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IRの視点からEPSにアプローチすべし

こんにちは。ランディックスのIR担当の松村です。
当社でIPOを担当→コーポレート部門管掌役員をやっています。

本日12/19は当社が東証マザーズに上場した日で、丸5年が経過しました!(上場は2019/12/19)

上場時から人数、売上・利益ともに2.5倍になりました。
振り返ってみると、5年前とは別モノの会社くらい進化しているなと思います。
今回、事業紹介noteではないですが、ランディックスはこんな会社です!↓


さて、毎年恒例のアドベントカレンダー。今回3回目、皆勤賞(笑)
IR系Advent Calendarについてはコチラ↓

今回はIRをテーマにということですが、コーポレート全体を管掌しつつIRをやり(当社は専業IRはいません。)、事業への関与が強まるに従い、「IRの視点て事業に役立つな」と思うことが多々あるので、IRの視点で利益貢献をしていこう、という内向きな話を書こうかと思います。
2022年の1年目アドベントカレンダーが「IR担当の新規事業関与+事業への影響について」だったので、同方向の内容になりますが、より具体的な話ををします。(↓2年前の記事)



上場後5年間IRをやって感じたこと

①事業成長こそ正義!利益があれば何でもできる

上場する前に証券会社から「上場したら成長し続けることを求められる終わりのないレースが始まりますよ」と言われ、当時はよくわかっていませんでしたが、今となっては本当にその通りだと思います。

決してネガティブに考えているわけではないです。

例えば当社に希望を持って入ってきた新卒に昇格の機会を与えること、管理部門のメンバーにさらに大きな仕事を任せ、スキルアップを目指し、さらに給与面での向上を達成するためにも、「昨年度と同じ人数、同じ業績」ではダメなのです。
あと、業績予測なんかやってると良くわかるのですが、2Qとかの時点で業績見通しが良かったりすると、「じゃあブランディング広告してみようか」「コンサル導入検討しようか」みたいなポジティブな費用の使い方に会社として好意的になれます。当然の話ではあるのですが、利益が出ていて事業投資を行い、ダイナミックな動きを取るという回転がどれほど大事かというのをつくづく感じます。

②IRの仕事はおもしろい

ちょっと話が逸れます。
個人的な感覚としては、「1on1が忙しくてIR業務がまわらない」とか「開示資料作るうえで各部門との調整がヘビーすぎて追いつきません」とかでない限りは、IR担当はそれ以外でも何らかの事業活動や業務改善をミッションとして持った方がいいと感じています。
IRは特に広範囲に事業を俯瞰してみることが求められ、経営情報にダイレクトに触れられるポジションという性質上、IR担当者がIRだけやってるのがもったいない(特に小規模の場合)、くらいの感覚があります。

最初はIRの仕事が嫌でした。
・頑張っても(普通に考えれば有効と思えても)効果が出るとは限らない
・自分の取組み以外のところで株価は変わる
・こまごました仕事量が多い割に生産性が認められにくい
・東証の温度感がわからない(この悩みは私だけ?笑)
・分からないうちは線ではなく点の仕事で作業ベースになりがち
などというのは、IRやったことがある人は1度は感じたことがあるのではないでしょうか。

どうにかこうにか続けているうちに、外部に仲間ができ、温かい声をかけてくれる株主さんに巡り合い、過去の自社資料と今の資料を見比べて自分の成長を感じたり、社長との目線感が合ってきてマインドのずれが無くなり、仕事に(株価に対するレジリエンス?笑)余裕も出てきて楽しくなってきました。
IRって誰でも就ける仕事ではないので、ラッキーだと思っています。

③IRの仕事は色んな力が身につく

上場後、MBAを取得しましたが、IRをやっていなければ、明確なスキル不足を感じることも曖昧になり、MBAを取る気にはならなかっただろうと思います。
IRの仕事というのは本当に裾野が広くて、会計から企業価値算定、ビジネスモデルへの理解など、知識がつくほどに違った見え方になるものです。
昨年~今年にかけては、M&Aの検討と実行に主体的に取り組む経験が出来たことが自分としては大きかったのですが、これも、IR関連の仕事が確実に生きていると思います。
スーパーCFOみたいな方が上場前からいてIRしている会社さんは言うこと無いですが、社内から抜擢されてIRしてるとか、「IR初挑戦です」みたいな話も聞くことがあり、それってものすごい成長機会だと思います。

IRの視点を事業部は求めている

私は会計士でもなく、経営コンサル出身のビジネスエリートでもないからかだと思いますが、「何か今までの蓄積をちょっと違う畑で活かさないと」という危機感はありました。
他の事業部からヘルプとか検討の壁打ちなんか頼まれて首をつっこんでいて思うのが、IR担当がサポートに入ることで、結構直接的な利益改善につながるだろうと思うことがあります。

