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R4 予備試験 再現答案 民訴法 D評価

1 再現答案

第1 設問1
1 方法①の適法性
(1)Xは「法人でない社団」として当事者能力を有するから「代表者」たるAの「名において訴えられることができる」。(民事訴訟法(以下略)29条)もっとも、かかる場合に代表者たるAの訴訟上の地位は如何に解すべきか問題となる。具体的には、明文の定めがない以上、法定訴訟担当とは見られないから、任意的訴訟担当としてAによる訴訟追行が認められるか。
ア 民事訴訟法は弁護士代理の原則(54条1項本文)をとっており、さらに訴訟信託は禁止される(信託法10条1項)。その趣旨は、三百代言の跳梁による訴訟混乱を防ぎ、また、かかる混乱によって当事者が不利益を被ることを防ぐ点にある。もっとも、任意的訴訟担当が有用である場合もあるから一概に否定することはできない。そこで①任意的訴訟担当を認める必要があり②かかる弊害が生じない場合には、例外的に明文なき任意的訴訟担当が認められると解する。
イ 本問では、Xが原告となる場合、Xはあくまで「法人でない社団」であり、自然人として訴訟追行することができず代理人による訴訟追行が必要であり、任意的訴訟担当を認める必要がある(①)。さらに、AはXの代表者であるから、Xの利益のために適切な訴訟追行を期待できる。そうすると、Xにとって不利益が生ずることもないし、悪戯に訴訟を混乱させることもないといえる(②)。
 したがって、Aを訴訟代理人として明文なき任意的訴訟担当が認められると思える。
(2)もっとも、本件ではXの構成員の中にYに対する訴訟提起に反対する者がいる。そして判例は、かかる任意的訴訟担当の場合には代表者に対する個別の授権を必要とする立場である。そうすると、Cのみならず、Cと関係の近い相当数の構成員による反対が予想される場合にはその者らからの訴訟追行についての授権が観念できない。したがって、反対者が多数登っている以上方法①の適法性がなくなることになるといえる。
2 方法②の適法性
(1)Xの構成員全員らが原告となって訴訟を提起する場合に、本件訴えが固有必要的共同訴訟ならば、反対者も原告にしなければ訴えが提起できなくなるのではないか問題となる。
ア 固有必要的共同訴訟(40条)となるかは、合一確定の必要性から、訴訟の目的物の管理処分権が共同訴訟人に共同して帰属しているかをまず考慮すべきである。もっとも、当事者の足並みが揃わない場合などで訴訟が提起できないならば、訴権を害することになるから、訴訟手続的な観点も加味して判断すべきであると解する。
イ 本件訴えはXのYに対する、甲土地についての総有権確認訴訟である。Xの意思決定はXの構成員全員で構成される総会の多数決によることとされており、甲土地の処分についてもかかる多数決が適用される。そして長年Xの構成員らは甲土地を利用してきており現在も甲土地は車の部品などの資材置き場として利用しているから、管理権が構成員にあるといえる。そうすると、甲土地についてはXの構成員らにより共同して管理処分される対象となっているから、固有必要的共同訴訟と解するのが相当であると思える。
(2)もっとも、CおよびCと関係の近い相当数の構成員により本件訴えに対する反対が寄せられており、反対者は原告となる気がないであろうから、仮に反対者を含めた全員が原告に立たなければならないとすると、本件訴えは不適法却下されることとなる。
 この点、そもそも固有必要的共同訴訟において原告側に管理処分権者全員が立つのが原則であるのは自らの財産について利害関係を有する者に十分な手続保障の機会を与えることにある。そうすると、反対者がいる場合でも、それらの者被告に立たせることによって反対者の手続保障を図れば、その趣旨を没却せずに済むことになり訴えは適法となると解する。
 したがって本件では、反対者を被告として訴え提起することにより方法②は適法となる。
第2 設問2
1 前段について
(1) Yが所有権に基づき甲土地の明渡請求訴訟たる本件別訴を提起することは「係属する」
甲土地の総有権確認訴訟という「事件について」「当事者」が「更に訴えを提起する」場合にあたり(142条)不適法却下されないか。
ア 142条の趣旨は審理の矛盾抵触回避、訴訟不経済回避、当事者の応訴の煩の防止にある。そこで「事件について...更に訴えを提起する」場合にあたるかは、①当事者の同一性及び②審判対象の同一性を持って決する。
イ 本件訴訟はXのYに対する甲土地の総有権確認訴訟であり本件別訴はYのXに対する所有権に基づく甲土地の明渡請求訴訟である。そうするとまず、当事者は同一である(①)。さらに、本件訴訟の訴訟物は甲土地の総有権であり、本件別訴の訴訟物は甲土地の明渡請求権であるから直ちに同一であるとは言えないものの、両訴ともに実質的には甲土地の帰属が問題となっている点で、審判対象は同一である(②)。
(2)したがって、本件別訴は実質的に「裁判所に係属する」本件訴訟という「事件について...さらに訴えを提起する」ものであり142条に反し、不適法却下される。
2 後段について
(1)「既判力」は「主文に包含するもの」に生じる(114条1項)。これは訴訟物たる権利義務関係についての存否を指すと解する。訴訟物たる権利義務関係の存否について既判力を及ぼせば紛争解決に直結し、かつ十分であるからである。
(2)本問では、前訴の訴訟物は甲土地の総有権であり、その判決の既判力は「甲土地の総有権の不存在」について生じる。そして後訴の訴訟物は、所有権に基づく返還請求権としての土地明渡請求権であり、その既判力は「甲土地の明渡請求権の存否」について生ずる。そうすると、Xが後訴で甲土地の総有権の存否について争うことは禁止されるものの、後訴で甲土地の明渡請求権の存否につき争うことは何ら禁止されない。以上
(2359字、80行)

2 追記

 何が正解か、今もよくわかっていません。唯一わかるのは、何もわかっていないことを露呈したということです。事前準備していた論証貼っただけでした。というか民訴は一読してよくわからなくて、民法と商法も結構書いて(各80分ずつ使った)頑張ろうという作戦に出たら、残りはもう50分くらいしかないので、とりあえずよくわからんし、論証はっつけたろ!っていう判断でした。(今見てもほんとに全部論証貼ってるだけですね…)
 わからないですが、既判力をもっと丁寧に基準時、主観的範囲も含めて書いたらB〜Cくらいにはなったのかと思っています。当時は「生じる」と「及ぶ」の違いすらよくわかっていなかったので仕方ないとも言えます。

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