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COP16の再開と「カリ基金」正式発足

オムニバス草案に注目が集まっていますが、「カリ基金」が開始し、生物多様性条約の方も動き出しています。
そもそもですが、昨年10月に開催されたCOP16は、実は途中で中断された状態であって終わったわけではない、ということなのです。
その続きが、2月25日~27日にかけて、ローマのFAO本部で開催されています。

ここでの議論は以下の通りです。
・資金の動員
先進国から途上国への年間2,000億ドルの資金供与やカリ基金の設立。
・計画、モニタリング、報告、レビューの仕組み作り
KMGBFの各国の実施状況を評価するための指標や報告枠組みの確立
・資金メカニズム
資金の分配方法、新たな基金の創設(特にアフリカが要望)

この中で、「カリ基金」が実際に実体化され、活動を開始したと言うことです。
詳しくは下記をご覧ください。

「カリ基金」を創設すること自体は昨年に決まっていましたが、25日に正式に署名されたということのようなのです。
これによって、医薬品、化粧品、動植物の育種、バイオテクノロジーを使う農業、バイオテクノロジー企業などが資金を出すことになっていますが、その拠出額は一応の目安として、企業の利益の1%、または売り上げの0.1%とされています。
例えば、前職の会社は売り上げが2兆円と少しですので、この場合では年間200億円を拠出する必要があることになります。
このままでは相当大きな金額なってしまいますので、この掛け算を全体の売り上げでするのか、DSI(遺伝資源のデジタル配列情報)を使った事業の売り上げに限定するのかは大きな問題です。
上記のサイトでも、どちらになるかは明確には示されていませんので、今後の交渉で決まると思われます。
また、今のところ日本政府は企業の拠出に期待はしているようですが、環境省からは具体的な検討状況や指針は開示されていないようです。

アメリカの反ESG、EUのオムニバス草案に伴う混乱、各国のここ1年の選挙で環境派・人権派が衰退している状況などを考慮すると、実行については中々見通せそうにありません。

【追伸】
会議が終わったので情報を追加します。

従来原則的に合意をしていた「2030年までに年間2000億ドルを拠出」について、正式に合意されました。
・2025年までに開発途上国向けの年間保全資金として200億ドルを調達
・2030年までにその額を年間300億ドルに増額する
などが含まれているようです。
合意文書は下記で確認できます(私はまだ見れていませんが)

https://www.cbd.int/doc/c/1680/7842/77691d12e0dce395ff93df8d/cop-16-l-34-rev2-en.pdf?mkt_tok=Njg1LUtCTC03NjUAAAGY7BAzCyt-cfdH-etbUHPmua780JqiKzIiFC_Zxf3VDluZlehmpN35BA1eF3F3QKPO4fLoqik1Xo8W8mymSeyT1AXVq3f0CLIh-hJtlCfzhG772rU