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AIGCCとPwCの共著レポート


AIGCCとPwCが、日本の自然関連リスクについてまとめたレポートを公開しました。(TNFDの原口さんと原島さんが序文を書いておられます。)

勉強を兼ねてポイントをまとめています。

リリースページ:https://aigcc.net/japans-capital-market-is-exposed-to-nature-related-risks-new-research-by-aigcc/

日本語のレポートのダウンロードサイトは以下の通り。
https://aigcc.net/wp-content/uploads/2024/06/AIGCC-Nature-at-A-Tipping-Point_JP_final.pdf

サマリ

1. はじめに

・自然に根ざした解決策(NbS)は、気候変動適応・軽減のための最も効果的な戦略のひとつ。
・NbSは、気温上昇を1.5°C に抑えるという目標を達成するため施策の約30%に貢献すると想定。
・しかし、そのための調達資金は大幅に不足。 そのために、TNFDやEUDR、各国の政策がある。

2. アジア太平洋における自然関連リスク
・評価はENCOREを利用。セクター内の生態系サービスへの依存度の格付けを実施。
・その上で、依存度の格付けから粗付加価値(GVA:各産業部門の生産活動によって新たに付加された価値)と比較。
・アジア太平洋地域のGVAの約20%(6.7 兆米ドル)が、自然への依存度が高いセクターにより創出。
・アジア太平洋経済では、農業・建設業・漁業養殖業など、自然資本に高く依存するセクターの比率が他の地域より大きい。
・高依存度セクターでは、農業、食品・飲料・たばこ、建設が、GVAの約72%を占める。
・アジアの農業は、世界の付加価値の約65%、世界の農地面積の約40%がアジアにあり、アジアの労働人口の約30%を占める。
・高自然依存セクター(一次産業や一次産品など)で事業を行っている大企業は非公開企業の場合が多く、証券取引所だけを見て判断すると間違う可能性がある。
・金融が自然資本関連緒リスクを見るときには、①直接的な対象が無いように見えても、バリューチェーンで見た場合には自然資本リスクの大きな取引先を排除することほぼ不可能であること、②例えば山火事のように事業だけを見ていると分からないリスクは存在する、③しかも、山火事のようなリスクは発生すると広範な地域が影響を受け、損害額も極めて大きい。

3. 日本における自然関連依存とリスク
・日本のGVAの12%が高自然依存セクターでアジア太平洋平均の20%より低い。しかし、GVAの36%が中依存度セクター。
・これは、日本では農業への依存度が低いためと思われる。(アジア太平洋の農業セクターの貢献度が5.3%、日本では0.9%)
・一方で、食品・飲料・たばこセクターのGVA への貢献度は日本が高い。(日本が2.9%、アジア太平洋が2%)
・今後、日本の食品・飲料・たばこセクターの拡大が予想されるために、リスクは大きい。
・東京証券取引所(TSE)の株式時価総額の18%(9,380 億米ドル)は、高自然依存セクターの企業を含み、日本のGVA のうち高自然依存セクターの貢献(12%)より大きい。
・その理由はエネルギーセクター(日本のGVA :1.4% 、TSE の株式時価総額;5.5% )。しかも、総合石油ガス産業は、産出国の地下水・表流水に高度に依存している。
・この関係性から、日本ではシステミックリスクを想定する必要がある。
・日本では、環境省が2030 年までに日本の改訂版「生物多様性国家戦略および行動計画」(NBSAP)はの中で、「ネイチャーポジティブ(自然再興)」、2050 年までに「自然と共生する世界」のビジョンを実現するために、生物多様性の損失と気候危機に一体的に取り組むアプローチの必要性を強調。
・金融庁は、自然資本が金融に与える影響を評価する計画。
・TNFD を早期採用した企業の中では、日本企業が最も多く、世界全体の早期採用企業の25% を占める。TNFD コンサルテーショングループも立ち上がった。

4. 自然関連リスク管理のケーススタディ

詳細は省略

5. 投資家のための自然関連リスク管理チェックリスト

詳細は省略


ちなみに、NotebookLMで要約すると下記になります。
アジア太平洋投資家グループ(AIGCC)とPwCは、「転換点に立つ自然」と題する報告書を作成し、その中で、自然の劣化がアジア太平洋地域経済、特に農業、食品・飲料・タバコ、建設などのセクターに及ぼす重大なリスクを強調しています。 この報告書では、自然関連リスクを管理するためのフレームワークを紹介し、投資家がポートフォリオ内のこれらのリスクを評価・軽減するためのチェックリストを提供しています。 また、アセットマネジメントOne、マニュライフ・インベストメント・マネジメント、MFSインベストメント・マネジメントといった投資家や、ウィルマーインターナショナル、太古地産、香港中華ガスなどの企業によるケーススタディも掲載し、自然関連リスクへの対応方法の実際例を示しています。 全体的に、この報告書は、自然資本への依存を認識し、TNFDフレームワークなどのツールを活用して、関連するリスクと機会を評価・管理することを、投資家に強く求めています。

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