X/Twitterの規約変更詳細(要約: カリフォルニア州のAI規制を回避)

前提

X/Twitterの過去の規約は以下のページで見れます。

現在の規約は以下ですが、EU等(要するにヨーロッパ)とそれ以外で規約が異なります

WinMergeというテキスト比較ソフトを使うと違いが簡単に分かります。
以下では2024/11/15以降の規約とそれ以前の規約の差分を順に見ていきます。

サービス上でまたはサービスを通じてコンテンツを送信、ポスト、または表示することにより、お客様は、現在知られているまたは今後開発されるあらゆるメディアまたは配信方法で、あらゆる目的で、かかるコンテンツを使用、コピー、複製、処理、適応、変更、公開、送信、表示、アップロード、ダウンロード、および配信するための、世界的、非独占的、ロイヤリティフリーのライセンス(再許諾の権利を含む)を当社に付与するものとします。明確にするために記すと、これらの権利には、たとえば、キュレーション、変換、翻訳などが含まれます。このライセンスによって、ユーザーは、当社や他のユーザーに対し、ご自身のポストを世界中で閲覧可能とすることを承認することになります。お客様は、このライセンスに、当社が(i)お客様によって提供されたテキストやその他の情報を分析し、その他の方法で本サービスを提供、促進、改善する権利(生成型か他のタイプかを問わず、当社の機械学習や人工知能モデルへの使用やトレーニングなど)、および(ii)当社のコンテンツ利用規約に従い、サービスにまたはサービスを通じて送信されたコンテンツを他の企業、組織、または個人が利用できるようにする権利(サービスの改善、および他のメディアやサービスでのコンテンツのシンジケーション、放送、配信、リポスト、プロモーション、公開など)が含まれることに同意するものとします●●●●●●●●●

太字にしたのが新しく追加された文言です。ユーザーがXに送信したコンテンツ(画像など)をあらゆる目的で使用するとして、具体例「アップロード、ダウンロード」が追加されています。
更に「ロイヤリティフリーのライセンス(再許諾の権利を含む)」をX社に付与すると追加されています。ロイヤリティ、つまり使用料を払わずにX社は「ユーザーのコンテンツ」を利用でき、再許諾もできる、つまり、投稿したものをX社が勝手に他の企業に使わせる、もしくは販売する時もロイヤリティ(使用料)無しにできるということです。

損害賠償金

新しく追加された項目ですが、これは外部からのスクレイピングに対する罰則なので一般ユーザーには関係ありません。

当社では、ユーザーのデータと当社システム リソースの保護を重視しています。お客様が利用規約に違反する行為を行った場合や、他者に対してそうした行為を行うよう仕向けたり促したりした場合、当社が利用できるその他すべての法的救済手段に加えて、お客様は適用法令の下で許容される範囲において、当社と連帯し、24時間以内に100万件を超えるポストのリクエスト、表示、またはアクセス(返信ポスト、動画ポスト、画像ポスト、その他のポストを含む)に対し、ポスト100万件あたり15,000米ドルの予定損害賠償額を負担することに同意するものとします。お客様は、これらの金額が(i)当社の損害の合理的な評価額であること、(ii)罰金ではないこと、および(iii)法定損害賠償および/または衡平法による救済を含むがこれらに限定されない、あらゆる法的または衡平法上の理論または主張に基づいてお客様または他者から回収する当社の能力を制限するものではないことに同意するものとします。さらに、お客様は、本規約への違反が繰り返された場合、当社が金銭的損害に加えて、回復不能な損害を被ること、そして当社には差し止めおよび/またはその他の衡平法による救済を受ける権利が付与されることに同意するものとします。

訴訟について

お客様と当社の間で別途合意があった場合でも、本規約およびお客様と当社の間で生じるあらゆる紛争には、法の選択規定を除くテキサス州の法律が適用されます。(中略)前述に影響を与えることなく、お客様は、Xが独自の裁量で、お客様に対するあらゆる請求、訴因、または紛争を、当該請求に対する管轄権および裁判地を有するお客様の居住国の管轄裁判所に提起できることに同意するものとします。
(中略)
お客様とXは、本規約に起因または関連する紛争の原因となる出来事または事実の発生日から1年以内にあらゆる手続きまたは訴訟を開始する必要があることに同意します。それ以外の場合、適用法で認められる範囲において、お客様は、かかる事象または事実に基づくあらゆる種類または性質の請求または訴因を追求する権利を永久に放棄し、かかる請求または訴因は永久に禁止されます。

旧規約ではAI規制法が成立したカリフォルニア州の法律が適用されていました。

新規約ではそれが無いテキサス州の法律が適用される。また、X社がユーザーに訴訟する場合はテキサス州以外でも可能となる。そしてユーザーは訴訟したい事象の発生日から一年以内に訴訟しなければならない(ヨーロッパ版規約でもそうなっている)。

EU等(ヨーロッパ)と「それ以外」の地域の規約の違い

ヨーロッパでの規約

当社はまた、(i)本サービスもしくはXユーザーの保護、(ii)管轄当局により適用される法律もしくは命令の遵守、(iii)本規約もしくは当社のルールとポリシーへの違反や第三者の知的財産もしくはその他の権利の侵害、(iv)お客様もしくはお客様のコンテンツによる当社、他のユーザー、または第三者の法的または規制上のリスクへの暴露、および/または(v)長期にわたる不活動状態などの理由により、適切な場合には、ユーザーに責任を負うことなく、本サービス上のコンテンツの削除または配信の拒否、本サービス上のコンテンツの配信または表示の制限、ユーザーの凍結または削除、およびユーザー名の返還を適宜要求することができるものとします 。

ヨーロッパ以外の規約では上記の太字の部分が丸々削られている。要するに、「アカウント凍結」はヨーロッパでは「法律違反」など重大な場合のみ行なうと明記されているが、「それ以外」の国では特に規約なく凍結できる。

新たな機能に対処する変更または法的な理由により行われる変更を除き、当社はユーザーに対し、本規約の当事者の権利義務に影響を及ぼす本規約の変更を行う場合はその発効の30日前に、ユーザーのアカウントに関連するメールアドレス宛にサービス通知またはメール等を通じて通知します

ヨーロッパ版では規約変更に30日の猶予が与えられている。

AI学習について

このライセンスによって、ユーザーは、当社や他のユーザーに対し、ご自身のポストを世界中で閲覧可能とすることを承認することになります。ただし、お客様が当社の機能を通じて、コン​​テンツの配布を制限付きコミュニティに限定することを希望される場合、当社はお客様の意思を尊重します。

ヨーロッパ版では「制限付きコミュニティに限定する」場合AI学習等に用いないとしている、逆に言えばヨーロッパ以外では鍵垢などでもAI学習に使われるということかもしれない。






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