「公正な移行」に向けた5つのポイント
何度か「公正な移行」について述べてきましたが、その進め方の指針として非常に纏まった分かりやすいサイトを見つけたので紹介します。
・ラウデス財団:公正な移行を推進するために、企業と産業の変革力を活用する
ラウデス財団は、不平等と社会関連の財務情報開示に関するタスクフォース(ハッシュタグ#TISFD )を支える財団の1つです。
ここでリストアップされている「公正な移行」に必要とされている5つの要素は、非常に重要です。
1.包括的なものにしましょう。
2.物理的にしましょう
3.創意工夫を歓迎しましょう
4.システムの範囲内で行動してください
5.そして、それをビジネスに不可欠なものにしてください
私なりに解釈をすると、
1.関係者の主体性を大事にし、決定には参加してもらう
2.目に見える取り組みが人々の参加を促すので、物理的なリスクへの対応を優先する
3.イノベーションが必要であり、このための投資も行う
4.リスク低減のために現時点の投資総額を変える必要はなく、割合を変えるべき
5.社会貢献ではなく、ビジネスに必須のものとして取り組む
といった感じでしょうか。
世界銀行によると、2050年までに気候関連の要因で2億1600万人が移住を強いられ、それに伴う社会的衝突、経済的負担が発生するとのこと。さらに労働機関(ILO)の調査結果では、12億人の仕事(世界の労働力の40 %)が、何らかの形で生態系サービスに依存しており、気候変動で深刻なリスクに晒されるそうです。
にも拘わらず、気候危機に対して最も脆弱な20カ国では、労働者を守る仕組みが殆どない。
こういった経緯もあり、2015 年にILOが「すべての人のための環境的に持続可能な経済と社会への公正な移行のためのガイドライン」を発表し、グラスゴーで開催されたCOP26気候サミットで「公正な移行」に向けた諸原則が示されることが「公正な移行」の議論に繋がっています。
気候変動も、自然資本の課題も重要であり、解決のために残された時間は殆どありません。
しかしもっと重要なことは、それらを解決する際に、極めて脆弱な環境に置かれている人たちが世界には何十億人もいるということを忘れてはいけない、ということです。
地球が救えても、彼らを救えないなら、その活動にはなんの意味もありません。