日本語の来歴とその構造
日本語がどのように現在の日本語になったのかをざっくりとまとめたい。
日本語の祖語
日本語の祖語がどこで生まれたかは定説がないと思われる。
以下は、個人的な推測である。
日本祖語は世界の最古の部類に入る言葉でProto-human language(世界祖語)にかなり近いのではないかと考えている。
約3万年前、スンダランドの端っこ、現在の台湾周辺に居た人々の言葉が次のようなルートで日本列島に伝わったのではないかと考える。
台湾東海岸 → 与那国島・石垣島・沖縄本島 → 鹿児島・四国南岸・紀伊半島 → 日本列島各地へ
上記の渡りを行った人々はいわゆる海の民であったと考える。しかし、その後1万年以上の縄文時代を経て、日本語は森の民の言語に変遷していく。東日本では、北から流入してきた人々(いわゆるブリヤート人ら)との接触により様々な影響を受けたと想定できる。よって、日本語の中心概念は日本列島で育まれたと言うことができる。
(※)当時の日本列島の言語については、別記事『縄文時代の言語とは?』も参照していただきたい。
たとえ日本の気候風土で育まれた言語だとしても、すでにスンダランド時代に言葉があり、基本概念とそれを表現する音節(発音)は持っていたに違いないと思う。よって、日本語のルーツを考える上では、日本祖語の源泉は当時のスンダランドで使用されていた、言わば汎スンダランド語の一派であると想定する。
日本語の特徴
日本語は日本語以外の言語と比較してどのような特徴があるのか?
一般的には、以下が挙げられる
・母音が強い = ほぼすべての音節が母音とセットで発音される
・オノマトペが多い
・現在の日本語では借用語(漢語,カタカナ語など)が非常に多い
しかし、もっと根本的な特徴は以下を想定できる。
・植物由来の概念から派生している語が多く、基本概念になっている。
・現代のメジャーなな外国語 ex)英語、中国語などと比べて形容詞が強い。
→ 動詞中心言語と比較して形容詞中心主義
上記は、縄文文化の「母系制」と大きく関係していると思われる。
植物の変化を視て、世界を認識する
植物由来の概念が多いのは、多くの人に心当たりがあるかもしれない。例えば、「ことのは(言葉)」は抽象的なコトバ(言葉)という単語にleaf(葉っぱ)を持ち出して繋げている。大和言葉の8割以上は植物と植生でできていると思う。
形容詞中心主義
形容詞中心主義とは何ぞや?すごく簡単に言えば、「世界を様々な状態の重なりとして観る」ということである。形容詞中心主義に対して動詞中心主義では、文の構造の核に動詞を配置して、「世界を様々な動きとして観る」ということである。
もともと、人類の言語は、形容詞中心主義であったと想定できる。
なぜかと言うと、もともと言葉、特に語彙の増加は
・女性が女性間のコミュニケーションで使用する。
・女性が子供とのコミュニケーションで使用する。
ということを通じて発展したと考えられ、そこでは、今置かれている状況や動向、相手の感情の状態がどのようであるか?がとても重要だからである。
動きそれ自体ではなく、その結果どのような状態に今あるか?のほうがはるかに重要な興味の中心であったはず。
では、なぜ世界では動詞中心の言語が多いのだろうか?それは、たぶん、富の蓄積・農業・文明の発展と大きく関係している。物事の論理(因果関係)を知ろうとすれば、しだいに動詞中心主義が優勢になる。
農業以前の日本列島に到達した人類が、東洋のガラパゴスで古い言語の特徴を多く有しているのはとても興味深いことである。
人類の移動と言語の進化
本アカウント(LangDicLab)では人類の移動・拡散に自然災害、特に火山噴火が大きく影響しているものと考える。以下に年表形式で主な火山噴火を示す。
Fig01 最近10万年間の世界の主な火山噴火を示す年表
なぜ、10万年間の年表か?というと、最近10万年間で人類最大の危機は74,000年前ごろに起きたとされるトバ火山の巨大噴火(上記色付けした行)であったという説による。膨大な火山噴出物により地球全体が雲に覆われる「火山の冬」が起きたとされる。
当時のホモ・サピエンスは危機的状況の中で生活し、その中でも声によるコミュニケーションで他集団と協力関係をうまく作った集団だけが生存でき、現代の人類につながっていると思われる。そのような意味でトバ火山噴火が言語進化を加速させた。74,000年前という時点が現代につながる言語の実質的なスタート地点にふさわしいのではないかと考える。
Fig02 最近3万年間の日本周辺の主な火山噴火を示す年表
世界および日本列島で、約16,000年前(14,000 BCE) ころから、徐々に温暖化に転じたとされる。そのころ浅間山で大規模な噴火があったようだ(上記色付けした行)。縄文時代の始まりと浅間山の巨大噴火は何か因果関係があったかもしれない。
改訂(Revisions)
2021 0802 初版
2021 1121 改訂 人類の移動と言語の進化 を追記
(以上)
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