サステナビリティ担当者の燃え尽き症候群
サステナビリティ専門家の、実に60%以上が過去1年間に燃え尽き症候群を経験したという情報に驚きますか?
多分、関係者なら、驚く事はないと思います。
そのくらい、やるべきことが増えてしまっています。
15年前、CDPの解答を始めた頃、正直、やるべきことが見つかってホッとしました。そのくらい環境の担当は暇でした。10年前、統合報告書が求められ始め、サステナビリティの企画担当は俄かに忙しくなり始めしたが、以前から環境報告書を作っていた私には大きな影響はありませんでした。
忙しくなり始めたのは、TCFDの対応が始まった2017年から。でも、TNFDがパラレルで来なかったので、そこまで酷くはありませんでした。(とはいえ、毎回残業延長でしたが...)
ところが、今や、ISSBが迫り、EUに事業を持っていれば、EUDRも、CSRDも、CS3Dも、タクソノミーにも対応しなくてはいけないのです。本当の現実世界のサスティナビリティな活動をする時間的、精神的余裕は無くなってしまいます。真面目な人ほど、悩んでいると思います。
しかも、多くの企業では、開示のためには何倍もの追加の投資が必要なことすら理解されておらず、担当者は武器も持たずにリングに上がらされている状況が珍しくないはずです。
サスティナビリティの活動は長期的なリスクを抑えるという意味で、企業の財務に影響します。でも、開示だけでは、企業に何の価値ももたらしません。
TNFDガイダンス、LEAPアプローチ、TNFD移行計画案には、トレードオフを回避し、ネイチャーポジティブだけではなく多くの社会課題を並行して解決するための思慮深い考え方が示されていますが、それを実践する余裕は企業にも、担当者にも残らない可能性が高いように思えます。
このバランスの悪さは、本当に長期投資家に価値をもたらすのでしょうか?そして、ネットゼロ、ネイチャーポジティブに貢献するでしょうか?