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福島市、メガソーラー禁止法案と気候変動移行計画

福島市が、市面積の7割におよぶ場所で、メガソーラー建設を禁止するとの報道がありました。

東日本大震災で原発事故があり最も大きな影響を受けた福島は、震災直後、その反省から自然エネルギーを大規模に導入する機運が高まった地域です。
その福島市がメガソーラーを拒否する事態になった背景を、自然エネルギーを推進しようとする関係者とともに、その電力を使っている・使おうとしている企業もよく理解するべきだろうと思います。

原発は日本にとって重要な安定電源でしたが、一旦事故を起こすと取り返しのつかない被害が起こるトレードオフを持っていました。日本人全員が痛感している事実です。
しかし、そのアンチテーゼである自然エネルギーにも当然トレードオフがある訳です。
全てがそうとは言いませんが、メガソーラーを建設するために日本中で山が掘り返されされ、森林が思慮なく伐採されて自然災害に繋る事例は確かにあり、多くの場所で建設反対運動が起こっています。こういうトレードオフは当初から分かっていたはずなのに、配慮をしなかったことは大きな問題です。

プレミアム市場に上場している企業はTCFDに準拠して気候変動対応を開示する必要があります。もうすぐISSBもやってきます。
移行計画の開示も求められており、既に2023年にはTPT(Transition Plan Taskforce)から、移行計画のガイダンスである「TPT Disclosure Framework」が開示されています。
その「2.3 Policies and conditions」には、「viii. land use and land management changes (e.g. deforestation)」と言う項目があります。日本語で書くと、

2.3ポリシーと条件 土地利⽤および土地管理の変更(例:森林伐採)

つまり、森林伐採などの土地利用変更をする場合には、それを行うポリシーと実施条件を書きなさい、とされています。

さらには、「3. Engagement Strategy」と1章が割かれて「エンゲージメント」に関する開示も求められています。その中に「3.3 Engagement with government, public sector and civil society」(政府、公共部⾨、市民社会との連携)も入っています。

詳細はこちらからご覧ください。

つまり、企業が自然エネルギーとしてメガソーラー由来の電力を使うのであれば、思慮ない森林伐採や災害の可能性についての判断・対応ポリシーを定め、関係する地域とエンゲージメントされているかの確認を行い、移行計画で記載しなくてはいけないのです。

TPTの策定した資料一式、業務は、IFRSに移管されています。つまり、これは将来、ISSBに反映される項目のはずなのです。
自然エネルギー発電所を建設、運営する団体だけではなく、その電力を使う企業も危機感を持つ必要があると思います。