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シュルツ・ドイツ首相が正式にCSRDの2年延期を要請
ドイツのシュルツ首相が正式にCSRDの2年延期をEU委員会に要請したようです。既に、12月にはドイツ連立政権の閣僚が同様の書簡をEUに送っていましたが、首相が延期を求めたとなると、重みが違います。
この背景には、シュルツ政権の崩壊があります。
12月に行われたショルツ首相の信任投票で不信任が確定し、今年2月に議会選挙が行われることになりました。シュルツ政権の不人気から、与党大敗が予想されています。
と言うことで、シュルツ首相としては、できる限りの手を打つ必要があるということです。
欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長宛ての書簡の中では、CSRDの延期要請に加えて、新しく設けられるGHG削減目標未達の場合に自動車メーカーに課せられる罰金の撤回も含まれているとのこと。中国にEVを席巻されたドイツの自動車メーカーには一切の余裕はありませんので、政治的には当然の主張とも言えます。
また、炭素国境調整メカニズムについても、貿易相手国を激怒させるとして反対しています。(貿易相手国とは、ドイツの自動車メーカーの命綱である中国のことです)
実は、フランスでもCSRD延期の声は大きくなっています。
フランスの中堅企業団体であるMetiは、売上高5,000万ユーロを超える企業に対するCSRDの適用の一時停止を求めています、たった3か月で内閣が総辞職するような不安定なフランスの政治状況では、政権は民間企業の声を無視できないと思われます。
ちなみに、自動車の厳しいGHG削減目標については、イタリアとチェコも反対しています。
既に、ウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長は、CSRDをはじめとした規制の簡素化と統合を約束しています。
昨年選挙のあった国のすべてで与党が負けているという政治状況、パリ協定からの脱退を宣言しているトランプ政権。それ以上に、EU各国の不況(EUグリーンディールの準備不足・想像力の欠如によって中国を利した結果ですが)を受けて、EU委員会はさらなる譲歩を迫られる可能性は高いと思われます。
企業からすると、法規制施行の不透明さは一番の迷惑ですが、当面、付き合わざるを得ない状況です。
ちなみに、1月8日には、Platform on Sustainable Finance が、EUタクソノミーに関する改訂草案を公開して、フィードバックの受付を開始しています。
参考まで。