大田区議会議員もVR授乳カフェ!?甘える議員を90人が見守る - Cafeキタリナ
現職議員に授乳した。5月5日こどもの日、VRSNSのVRChatユーザーイベント「授乳Cafeキタリナ」に、東京都大田区議会議員おぎの稔氏を招いた。授乳体験の様子を、VIVEアンバサダーでバーチャルYouTuberバーチャル美少女ねむさんのチャンネルで「オギャの議員、ママになるんだよ」として配信。90人が視聴した。アバターコミュニケーションにより、現代社会が抱える孤独やソーシャルディスタンス(社会的距離)問題への対応方法を考える取り組みで、VR文化の振興を目的にNPO法人バーチャルライツ(SUKANEKI理事長)が後援した。
▼VRで安心感、授乳カフェ
バーチャル授乳Cafeキタリナ(ホシライム店長)は、有志の店員が哺乳瓶アイテムを使い、参加者に授乳を模したコミュニケーションをするVRイベント。アバター姿の店員が保護者役になることで、安心感や癒しを提供する。みんなから愛される「赤ちゃんのような気分」になることで、自己肯定感が高まったいう参加者も多い。VR対応PCが必要で毎週日曜日午後3時から開く「Cafeキタリナ」と、スタンドアローン機Oculus Questに対応した毎週木曜日午後10時30分開催の「キタリナQ」(円角店長)がある。合わせて約50人の店員が所属している。
▼大人が赤ちゃんになれば少子化解決
企画の発端は、おぎの議員の少子化問題に関するツイートに対し、蘭茶みすみが引用し、「少子化問題は、大人が赤ちゃんになれば解決する」と提案したこと。今いる大人たちが赤ちゃんになれば、つぼ型人口ピラミッドは三角形に正常化し、相対的な少子化問題は解決する。何者にもなれることで、空間的どころか時間的な人口移動が可能になるのがVRの力である。
また、大人が甘えられるようになれば、社会に余裕が生まれる。大人が「甘える」「存在を全肯定する」ことを覚えると、気軽に他者を頼ることができるようになるので、憎しみや苦しみが無くなり虐待も減る。授乳カフェのように、肉体に無関係に「親を選べる」「親は何人いてもいい」価値観が浸透すれば、子どもは自分に合った親のところへ行けばいいので、可能性を伸ばすこともできる。甘えられる社会は余裕があるため、実際の子どもも育てやすくなり、絶対数的な少子化問題解決につながる可能性もある。保護者が育児に疲れる前に、我が子の隣でオギャれる世界を作りたい-との考えからだ。
▼おぎの議員、授乳を体験しママになる
授乳カフェにバーチャル美少女の姿で現れた、おぎの議員。ねむちゃんと「名前的にいかがわしい雰囲気がある」と、初見の感想を語った。ホシライム店長が「授乳カフェは癒しを目的としており、いかがわしいことは許容していない」と説明。「甘えられる環境」とはどんなものかを知るため、赤ちゃんになって実際に授乳を体験してみることにした。
おぎの議員が授乳を受けたのはママ2人とパパ1人。首謀者で最初の蘭茶みすみママは極めて概念的なママで、おぎの議員を抱き上げて、子守唄を歌いながらゆりかごのように揺らした。おぎの議員は揺られながら「寝ちゃいそう」になったという。
「~のじゃ」という口調が特徴の、ささら白雪ママ。アバターのデザインに共通点もあって、おぎの議員は「親子みたいだ」と親近感を覚えた。顔の近さに圧倒され、「大人になったらなかなかほめてもらえないじゃろ」に納得していた。
爽やかお兄さん系のおサルパパは、おぎの議員を持ち上げ、高い高いや肩車をした。おぎの議員はパパ需要があることに驚き、丁寧さと力強さに安心感を覚えたという。ビューポイントを中心とした撫で方も知り、授乳の技術的側面も体感した。
授乳を受けたおぎの議員は、遂に自分がママになる選択をする。ゴールデンウィーク中の連日の配信に疲れたねむちゃんを持ち上げて、ママやパパたちから受けた技術を実際に活用。ねむちゃんをなでながら授乳した。「いつもより多めに寝てもいいかもしれないね」と、ビューポイントのまわりを上から下へゆっくりと撫でた。短時間で授乳を習得したおぎの議員。市民の声を聞いて実際に動く様子は政治家であり、ママだった。
▼VRならではの愛情表現と居場所の創出
おぎの議員は、VRとアバターコミュニケーションとしての授乳について「感染症の問題や、肉体的な問題もあり、現実にはここまで近づけない。かわいい姿でお互いに癒し合えるのはVR特有の体験だ」と述べた。人間には居場所が大切だとして、「現実に出るといろいろな役割を求められ、助けを求められない、甘えられない環境がある」「童心に帰って赤ちゃんになって甘えられる場所としてキタリナがある」と締めくくった。
▼まとめ
現代社会が抱える社会問題をVRコミュニケーションを活用して解決を図る画期的な配信になった。また、授乳カフェは名前からいかがわしいイメージがあるため、「癒し」や「安心感」と言った本来の趣旨を伝えることができた。物質現実以外にも選択肢を増やすことができるVRとアバターは、現実の成人の肉体では難しい「甘える」という行為を可能にして魂を解放する力があり、新しい可能性を感じさせる。人間が生きやすいようにするための新たな価値観を広める方法が、楽しい配信というかたちで実現できて大変意義深いものになった。
▼出演者、後援
・NPO法人バーチャルライツ
VRSNSのユーザー団体。消費者団体にあたるもので、VRに関する文化振興を図り、表現の自由を保護する活動をしている。本配信はVRイベントの後援第一号となった。理事長は現役慶大生SUKANEKI氏。
・おぎの稔氏
東京都大田区議会議員。無所属で2期目。議員系VTuberとしても幅広く活動し、当日に「もしドスケベ条例ができたら?」という配信をトレンド入りさせた。
・バーチャル美少女ねむ氏
世界最古の個人VTuber。NHKや朝日新聞などに「バ美肉」を広めた。世界初VRSNSで撮影したフルフェイストラッキングMV「Virtual Stargazer」をリリースした。
・ホシライム氏
バーチャル授乳Cafeキタリナ店長。テレビ出演も果たした。授乳カフェの活動を広めるため、VTuberも始めた。
・円角氏
バーチャル授乳CafeキタリナQ店長。「Questにも慈愛を」をモットーに、広く授乳カフェの普及を図っている。
・ささら白雪氏
バーチャル授乳Cafeキタリナ店員でVTuber。Virtual CastやVRChatを使った配信でもママをしている。
・おサル氏
バーチャル授乳CafeキタリナQ店員。パパ需要を開拓し、授乳技術の普及を図っている。
・蘭茶みすみ
世界最古のバーチャル存在提案者で元VTuber。VR世界の日常生活をエッセイにしている。