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内容証明郵便の出し方:交渉で断る方法と契約取り消しの確実なやり方とは?

契約解除の通知、未払い代金の督促、損害賠償請求、
紛争中の相手の主張に対する反論を伝えるのに
内容証明の郵便サービスを利用することができます。

また、

・退職者による機密情報、顧客情報の持ち出しへの警告
・従業員による着服、横領のケースで横領金の返還を求める
・インターネットに掲載された誹謗中傷記事の削除を求める

など、口頭での話し合いでは解決できない問題は、文章化して記録を残し、相手にこちらの意思表示を明確に伝えることが必要です。

それでも解決できない重要な問題は、裁判に持ち込むことになりますが、その場合でも、内容証明郵便は有効な証拠として利用できます。

今回は、内容証明郵便について、その出し方や効力についてまとめました。

内容証明郵便とは?

『「内容証明郵便」とは、郵便を出した内容や発送日、相手が受け取った日付等を郵便局が証明するサービスです。』

内容証明郵便の効力

契約解除では「正しい手続きで契約を解除したことを後日証明」できます。

例えば:
売却したが商品代金が支払われないために契約を解除して、商品を引き揚げるためには、まず、
取引先(買主)に1週間程度の期間を決めて代金の支払いを求める通知を送る「催告」をします。
「催告」しても取引先が支払わなければ契約を「解除」が法律上求められています。
裁判で契約が解除されているかどうか問題になったときは、「解除」の前に「催告」をしていることを解除した側が証明する必要があり、
「催告」を普通郵便で行うと、相手から「受け取っていない」と言われれば、「催告」を行ったことの証拠がなく、証明できなくなってしまいます。
そこで、催告文書の内容や相手が受け取った日付等を郵便局に証明してもらうのが「内容証明」です。

相手が代金を支払わない場合の、支払督促では、「債務者に心理的圧迫を加え、回収を実現しやすく」なります。

「期限までに請求に応じない場合に法的な措置をとること」などを記載して、法的措置をとる意思を明確に示し、債務者に心理的圧迫を加えます。

著作権や商標権の侵害で、損害賠償を請求する場合も「期限までに請求に応じない場合に法的な措置をとること」などを記載して、相手に心理的圧迫を加え、損害賠償の支払いにつなげることができます。

紛争中の相手に反論する場合

紛争中の相手から請求や警告を受け、文書で反論する場合に、内容証明郵便が使われます。
内容証明郵便で反論すると、
・請求に応じない意向が固いことを明確に示せる
・請求に対して自社が反論した内容を後日証明できる

例えば、
購入商品に欠陥があり、代金請求を拒否する場合、商品に欠陥があるので支払わない意向が固いことを明確にして請求を断る必要があります。

「請求に応じないこと」と「その理由」を記載して、相手に正式な回答であることを理解させることができます。
後日、代金支払請求の裁判を相手が起こしてきても、裁判前段階の反論の内容を、裁判で証拠として提出し、主張に一貫性があることを裁判所に理解してもらうことが可能になります。

請求に応じない意向が固いことを明確に示す
反論した内容を後日証明できるようにする

内容証明郵便の作成

どのような用紙を利用してもOK
・プリントアウトしたものでもOK
縦書き、横書きいずれでもOK

注意:
1行26字以内、1枚20行以内
資料は同封できない
・資料は別途普通郵便等で送ること
・郵便料金はページ数により異なります

内容証明に記載する項目

  • 文書の表題

  • 通知内容

  • 日付

  • 相手方の住所、氏名(法人は住所、社名、代表取締役名)

  • 自社の住所、社名、代表取締役名

         表題(____書)

前略 ____(以下、「催告人」といいます)は貴社に対し、
以下の通り、____の支払を催告します。
1 催告人は、貴社から____を受け、これを完成させました。
 しかし、____を未だ受けておりません。
 よって、本書面到着後一週間以内に上記____を
 下記銀行口座に振り込み送金してお支払いください。
                記
銀行情報:____

2 期限内に____ない場合は本件について訴訟手続きをとり、
  その際は遅延損害金等もあわせて請求いたしますので、
  念のため通知します。

3 貴社の受け取りがない場合に備え、本書の写しを
  普通郵便でも送付しました。
                                草々
                                日付