以下、どれも平凡なことですが、IR担当が実際にサポートしているかというと、中々そうでもないと思います。
事業まわりの取組みは成果が出やすいですし、IRより短期的に完結していくので、IRよりテンポが速くてワクワクします。

①営業のボトルネックの検討

IR畑の方は、自社のビジネスモデルとか考えるときに、売上分解(イシュー分解)とか、ROE分析の一環でデュポンとかやってるかと思います。
しかも同業他社分析まで。
これって結構本質的で、営業部単位の生産性とか、ビジネスフローを分析を分解して「ここの数字、昨対比で悪くない?」という視点て大事です。
IRやっていると当たり前でも、営業部門と話すと「え、それやってないの?」みたいなことって意外とあると思います。
あと、IRとしては会社単位でやったりしますが、事業部単位とか支店とかもっと小さい単位でやると喜ばれたりします。(つまり管理会計の整備ですが)
データを扱ったり情報整理するスキルって、業界にもよるとは思いますが、管理セクションの方が長けている場合が多いと思います。営業部は商品を毎日一生懸命売ってるので、手が伸びないですが、「やってくれるなら是非」って思ってる場合もあります。

②営業資料や採用資料の作成

IRをしている方に質問ですが、営業部が使っている営業資料や、人事が採用時に使っているパワポ、研修資料など、見たことありますか?最新版、見てますか?

IR部門が作る資料というのはたいていの場合、会社が作る資料の中でもかなり「気合」が入っているもののはずです。役員会にかかっているほか、デザイン的にも図のクオリティ的にもメッセージ的にも検討が重ねられています。
IR部門から自社で使っている資料を見ると、「なんだこれは」と思うことがあるので、改良サポートは喜ばれます。
パワポスキルコンテストやったら、IR部門が優勝する会社も多いのでは。
「見せ方一つで印象違う」…IRの十八番ですよね?笑

③採用支援

IRはおそらく、会社のトップの意向やメッセージを最も早くキャッチする部門です。
会社のメッセージというのは、常に一致していることが理想的だし、方面によって出し方を考えることはあったとしても、意識的にコントロールされていることが必要です。
そう考えると、IR部門が直接的に役に立てる対象活動として採用があります。
・採用メッセージは古くないか?(適切なペルソナ設定になっているか?)
・IRで作った資料が採用に使えないか?
・最近ニュースを出したが、学生に刺さるかも。それを人事が知っているか?

私は、会社の役員という立場になったのがランディックスが初めてなので、他社のことは分かりませんが、相当に成熟していない限り、「情報連携が行き届いていないことで非効率」というのはあるのではないでしょうか。
※IR部門がPR広報も兼務している場合はさらに効果的!

④SNS運用

最近はIRでSNSを使うことが一般的になってきました。このnoteもしかりです。
SNSの事業上の活用頻度というのは会社によって得手・不得手にかなり差が大きく、「本当はやればいいんだけどリソースが無い」ということも往々にしてあるかと思います。
SNS運用の難しさは色々あると思いますが、実はまず最初の一歩として、「長期的・継続的な運用に疑義があるので始められない」ということもあると思います。
その点、継続性の観点でも(人的&業務的両面)、スキル的にもIR担当が事業部門が行うSNS運営サポートは結構喜ばれる場合が多いと思います。
業務分掌や、評価の問題、統制のなど色々問題も出ますが、やりようがいくらでもあるのも事実です。要するにやる気の問題です。

⑤他社との交流によるTipsの提供

例えば、営業から他社の営業に対して
「営業部のマネジメントで●●っていう課題どうしてます?」

など質問しても、あまり色よい返事が返ってこないのではないかと思います。(同業会とかだとなおさら)
担当レベルだとそもそも認識がなかったり、部門長だと当事者すぎて答えにくかったり客観性が無かったり。

一方、IRとかCFO会みたいなところだと、経営陣で語られた情報とか、俯瞰された情報にタッチしている人が多いので、結構「なるほど」的な話が効けます。役員クラスになれば当然これくらいのことはやって当然ですが、意識によって情報収集の量には相当の差が出る部分でもあると思います。
営業部でどういう情報が欲しいのか、そこに何か外部からヒントがもらえないか?こういう視点を持っていることは大事だなと思います。
皆さんわきまえているので、自社の不利益になることは言わないですし、そうあるべきですが、IRをするくらいの人たちとの交流というのはかなり有益です。(私は、IRやり始めて最初はこの意識が薄かったです。)

最後に

「EPSへのアプローチ」というには間接的な部分もありましたが、IRスキルをもって多動的に動くことは十分可能ではないかと思います。
PER向上、適正PERへの到達がIRのミッションでもあると思うのですが、PER×EPSのもう片方にも意識を向けて、実際に動いてみるというのは重要だと思います。
なにより、経営者と二人三脚にしてIRしている人間が、社長より1つも2つも降りた目線で事業にコンタクトするというのは、とても意味のあることではないかと思っています。








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