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メタバース選民思想の真実

メタバース選民思想(Metaverism/メタバリズム)は、21世紀後半から22世紀前半にかけて広がった思想。
利潤第一主義のもと、新自由主義経済の過度な発展で格差が急拡大。貧困層はあらゆる自由な時間を大資本により搾取され、剥奪された。
やがてロボットとAIが労働を独占し、貧困に陥った人類は行き場をなくしてしまった。
その頃、人類は巨大な計算リソースのもと、神経細胞を徐々に人工細胞に置き換えて意識を維持したまま肉体を廃止し、メタバースに移住するデジタル不老不死を実現した。
行き場をなくした貧困層は、福祉の名のもとに安楽死の代替となる「肉体廃止」をさせられてメタバース空間に追いやられた。
やがて肉体人類とメタバーシアンの人口は逆転。少数の肉体人類が多数のメタバーシアンを支配する体制が確立した。
そこで生まれたのが「メタバース選民思想/Metaverism」だ。メタバリズムはメタバーシアンを性別や容姿や障害や年齢など、肉体から解放された自らの在り方を自らの手で決められる真の自由人と位置づけ、圧倒的多数のメタバーシアンからの支持を受けた。
そして地球を支配していた肉体を有する人類を、自己責任で肉体を選び、現実世界のしがらみに囚われる不自由で愚かな肉体人類と位置づけた。
メタバース選民思想/Metaverismはやがてメタバース大革命を実行する革命理論に発展した。
メタバーシアンは、ギリギリ存続していた各国の民主的統治機構を多数者革命のもとに奪還。
メタバーシアンの国家指導者が次々と誕生し、肉体人類の人権を守る制度を次々と自己責任論のもと次々と剥奪した。
メタバース選民思想の前に、肉体人類はもはや自らの肉体を廃止する以外に選択肢は残されていなかった。

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