大阪市●●区●●●丁目●番●号
株式会社●●●● 
代表取締役 ●●●●殿

                               氏名

内容証明の出し方

  • 3部準備する。(1部は郵便局で保管用)

  • 3部すべてに、自社の社名の横に法人印を捺印する。

  • 2ページ以上になるときは、ホッチキスでとめて、割印を捺印する。
    (割印は自社名の横に捺印した印と同じ印)

  • 封筒1通に相手の住所、社名と自社の住所、社名を書く。
    (内容証明中の住所・氏名・電話番号と同じにする必要があり)

  • 郵便局から発送する。
    (事前に、その郵便局が内容証明を扱っているか確認が必要)
    郵便局のWebサイト」で、確認することができます。

  • 控えを保管:3部のうち1部を、判子を押した後、持ち帰って保管。

追跡サービスで配達状況確認

内容証明郵便の配達状況確認サービスを利用  「郵便局のWebサイト
相手方が受領すると、葉書で、配達証明書が郵便局から送られてきます。

配達されずに、赤字で理由を記載して、返送されてくる場合

受け取り拒否のため:先方が受け取りを拒否する場合
宛所に尋ね当たらず:記載住所に居住していない場合
管期間経過:相手が不在で不在連絡票のメモを入れ、郵便局の保管期間7日間に引き取りがなく、配達員が再度訪れても不在の場合
転居先不明:相手が転居しており、郵便局に転居届を届出していない場合
転居届を出してから1年の転送期間が経過している場合

「受け取り拒否」や「保管期間経過」の対処法

相手の住所に再度、「特定記録郵便」により発送
「特定記録郵便」は、相手のポストに投函され、郵便を出した事実自体を郵便局に証明してもらいます。
その内容は証明されないため、送付文書のコピーを残します。
支払いを督促で受け取り拒否されている場合は、裁判を検討します。

「宛所に尋ね当たらず」や「転居先不明」の対処法

正しい住所を調べて、送付しなおす
弁護士に調査依頼し、現在の住民票上の住所を調べ
法人の場合は、登記簿謄本の社長の住所に内容証明郵便を送付します。

弁護士への依頼

弁護士名義で送付すると、相手にプレッシャーをかけ、迅速な対応が期待でき、裁判を回避することができます。
法的に契約を解除する場合でも、「催告」から「解除」という段階が必要で、内容証明郵便では、通知受領日の証明に役立ちます。
内容証明は、裁判の証拠として有効で、相手方の連絡が弁護士に行くことで、直接対話から解放されます。
その場合は、弁護士名と弁護士事務所の電話番号を内容証明郵便に記載し、「以後の連絡については弁護士宛てにしてください」と明記します。

複雑な内容でなければ、内容証明郵便を弁護士に依頼する費用は「3万円~5万円程度」
「弁護士名義」で、発送後の相手との交渉も依頼する場合は「10万円~20万円程度」
が多いそうです。

書式

内容証明郵便は字数・行数に制限があって、横書きの場合、1行26字以内で一枚に20行以内、あるいは1行13字以内で一枚に40行以内で書くことになっています。縦書きの場合は、1行20字以内で1枚26行以内となっています。1枚で書ききれない場合、複数枚にします。枚数に制限はありません。 電子内容証明郵便を使うと、字数制限はほとんどなくなります。

文字

基本的には、「かな(ひらがなとカタカナ)」、「漢字」、「数字(アラビア数字、漢数字)」の、3種類となります。例外的に、英字、記号を使うことも出来ます。英字は、氏名、会社名地名商品名などの固有名詞を表す場合だけ例外的に使えます。記号は、一般的なものは使えるとされていますが、括弧(「」、『』、〔〕)や句読点(、。)、一般的な記号(+、%)などは、1字として数える点に注意が必要です。

表題

文書に付けるタイトルのことです。タイトルが無くても内容証明自体に問題はありませんが、多くの場合、「通知書」「通告書」「請求書」「催告書」「督促状」「警告書」「回答書」などのタイトルが付けられています。

