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【都市計画学生がみるバンコク】雨の日のチュラロンコン大学

Sawasdee kha! beckです。
今は乾季のバンコクですが、なんと本日2月28日、朝から風も雷を伴う大雨が降り、まるで嵐のようでした。

タイは熱帯の国。雨にも慣れている
なのに雨水排水が十分に整っていなくて今日も大変なことになっていました。

そんな大雨の日のチュラ大の様子を都市計画を学んでいる学生の視点でお届けします。


朝からどんよりとした天気

この時期のバンコクの日の出は6:30。
いつもなら東向きの窓から見えるきれいな朝焼けで目がすっきりと覚めるのに、今日は雲が重たかったです。

いつもの空はこんなに美しい

朝7時すぎ。
家を出るときになんとなく雨の降りそうな気配を感じて傘を持参。

朝8時すぎ。
大学の最寄り駅に着くと、出口から聞こえてくるものすごい雨の音がして嫌な予感が…。屋内は傘を持っていない学生たちであふれかえっていました。

私は9時から講義があったため、雨宿りしたい気持ちを抑えて仕方なく、外に向かいましたが、外に出るとこんな感じの土砂降り。

すごい雨でした


排水機能の全く追いついていない敷地

冒頭で述べたように雨水排水が十分に計画されていないのか、キャンパスは、そこら中が冠水しています。

歩道

車道も明らかにすごいですが、推定水深4センチの水たまりが広がっています。ここを避けるために人の渋滞が発生します。

今日ここで私の靴と靴下はびしょびしょになりました・・・

おそらく、この上にあるデッキルーフの上の雨水がパイプを伝ってこの辺りに流れ出ているのでしょう。

この下の写真はレインシーズンに撮影したほぼ同じ場所の写真。
歩道も白く囲ったところは歩けたもんじゃないです。

雨が降り始めてそんなに時間は経っていないはず
入りたくない色をしてますね


車道

雨水が溜まってしまうのには、独特の道路構造も影響しています。

チュラ大構内では、車やバイクがかなりスピードを出して運転しているので、横断歩道の手前を盛り上げたハンプが多くあり、その手前に水が溜まってしまうのです。
雨の日は気を使ってゆっくり走ってくれますが、そもそも歩道が冠水しているので、歩行者は縁石の近くを歩きがちのため、油断していると濡れます。

ここは水深6センチはあると思います


側溝

歩道沿いにある側溝を覗いてみると、もう満杯でした。
この側溝はちょうど建物の屋根の下に位置しているので、屋根に降り注いだほぼすべての雨が直接排水路に流れ込むのです。

ここに、雨庭や植木鉢を置いたら雨水が一時貯留できてだいぶ違うだろうになぁと思います。

側溝の深さは20センチ以上はあると思います。

半屋内空間

こちらはピロティの下の半屋内空間。
雨どいからの水が排水口に注いでいますが、キャパオーバーであふれ出しています。

スロープが水浸し

建築学部校舎には中庭があります。雨が降るとすぐにスタッフの方が透明のカーテンで水の侵入をシャットダウンしてくれるので、廊下を歩いても濡れる心配がありません。
常夏だからこそできる常に開放された空間では必要な工夫ですね。

台風のような嵐はめったに来ないので、これで十分です。
冬のある日本ではちょっと厳しいと思います

芝生広場

本日のトップ画像にもしていますが、こちらはチュラ大で一番大きいであろう芝生広場です。今日もすっかり湿地へと変身していました。

乾季の間はスタッフの方が暑い中、芝生に水やりをしているのを見かけます。このような大雨をためる仕組みが地下(海抜3mのデルタ地帯のバンコクでは難しい?)または、大きなタンクがあればうまく活用できるのでは、という気がします。

隣に噴水池があるので、もしかしたらそこがその役割を果たしているのかも…?

乾季ですっかり茶色くなった芝生も元気になるでしょう。


隙間空間

こちらは建物の横の隙間空間です。決して水路ではないのですが、まるで水路のようになっています。
こちらにも屋根の雨水が流れ込む場所になっているので、水が溜まってしまっています。

水深はもはやわかりません…。

実はこの場所と並行してすぐ(10mくらい)の場所に水路があります。
雨季はここも水でいっぱいになりますが、乾季の今はこんなにたくさん雨が降っても、まだまだキャパがありそうです。

乾季の水路(2025.2.18撮影)

ここにうまく水を持ってこれたら、もう少し歩きやすいキャンパスになりそうです。

ちなみに、こちらが昨年の雨季の様子。水はこのくらいたぷたぷになります。

雨季の水路(2024.10.7撮影)


番外編・植木鉢の持つ可能性

これまで見てきてわかるように、雨が降るとそこらじゅうが水浸しになります。(ここはキャンパス内なので開発過程で雨水排水をデザインすることも不可能ではないですが)

そもそもバンコクは、チャオプラヤ川の大デルタ地帯に位置しており、地形の起伏がとても緩やかで自然に水が流れていくには難しい地形をしています。

そこで幾度となく洪水にあってきたタイでは、古くから可動式の庭園としてどこにでも置ける「植木鉢」が人々の庭造りに使われてきたといわれています。

Jumsai, S. (1994). NAGA Cultural Origin in Siam and the West Pacific [水の神ナーガ アジアの水辺空間と文化] (Y. Nishimura, Trans.; 3 ed.). Kajima Institute Publishing Co., Ltd.

この植木鉢、キャパシティとしてはかなり小さくても、小さな雨庭として機能しないかな…と思うのです。

◯そもそもバンコクは冠水も多いので、地植えの植栽は不向き
◯植木鉢であれば、もし想定を超える大雨が降った場合は、土が流れ出る前に簡単に移動することができる
◯もしくは、バンコクのまちで見かける「水瓶」の植木鉢であれば雨水の一時タンクにもなるかも

ちなみにイメージとしてはこんな感じです。
これはチュラ大構内の街路樹ですが、ものすごい雨が降ると一時的にこの街路樹のプロットのエリアに水が溜まります。

先ほどの芝生広場のすぐ横にあります

植物にも、水浸しに強い・弱いがあるので、一概には言えませんが、マングローブならいけるかも?1つの可能性としてはありそうです。

ちなみに、水との関係をうかがえる植木鉢だとバンコクでこんなものを見つけました。

・水瓶に植木鉢を突っ込んだタイプのもの

クレット島で発見

・水につからないように台の上に置かれたもの

チュラ大構内で発見




バンコクのまちは興味深いものであふれています!

それでは、また。
beck



(大気汚染のあとの雨はとても汚いようで、咳が止まりません泣)

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beck
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