![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/118442641/rectangle_large_type_2_42a2cf255a07ccd65758b55a7554a710.png?width=1200)
高度情報処理技術者試験のいろいろ
高度情報処理技術者試験について、これまで受験した区分を中心として感想とか気を付けていることとかを述べていきます。
2023/10/10 初版
2024/07/05 一部修正、ITサービスマネージャの内容を追記
はじめに
記載内容は筆者個人の主観がベースです。
あくまで筆者が受験したときの状況に基づく記載であるため、現在とは状況が異なる可能性があります。
普段は某企業でSIerもどきをしています。
筆者は以下区分に合格しています。
情報処理安全確保支援士(SC) 2018春
ネットワークスペシャリスト(NW) 2018秋
エンベデッドシステムスペシャリスト(ES) 2020秋
データベーススペシャリスト(DB) 2021秋
プロジェクトマネージャ(PM) 2022秋
システムアーキテクト(SA) 2023春
ITサービスマネージャ(SM) 2024春
以下区分は合格していないため、未記載。
(合格したら追記するかも)
ITストラテジスト(ST)
システム監査技術者(AU)
全般的な話
午前Ⅰ
唯一免除が効くので、あらかじめ突破しておいた方がいい。
午前Ⅰ免除のためだけでも受験料支払って受けに行く価値はある。
午前Ⅱ
ここで落ちるのはお金も時間も勿体なさすぎる。
過去問道場等のWebサイトで対策可能。ただし、SC, NW, DB, ESは専門用語が多く登場するので、参考書などで確認しておくとよい。
マネジメント寄り区分なら業務経験などである程度カバーできなくもない。
午後Ⅰ
90分間は長いように思えて意外と短い。
特にマネジメント区分であれば、問題文の読み解きで本番ぶっつけでも解けてしまうだろうが、時間感覚および筆記で問題を解く感覚をつかむために、事前に解いてみることをおすすめする。
SCは午後Ⅰ, Ⅱの区分がなくなり、150分となった。文章問題でそれだけの時間向き合うのはかなり集中力が要ることが予想される。
午後Ⅱ
NW, DBについては基本的に午後Ⅰと同じ。時間がより長いので更なる集中力が求められるのがプラスされる。
120分という長丁場であり、そして午後Ⅰまでの疲れも積み重なっているので、体力的にも注意。
論述については、以下が個人的に気を付けているポイントである。
①文字数、文章に関する前提
問題文で指定された文字数を書けることが必須。合計文字数は最低2,000字、できれば2,500字は書けると良い。
設問アは最低文字数の制限が無いが、かといって文字が少ないと説明不足になる。800字制限の場合は最低600字、できれば700字は書きたい。
設問イ, ウは最低文字数を守ること。空白マスや空白行で稼いだ箇所はバッサリ切り落とされる。
論文として成立する文章を書くことも大事。文語体を使う、インデントを揃える、最後は"以上"で締める、等。
②時間目安
あくまで目安だが、筆者は以下を目安にして記述している。
14:30~15:10 問題選択、論文設計、設問ア
15:10~15:55 設問イ
15:55~16:25 設問ウ
16:25~16:30 質問書、最後の見直し
③練習時
最低1度は練習として論文を書いてみる、練習で3時間以内で書けるようにする。
練習段階では2時間以内に書けなくて良い。3時間以内に書けるようになっておけば、なぜだか本番では筆が進んで2時間で書けるようになっている。
試験区分で求められている立場になって解答する必要がある。例えば、SAであれば技術者目線で、PMであればプロジェクトおよびメンバを管理する目線で解答する。
具体的な数値を盛り込むようにする。数値指標があると、専門家として改善できたことのアピールに繋げやすい。
論文のテーマとして使えそうなネタを最低1つ、できれば2つ用意しておく。やったことないテーマでも架空のテーマでも良い。
④本番時
消しゴムで消すのが間に合わない場合は吹き出しを書いたり二重線で消して対応することもあり得るし、これは認められる。線を引けるように定規を持参しよう。
質問書(論文前の、プロジェクト内容やシステム内容を書くところ)の書き忘れに注意。
論文としての体裁ができていれば、評価は最低でも「B」になる。「A」になれるかは内容次第。
最低文字数を守っていて論述内容に筋が通っていれば、時間がなくて最終節で1文しか書けなかったなど多少の粗があっても「A」になれる。