本文

自由に書いて問題ありませんが、感情的にならず、冷静に法的根拠等を記載して、相手側に正確にこちらの要求を伝えることが重要です。また法的根拠の欠落や間違い、金銭請求の際の金額や、日付、時間などの数字記載箇所のミスは要注意です。

年月日

一般的には、本文の後に年月日を書きます(場合によっては、最初に書く時もあります)。内容証明には、郵便局で押される通信日付印が押されて差出日も証明されるので、年月日の記載は必ずしも必要ではありませんが、文章を作成する場合、作成日ないしは差出日を記載するのが普通です。年号は、元号、西暦、どちらでもかまいません。

差出人・受取人

差出人と受取人の住所・氏名を書きます。そして、差出人の氏名の下(横書きの場合は横)に捺印(押印)します。印鑑は認印でも構いません。表題(タイトル)に合わせて「通知人 ○○ ○○」「被通知人 ○○ ○○」などの肩書を書いてもよいです。一般的には、本文の後に書くことが多いのですが、場合によっては文書の最初に書くこともあります。また、受取人の記載のみを最初に書き、最後に差出人を記載する書き方もあります。代理人によって内容証明を出す場合には、代理人の住所・氏名を書き、代理人の印鑑を押します。なお、ページが複数になったときに押す契印(割印)も代理人の印鑑を押します。 ※本人と代理人の両者を連記する場合には、本人の捺印(押印)は必要ありません。

文字の訂正・削除

① 削除・訂正する箇所の文字に、二本線を引いて消します。塗りつぶしてはいけません(消した部分を読めるようにしておかなければならないからです)。② 消した箇所のわきに、正しい文字を書き入れます。縦書きの場合は右か左、横書きの場合は上か下です。③ 縦書きの場合は消した箇所の上か下、横書きの場合は消した箇所の右か左の欄外に、「壱字訂正」、「弐時挿入」などをを書き入れて捺印(押印)します。


部数

内容証明書はカーボンを使って複写したり、またはワープロ等で1通作って他をコピーしても構いません。ただし、差出人の捺印や、訂正印はコピーした後に押印しなければなりません。部数は、相手に郵送する分と、郵便局で保管する分と、自分用の3通用意します。相手方が2名以上いてそれぞれに郵送する場合は「同文内容証明」といって、相手方の名前を連記した人数分の郵送用文書と、郵便局で保管する分と、自分用の3通用意します。2名以上の相手方に連名ではなく1人ずつ記名して送りたい場合は、1人1人記名した各相手方の郵送用文書と、郵便局で保管する分と、自分用の3通用意します。


内容証明テンプレート(郵便局窓口用)ダウンロード内容証明テンプレート(e内容証明用)ダウンロード

電子内容証明サービス(e内容証明)での差し出し方法

①事前準備(※初回のみ)電子内容証明サービスを利用するには、登録と専用ソフトのインストールが必要です。予め下記のホームページで登録手続をし、会員専用ページから「e内容証明ソフトウエア」をダウンロード・インストールしてください。

>>郵便局の専用サイトはこちら

②文書作成以下の規定を満たすように、ワープロソフトで文書を作成します。

アプリケーションソフトMicrosoftWord95,97,98,2000JustSystem一太郎Ver.8,9,10用紙(余白)A4縦置き・横書き(上左右:1.5㎝以上、下:7㎝以上)A4横置き・縦書き(上下右:1.5㎝以上、左:7㎝以上)文字サイズ10.5ポイント以上450ポイント以下使用できる文字と記号1仮名(ひらなが・カタカナ)2漢字(漢字を使っていても中国文や韓国文は不可)3数字(算用数字や漢数字も使えます)4英字(固有名詞に限る)5カッコ(「」、『』、()、<>など)6句読点(、及び。)7一般的な記号(%、+、=、㎝、㎡、①、

など)字数制限なし枚数最大5枚まで図・表使用不可文字装飾太字・斜体のみ(その他は変換時にエラーになります)

