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多様な意見のすり合わせとIPBES報告書

ESGでネイチャーポジティブを扱うに際して金融の視点が強く出過ぎていた問題は、前述のようにESG関係者も認識しつつあります。その意味では、NGOの批判も課題解決に向かわせるための有効な手段であると言えます。

しかし、一部のNGOが批判一辺倒であるように見えるのは残念です。

怒られるかもしれませんが、日本の従来の野党と同様に、NGOも「批判することが仕事」というイメージが強く残っている気がします。しかし、現在では自民党の過半数割れの中、政府批判だけでなく政策協議を通じてより良い提案を政策に反映させようとする野党も現れ、国民から一定の支持を得ています。

強い批判は時に重要ですが、必要なのは解決策です。喧嘩腰の姿勢では、相手も対話に臨むことをためらいます。

改めて「IPBES自然の多様な価値と価値評価の方法論に関する評価報告書」を見てみましょう。
実は、このIPBESの報告書では多様な価値を評価するために、

①正当なプロセスの構築
②評価目的の明確化
③評価範囲の確定
④評価手法の選択と適用
⑤意思決定への価値の明示

が必要であると提案しています。

この考え方は、さまざまな異なる意見を調整し、より良い結論を導くための普遍的な手法とも捉えられます。

異なる視点を提起することはNGOの重要な役割です。
しかし、言いっ放しで終わるのではなく、ESGの課題を共有しつつ、解決すべき点について企業や金融機関と「すり合わせ」を行う努力も必要です。
腹を割った建設的な議論の場をつくることも、NGOの新たに求められる重要な役割ではないでしょうか。