文字数不足でもないのに評価「C」「D」の場合は、設問のテーマに沿っていなかったり内容が支離滅裂だったりするなど、論文として何かしらの問題がある可能性が高い。
参考情報
■おすすめの勉強法
ITEC通信教育
1回5万円ほどかかるのでお財布に優しくはないが、午前問題から午後問題までカバーしてくれるのでかなり役立つ。
筆者は新しい区分を受験する度にこの通信教育を受講している。
特に論文の添削指導には大いに助けられること間違いなし。
■午前Ⅱ対策サイト
・過去問道場(SC, NW, DB, PMが対象)
・過去問対策.com(全区分対象)
■個人的におすすめな参考書
以下に示す参考書はITEC通信教育にも付属するが、「やっぱり5万円は高いよ」という人向けに参考書を個別に紹介する。
・重点対策(午前Ⅱ, 午後Ⅰ, 午後Ⅱ 全てカバー)
・合格論文の書き方/事例集
各区分の話
筆者が合格した区分についての話。主観要素多め。
情報処理安全確保支援士(SC)
応用情報処理技術者試験(AP)を突破したら次はこれがおススメ。唯一、春秋の年2回開催なのでチャンスが多い。
最低限午前Ⅱを突破するだけの知識は必要だが、午後はかなり国語チック。問題文中に答えが隠れていることが多く、セキュリティの知識も必要だが国語力の方がより強く問われている感はある。違う言い方をすれば、問題文中に答えがあるおかげで、当日ぶっつけでもある程度食らいついていける。
筆者が受験したのは午後Ⅰ, Ⅱに分かれていた時代だが、午後が一本に統合されてからも問題の性質は変わっていないと思う。
ちなみにエセ士業である。そのため、職場からの登録料補助でもない限り、試験合格した後に情報処理安全確保支援士として登録するメリットはない。
ネットワークスペシャリスト(NW)
セキュリティと関連した出題が多いので、SCの後に狙うのが良い。
ただし、午後Ⅰ, Ⅱは問題文の内容と持っているネットワーク知識を組み合わせて解答しなければいけないことが多い。問題文中に答えがそっくりそのまま隠れていることはあまりなく、そこがSCとの大きな違い。
必要なネットワーク知識がシンプルに多く、また横文字だらけなのでそれが覚えづらさを助長している。
エンベデッドシステムスペシャリスト(ES)
午後Ⅰ, Ⅱは、ハードウェア分野とソフトウェア分野で大問の性質が比較的はっきりと分かれている。あらかじめ選択する分野を決めておくとよい。
2023年度から午後Ⅱが論述になってしまったので、あまり語れることがない。ただでさえ需要がない区分なのに、論述にしたことでさらなる受験者離れを招いてしまっている。IPAの考えていることは分からん。
データベーススペシャリスト(DB)
定規必須。ほぼ全員がE-R図を描くことになると思うが、狭い図の中に線を引きまくるので、定規がないと図がぐちゃぐちゃになって悲惨なことになる。
SCやNWのように単語を頭の中に詰め込む必要はあまりない代わりに、どれだけスムーズに午後Ⅰ, Ⅱの作図に対応できるかが重要。E-R図もだが、正規化でも線を引いて解答することがあるので、手際の良さが問われる。
SQLも基本的なところだけでいいので覚えておくのが吉。
プロジェクトマネージャ(PM)
論述のある区分では一番人気。
文字通り、プロジェクトをマネジメントをする立場になって解答する必要がある。プロジェクトマネジメントの経験がなかったとしても、経験があったフリをして解答すれば問題なし。
数値化しやすい項目としてはQCD(特にコスト面やスケジュール面)が一番だと思っているので、これらを改善したことを前面に押し出していきたい。
プロジェクト内で開発したシステムの仕様/中身については問われないので、技術面についてはあやふやでも問題なし。
システムアーキテクト(SA)
技術者として解答すること。
システムの要件定義や設計面で細かく記述する必要がある。システムへの理解度が浅いと論述内容に粗が出るので、論述で扱うシステムについてはあらかじめ目星を付けておくこと。
システム全体のことに触れて論述したり、システム内の特定機能のみに着目したりと、論述対象となる範囲が問題によって異なる。
ITサービスマネージャ(SM)
ESと並んで最も受験者数が少ない区分の1つ。
PMやSAだと「システムが完成するまで」の内容を論述するが、SMでは基本的に「システムが完成した後」の内容を論述することが多い。
論述対象がシステムそのものではなく、完成後のシステムをサービスとして確立させた「ITサービス」となることもSMの特徴である。
システムユーザの目線も大切になる関係上、PMやSAと比べると論述内容の専門性は低くなり、より一般的な内容も絡めて論述する必要が出てくる。