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茶ノ木のストライプ拡張法(SSTB)論文

スリランカ紅茶農園に関するPeirisさんの論文を紹介したいと思います。
テーマは、茶ノ木の新しい剪定方法です。

茶ノ木の葉は成長に伴って徐々に固くなってきます。
そのため、茶摘みができるまで成長した茶ノ木は、ある一定期間後には葉の付いている枝を殆ど刈り取ってしまう「強剪定」を行います。
その後に新しい枝が伸びてくると、薄い若い葉が茂ってきて、以前通りに茶摘みができる、と言う形になります。これは、日本の茶でも同様です。
しかし、この方法では、枝が伸び葉が茂って茶を摘めるまでに数か月かかります。
また、茶ノ木が枯れた場合には新しい苗を植える必要がありますが、経済的に厳しいスリランカでは苗を買うこと自体が負担になり、且つ成長には長い時間が必要で、その間は収穫量が欠けたままになります。

紅茶農園

そこで提案されたのが、「茶ノ木のストライプ拡張法(SSTB)」です。
これは、強剪定後に自然に枝が伸びるに任せるのではなく、枝を強制的に横に引っ張って伸ばすことで、茶ノ木と茶ノ木の隙間を埋めるように枝を成長させる方法です。
茶ノ木が枯れて間が空いてしまったような場合には、これによって隙間が埋められるというメリットがあります。隙間がなくなることで、太陽光が直接地面にあたることも防ぎ、土壌の乾燥や流出を防ぐことにも貢献します。しかも、収量も増えるとのこと。

Peirisさん(右)

実は、今年の3月にスリランカを訪問した際には、キャンディの小農園で、Peirisさん本人から説明を聞くことができました。
スリランカは気候変動の影響を大きく受け、雨季には集中豪雨で土壌が流れ出す事態が多発しています。また、乾季に地面に直接太陽光が当たると、土壌中の水分が失われてしまいます。
枝を横に伸ばし、葉の茂りを密にすることで、茶の葉で農園の土壌を覆うようにすることは、この対策にもなるとのことでした。