「死にたくなったら電話して」感想
この本はやばかったです。
気付いたら読み終わっていました。
感受性ビンビンの人が読んだら大変なことになっちゃうんじゃないかと思うくらい刺さりました、マジで。これは劇物ならぬ劇本ですよ、R18ですわ
内容
徳山っていう三浪生!!!と初美っていうキャバ嬢がキャバクラで出会い、帰る際に、初美が三浪の徳山に死に亡くなったら電話してというメモを書いた名刺を渡す場面から始まります。この初美がただのキャバ嬢じゃなくて、かなり読書家でこれまでの歴史における虐殺や処刑みたいなダークな内容にかなり詳しくて、独特の価値観を持っているんですね。で、初美の方から三浪の徳山にアタックしてほどなくして付き合うことになります。三浪の徳山の性格は、臆病で見た目はいいのに自分に自信がないというものでした。しかし、初美と付き合い、彼女から虐殺や拷問、自殺みたいなダークな内容を知ることで少しづつ考え方が変わっていきます。ある時、初美はこのまま生きていてもつらい事ばかりだから心中したらいいんじゃないかと三浪の徳山に言います。当初、三浪の徳山はこれに同意しかねますが、色々のことが起き、彼女と時間を過ごすとともに三浪の徳山の考えも彼女と同じになっていきます。そして、三浪の徳山の受験があり、見事受験したすべての大学に合格しました。しかし、彼は入学金を無くしてしまい、絶望のどん底に落ち、そのころから拒食症の症状が顕著になっていきます。ちなみに、初美は元々かなりの拒食症だった(食欲と性欲はなくなったほうがいいと考えている)。徳山の元バイト先の女性の先輩は、合格したことを喜びながら初美と付き合い始めてから様子が変わってきた徳山を心配しており、みんな徳山がいなくなって寂しがってるよ(徳山は、バイト先の人間関係に疲れてしまいかなり強引にバイトをやめてしまっている)、私はあなたの力になりたいみたいな長文のメールを送ってきます。それに対して、なぜか初美が返信をして、そんな同調圧力で人を巻き込むな、今までこれと言って大切にしてきたわけでもないのに今更なんだ、力になりたいのはあたなのエゴだろみたいな返信をします。そして、食わずの生活の先に、徳山と初美が生と死についていきついた考えを述べて終わる、といった感じです(だいぶ省略&主観的な抜粋になっています)。
感想
なんといっても初美の死生観、人生観みたいなものはとても19歳とは思えないですね。特に、自分がどう思っているかというより、これまでの歴史からこういう事が起こっていて、現代でも目に見えにくい形でそういった事が起こっており、そうなんだったらそんな悲惨な人生を生きる意味があるのかな?みたいな論理展開は、完全否定が難しい上に彼女は正解を求めているのではなく、だからあんまり生きる意味がないという確固たる答えに行きついているところにこうなんか心臓がギュっ!!ってなってしまう感じが堪りませんでした(*´Д`)ハァハァ
そして、そんな18禁な刺激をバンバンしてくる初美にどんどん感化されていく三浪の徳山!!わかるよ!!って思いながらも、どうするべきだ!なんていう答えがないのをもどかしく感じながら読んでいました。でも、彼は一方的に影響を受けているという感じではなく、影響を受けていることを認識しながら、かといってそれを回避しようとせずに受け止めていました。
読んでいて、こいつは一体どうしたいんや?って思っていましたが、よく考えたら21歳くらいであり、答えのないことを自分の中で明確にするのは難しいのよな~~きっといくつになってもムズイもんな~~となっていました。その一方で、初美の価値観が確立されているのが際立って異質に思えました(ちなみに初美は19歳)。
初美の価値観は、上に立っている人たちは聞こえのいい事で人々を騙し、クソみたいなことさせてをその旨味を吸ってるクズしかいない(昔は、大量虐殺とか、現代ではねずみ講など)。どの時代もその見た目を変えながら結局、本質が同じであり(下の人たちをよくわからないことで操り、自分はすごいとか、正義の名のもとに行っていると信じている)、そういった人間が成功したり権力を持つ世の中で生きていてもつらいだけじゃね?とか、人に与えられて役割、例えばキャバ嬢、浪人生、アルバイトみたいなものに無理やり自分を合わせてしまい、それが無意識的に行われてしまい本来の自分が分からなくなるようなことが起きたら、それこそ自分で自分をだましていることになって、やはり生きている意味が見いだせなくなる。だから、一番いい状態で死んでしまえばそれ以上クソみたいなことをすることもできず、いい状態以下になることがないからその時が来たら躊躇せずに死ぬのがベストなのでは?これが、初美の価値観です。初美、怖い。
あと、全然食べ物を食べなくなるというのも、身体的にのみならず精神的にも徳山と初美が後半になるにつれてどんどん不健康になっていく様子をイメージせざるを得ない構成になっていて、エッチだなと思っていました。というか、内容的には普通にエッチな内容は入っており、最初は官能的な印象で後になるにつれて生命的?な印象に変化して、痩せているもの同士のチョメだとなぜか生命を感じるんだな、みたいなことを思っていました。
最後に、、、
物語が進みにつれて、徳山がどんどん変わっていき、変わらないで!!って思うときや、やるやんけ~みたいなことが色々起こり、もう読んでいる間は(*´Д`)ハァハァ←こんな感じ。完全に弄ばれました。許せません。
内容的には重いかもですが、割とサクッと読めるのでコレ→(*´Д`)ハァハァになりたい人は読んでみてはいかがでしょうか?