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プリンをプッチンしたかったんだ
世の中には2種類の人間がいる、幼少期にプリンをプッチンするのを許された人間と許されなかった人間だ。
私は後者だった。 つまり許されなかったのだ。
当時の私は、プリンをプッチンすることに対して猛烈な憧れを抱いていた。
しかし母親は「洗い物が増えるからやめて」の一点張りだった。
結局私は最後まで母親という高い障害を超えてプリンをプッチンすることができなかった。正直今でも母親に若干の恨みを抱いている。
今さらだけど、あのときプリンをプッチンすることで得られたであろう喜びと達成感は、きっとなぜ「このつまみを折るとプリンが落ちてくるのだろう」というハテナに繋がったと思うのだ。するともっと賢い子になってたはず。
今日そのことを母親に話しながら人生で初めてプリンをプッチンした。わくわくしながら食べたけど、十数年の思いを乗せてプッチンされたプリンはいつもと変わらない味だった。
食べ終わると母に「洗い物そのままでいいから早くお風呂に入っちゃって」と言われた。
なんだかんだ母親はいい人だ。
end