、担当の先生からメールをもらい急遽会いに行ったこの日は木曜日。その翌日である金曜日がタームの授業登録最終日、というギリギリ間に合うタイミングだったようで、ラッキーだったというか、深く考えるとヒヤッとするというのか。

ともかくこうして、急きょこの翌週から大学内の語学学校生徒としてのキャンパスライフが始まりました。
つづく

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