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スワミ・ヴィシュヌデヴァナンダ

スワミ・ヴィシュヌデヴァナンダは、スワミ・シヴァナンダの直弟子です。今現在、世界中で実践されているシヴァナンダ・ヨガのほとんどは、スワミ・ヴィシュヌが体系化して広めたといわれています。よく「シヴァナンダ・ヨガは、スワミ・シヴァナンダが作ったヨガですか?」と質問を受けます。確かに、スワミ・シヴァナンダご自身も弟子たちにハタヨガ(ポーズをとるヨガ)を教えてました。スワミ・ヴィシュヌはもともとハタヨガが得意でしたので、スワミ・シヴァナンダにその能力を買われ、インド・リシュケシュのシヴァナンダヨガ・フォレスト・アカデミーの教授に任命され世界中の人々にヨガを教えました。

ある日、スワミ・シヴァナンダが「行きなさい。人々が待っている。東洋を離れた多くの魂が、今生まれ変わって西洋にいる。行って、彼らの遠い記憶に埋もれた意識を目覚めさせ、ヨーガの道に引き戻しなさい。」とスワミ・ヴィシュヌデヴァナンダに言って、1957年にアメリカに遣わしました。スワミ・ヴィシュヌは北米をくまなくまわってヨガを教えながら、西洋人のライフスタイルを学びました。

1961年にカナダ・モントリオールで、シヴァナンダ・ヨガ・ヴェーダーンタ・センターを初めて開設しました。

1962年には、カナダ・ケベック州にシヴァナンダ・アーシュラムを開設(現在のSivananda Yoga Vedanta Centar 本部)しました。

1967年にはバハマにシヴァナンダヨガのアーシュラムを、それ以降はアメリカ・カリフォルニアにアーシュラムを、さらにニューヨークにもアーシュラムを開設しました。

1978年には南インド・ケララ州・ニヤーダムにシヴァナンダ・アーシュラムを開設し、さらにインド・ヒマラヤのウッタラカーシーにもアーシュラムを開設しました。

スワミ・ヴィシュヌデヴァナンダに関する逸話はいくつか残っています。もともとスワミ・ヴィシュヌは軍人としてキャリアを積んでいました。ある日、ごみ箱の中にあったスワミ・シヴァナンダの御言葉『1オンスの実践は、1トンの理論よりも価値がある』と書かれた紙切れを読んで、スワミ・ヴィシュヌはいたく感銘を受けました。

そして20歳の時に初めて、インド・ヒマラヤのリシュケシュのシヴァナンダ・アーシュラムに訪れました。物陰に隠れてスワミ・シヴァナンダの様子を見ていると、来訪者の多くがスワミ・シヴァナンダの御足にひれ伏していました。しかし、軍司令官としてのプライドがあったスワミ・ヴィシュヌは当時、誰にも頭を下げたくはなかったのです。しばらくしてから、スワミ・シヴァナンダがスワミ・ヴィシュヌに近づき、突然スワミ・ヴィシュヌの御足にひれ伏しました。これがスワミ・ヴィシュヌデヴァナンダが、スワミ・シヴァナンダから教わった最初の教え『謙虚』・『従順』の大切さでした。

スワミ・ヴィシュヌデヴァナンダが、バハマのアーシュラムで瞑想しているとき、人々が大きな火の玉を恐れて逃げまわっている光景を見ました。スワミ・ヴィシュヌはこの光景を最初は理解できませんでしたが、この啓示が実現しないよう平和を願って、True Worlde Order(TWO)を設立しました。将来の指導者や責任ある市民にヨガの規律を教える必要があると考えたからです。1人ひとりが愛と平和であることにより、まわりの人々に広げてながら、社会平和を実現していく。これがスワミ・ヴィシュヌデヴァナンダが目指したところです。

そうして、1969年に、シヴァナンダ・ヨガ・ティーチャー・トレーニング・コース(TTC)を始めたのです。TTCはただシヴァナンダヨガの講師を養成するものではありません。周りの人々を巻き込みながら、平和を伝えていくという使命を担っています。TTCの最初のイニシエーション(入校式)で、「シヴァナンダヨガの先生は、平和のメッセンジャーにならなければならない」と腹をくくらされます。そうして1ヶ月ものハードで厳しい訓練を受けるのです。

スワミ・ヴィシュヌデヴァナンダのTWO活動はほかには、北アイルランドや中東などの紛争地域に、自らの飛行機で操縦して赴き、現地の指導者や権力者と対面し平和を訴えました。そのため、スワミ・ヴィシュヌデヴァナンダは『空飛ぶスワミ』と呼ばれたのです。また、平和に関する会議やシンポジウムは毎年、シヴァナンダ・アーシュラムなどで開かれています。

1993年11月9日にインド・ウッタラカーシーにて、スワミ・ヴィシュヌデヴァナンダの魂は、アーシュラムのそばを流れる、ガンジス河に流され至高神と一体となりました。

『ヨガは年齢、性別、健康状態、宗教に関係なく、誰でも実践可能です。老いも若きも、病める人も健やかな人も、万人にメリットがある行法です。古代のヨーギ(ヨガを実践する人)は、「いかにして苦を逃れるか」、「いかにして死を克服するか」という2つの根源的な問いの答えを探求しました。そしてたどり着いた答えは、アーサナ(ポーズ)で肉体の苦を、プラーナヤーマ(呼吸法)で心の苦をコントロールすること、さらに瞑想を通して自分が誰なのか悟りを得ることでした。自分の名前や姿形を自分そのものだと思い込むあやまちから解放され、完全に肉体を超越し、永遠の真我を見出すことができるのです。つまり、ヨガは身体から入り、身体を超えるのです。ヨガは理屈ではなく、現実にどう生きるかということです。- スワミ・ヴィシュヌデヴァナンダ -』

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