③専用ソフトウエアの起動「スタート」-「プログラム」-「電子内容証明サービス」-「利用者端末ソフトウエア」の順に選択し、e内容証明ソフトウエア起動させます。

初めて起動した場合は、代表差出人(謄本の返送先となる差出人)を事前に指定する必要があります。メニューの「設定」ボタンより設定画面を開き、「代表差出人」タブを選択して代表差出人のデータを入力します。

④郵便ファイルの作成「郵便ファイル作成」ボタンをクリックし、以下を指定します。

文書①で作成した文書を選択します。差出人差出人を連名にする場合、「差出人編集」ボタンをクリックし、代表差出人以外の差出人データを入力します。差出人を連名にしない場合、この操作は不要です。受取人「受取人編集」ボタンをクリックし、受取人データを入力します。宛名の自動挿入内容文書の本文に、差出人及び受取人の住所氏名を自動挿入するかを選択します。「速達」「配達証明」「親展」の指定差出人に対して、謄本の返信を「速達」にするかを選択します。受取人に対して、原本に「速達」「配達証明」「親展」を付加するかを選択します。配達証明は必ず選択してください。「完全同文内容証明」「不完全内容証明」の選択受取人を複数指定した場合、完全同文内容証明郵便とするか、不完全同文内容証明郵便とするかについて選択します。受取人を複数指定しない場合、この操作不要です。

⑤入力データの確認

④の作業が終わったら、「次へ」をクリックします。文書の画像イメージが作成されるので、プレビュー画面で確認します。確認が完了したら、画面右下の「完了」ボタンをクリックします。ここで、作成した電子内容証明郵便の利用料金が提示されるので、「今すぐ送信する」「はい」をクリックします。

⑥郵便ファイルの送信WEBブラウザが起動し、自動で電子内容証明受付のログインページに接続されるので、ログインし、送信ファイルの指定画面から、送信ファイルを選択し、「送信」をクリックします。

⑦文書の最終確認・差し出し受付文書一覧が表示されるので、「文書確認」をクリックして文書の最終確認をします。確認が終了したら、「差し出し」「OK」をクリックすれば、差し出し完了です。自動的に内容証明文書が3部作成され、原本は受取人、謄本は差出人に郵送されます。受付完了画面が表示されたら、プリントアウトして保管してください。※詳細はオンライン説明書「e内容証明ソフトウエア操作マニュアル」をご参照ください。

最低かかる費用は以下のとおりです。料金体系の詳細については、電子内容証明サービスのホームページをご参照ください。


(2)郵便局の窓口への差し出し方法

①文書の作成以下の規定を満たすように、文書を作成します。

用紙指定なし。大きさや種類は問いません。記載用具指定なし。手書きでもワープロでも構いません。形式(横書きの場合)
・1行20字以内、1枚26行以内
・1行13字以内、1枚40行以内
・1行26字以内、1枚20行以内(縦書きの場合)
・1行20字以内
・1枚26行以内枚数自由使用できる文字
・記号1仮名(ひらなが・カタカナ)2漢字(漢字をつかっていても中国文や韓国文は不可)3数字(算用数字や漢数字も使えます)4英字(固有名詞に限る)5カッコ(「」、『』、()、<>など)6句読点(、及び。)7一般的な記号(%、+、=、㎝、㎡、①、

印鑑は、実印である必要はなく、認印や三文判でも構いません。
文字・記号の訂正、挿入、削除の方法訂正・削除したい文字を、訂正前の文字が判読できるように、2本線で消します。
2本線を引いて消した文字のわき、横書きなら上側、縦書きなら右側に、訂正後の文字を書き添えます。訂正した字数および箇所を、欄外または末尾の余白に「○行目○字訂正」「○行目○字削除○字加入」のように記載し、差出人の印を押印します。訂正箇所が明瞭な場合「○行目」の記載は省略できます。
差出人が2名以上いる場合には、差出人全員の印鑑が必要です。契印文書の枚数が2枚以上になるときは、ホッチキス等で綴じ、そのつなぎ目に差出人の印鑑を押します。
差出人が2名以上いる場合には、差出人全員の印鑑が必要です。通数同じ内容の文書を3通準備します。
同文であれば、3通を作成する方法は自由です。3通とも手書きでも、カーボン紙による複写でも、コピーでも構いません。

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