服づくりの遠因
次に、私が初めて作った服がどう作られたかをレポートするのだけれど、その前に、私が縁あって2014年に20年ぶりくらの海外旅行で訪ねたバングラデシュで受けた衝撃について語らねばならない。
バングラデシュについて、その頃、もうその時私が見た「NAVERまとめ」の記事は見られないけれど、ザックリ言うと、「ユニクロが現地の人の経済水準が上がって来たので、これまで生産はしていたバングラデシュに、第一号店を出店するも、現地の女性は民族衣装を着なければならないので、レディースが売れなくて困っている」みたいな記事を読んでいて、気になっていた。(私が読んだ記事そのものではないけど、今も当時の感じが見られるリンクはこちら。)また、バングラデシュではその前年、大事故が起こり、世界のアパレル工場となっていたバングラデシュで働いている人達の劣悪な労働環境にもスポットが当たっていた。
そんな時、たまたま連絡を取った、30年来の友人が、今ダッカに駐在しているというのを聞き、バングラデシュと言えばイスラムの国なので、通常女性が1人で行くのは難しそうだから、是非友人がいる間に訪ねたい!と思い、訪ねた。
行く前から夏場でも長袖が必須。足も出してはならない。と聞いて行ったので、せっかくなので服は主に現地調達するつもりで足首まであるストレッチレギンスに長袖で丈も長いけど暑くないインド綿のチュニックに何なら被れるように綿のストール、という出で立ちで出発したら、途中、香港→ダッカに飛ぶキャセイ系のドラゴンエアー=香港系の機内では、まず広東語で話しかけられ、その後、英語で話しかけられ、「さすが、異国の飛行機で現地人しか乗らない便に乗ったなぁ〜。」と、実感していたら、同じCAの人が日本語を話しているのが聞こえ、「??!」。見ると、見るからに日本人な子ども連れの家族が乗っていた。
ということは…。というような、無国籍な人になって、入国したのだった。
バングラデシュでの様々は、この先旅の記録ばかり作ったマガジンでも作ってそこに収録しようと思うが、割愛し、ここでは、現地で感動した街に売っている服、久しぶりに、店で服を見て、「心からワクワクした!」経験のみをお伝えしようと思う。
小学校から会社に入る前まで「制服」を着たことがなく、日々何を着るかを選ぶのも自分の表現だと思い、自分で服を作れないとデザイナーになれないと知るまではデザイナー、その後、ファッションジャーナリストになりたい!と思うくらい、服のことは大好きで、所謂流行にも敏感だった自分。だけど、流行は作られる、ということに気づいてから、「流行なんて、いちいち雑誌を買って見なくても、街で店を見ればそんな服しか売ってないからすぐ判る」と、思ったり、そもそも他人の決めたそれに一喜一憂してものを大切にしない、ってことがお洒落じゃないし、みんなが着ているそういうものより、自分が気に入ったものを着ていてカッコいいのが一番。自分自身がブランドになるべき。等々思ってて、街場にはそれこそ↑で引き合いに出されたようなファストファッションブランドの、無駄を削ぎ落とした、モノトーン、あって、それプラス数色の、シンプルな同じ服が、私が1992年カナダのスーパーで見てゾッとした、10mくらいの冷蔵ケースの中に売られていたのが同じ形、大きさの同じ木綿豆腐ばかりであったり、同じ8枚切りくらいの食パンだったりするような、「多品種少量生産」の真逆の「同品種大量生産」的に売られている様子が溢れていて、服も「必要だから買う」けれど、服を見に行ってワクワクすることなんてなくなって何十年(あ、所謂ハイブランドの色々な意味で「高い」けど、微妙にすぐ陳腐化してしまう、というか、流行遅れになってしまうものに手を出す気には全然なれなくなりました。また、それには自分ではない人の主張が全面に出ているわけですし・・。主張は自分で足したい。
ってな状況になって約30年。現地で服を調達する時にも何の期待もしていなかったのですが。
まず、着いた翌日、友人は仕事だったので、友人の現地人の運転手さんが買い物に付き合ってくれました。流石におじさんなので、どこがお洒落かなどにはあまり詳しくなくて、デパートとスーパーの間、高級スーパーのようなところに連れて行ってもらって買ったのが、こちらでした。
これらと一緒にウエストゴムの黒のフレアーパンツを買って一緒に穿いて、この化繊でプリントで、一部異素材が使われているもの達もそれなりによかったのですが、友人のベンガル語の先生をしているダッカ大学の芸術学部生の若い女の子に連れて行ってもらったお店に行った瞬間、店全部買い占めたいくらい凄くて!!
素材も色も凄い上、多品種少量どころか、もしかするとバックヤードには同じものの在庫があるのかもしれないけれど、一点ものばかり。それが、綿素材だったり絹素材だったり。
サロワカ・ミューズという↑の写真のような長袖で長い丈のチュニックとパンツと被ることもできるショールの3点セットが日本の着物ばりに柄×柄の組み合わせで、手仕事満載で、とにかくお洒落!そして、当時日本円だと7000円くらいで手に入り。本当に久しぶりに、服屋さんに来てワクワクしました。
その時、既に↑の2枚を買ってしまっていたので、選びに選んで一点だけ買ったのが、タイトル写真にしているものです。詳細は先ほど写真を撮ったので、下にアップしますね。
その時行ったお店の様子もあげておきます。
すごくないですか??
私が興奮するこの感じ、わかってもらえるんじゃないですか??
そう。確かに街を歩いていても男性が殆どのイスラム圏のバングラデシュの女性達。だからこそ、見かける人は皆、存在全てを賭けて自己表現としてのお洒落をしているように見え、この、サロワカ・ミューズにしても、サリーにしても、本当に凄い!これが「標準」の人達に、モノトーンの量産服は、要らない。
民族衣装を着なければならないから、売れない、ではなく、
楽しくないから(そして、なのに(現地では感覚的に)高いから)、ワクワクしないから、みんなと同じだから、売れないんです。
このお店に連れて行ってくれたお友達、そして、帰りの空港で同じ便になったお友達の普段着も本当に素敵だったので、アップします。
では、私が感動した、選びに選んだ1枚の詳細を。
異素材の合わせ方、手仕事の種類、色の合わせ方、,etc.、etc.すごくないですか??
バングラデシュに買い物ツアーに行きた〜〜〜〜〜〜〜〜い!!!
と、思いながら、実現できずに来ましたが、昨年、日本に発送してもらえるのかは判りませんが、当時の紙袋にあったお店の名前から、このお店のウェブサイトを発見しました。今日、最初にリンクでシェアしたページにも名前が出て来て驚きました。アパレル業界では有名なのかもしれませんね。
お店でもびっくりしましたが、サイトはさらに凄いです。
私が一番感動した、セミフォーマルなサロワカ・ミューズのページ。
カジュアルなサロワカ・ミューズのページ。
ただ、サイトで見る限り、私が訪ねた頃の方が「手仕事満載の感動」は大きいような気がします。
ゴージャスなサリーなども見られるトップページはこちら。
眼福を味わってください。
また、いずれ、お友達や、運転手さんのご家族の結婚式のすっごいサリー等々の写真も旅の記録と共にシェアすると思いますし、日々(今でも空港から一緒だったお友達とは続いています。)彼女の素晴らしいサリーに感動していますが。
とにかくバングラデシュのお洒落熱、凄いです。
この時、最近の日本ではお目にかからない、手仕事満載の服に出会ったことが、私が服を作ろうと思った遠因に、何か作る時の必要があれば「色々な手法を使って自分のイメージを表現!」というモットーに、なるのです。
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