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【入院日記3 2023年2月11日(土) 27日目】

 週末の病棟は落ち着く。新たな患者の出入りが少ないからだ。入れ替わりが少ない分落ち着いているように感じられる。1階に降りても外来患者は全くいない。病院としては人も少なく平和に感じるが絶対に平和というわけでもない。常に緊張とは隣り合わせ、それが病院だ。デイルームから外を見ると救急車が敷地に入ってくるのを何度となく見る

 今日は珍しく朝寝坊をしてしまった。起床時間前から向かいのジジイがガサゴソうるさいだけでなく、隣のオッサンも頑張って今朝は4時過ぎから独り言をブツブツ言うのでイヤフォンをつけて大音量で音楽を聴いているうちに寝てしまった。

 いつもよりも30分遅れの朝のルーティン開始。コンビニにコーヒーを買いに行き、デイルームで写経。朝の写経はもたついていると清掃の時間に入って落ち着かなくなる。それも週末は清掃が遅いためになんとか救われる。

 写経が終わって部屋に戻ると相変わらず隣のオッサンがうるさくて朝からちょっと廊下を歩く。贔屓目に見ても今日、隣のオッサンはいつになく絶好調。週末大サービスと言ったところだ。こいつは言葉にならない溜息みたいなものにでさえも声が伴う。こういう人の症状を何て言ったっけ、発声チックともうひとつ、トゥレット症候群か、(今調べてみた)まさにそれなんじゃないのかと思う。

だとしたら入っている病棟が違うんじゃないの。

 今は整形外科で入院しているけど、本当だったらここじゃないよな。この病院で言えばW5かE6 が妥当でとんだ病棟違いだと思う。しかもよりによってなぜ僕の隣なんだか。これが一番腑に落ちない。まったくついてないよと思いながらも今日もグッと堪える。しかもこのオッサンの手術は来週金曜らしくどんなに頑張っても僕が入院中には部屋から出て行かないだろうし。

 向かいのジジイもだいぶ慣れたと言いながら、今日は人のところに用事があってやって来るナースを捕まえては用事を言いつけていた。一時期大人しくなっていたのに悪いクセがまた出てきた。これをされると順番が後回しになり、最悪忘れられてしまう事もある。これはブツクサうるさい独り言のように我慢するのではなく師長にやっぱり言った方が良いのかも。

 と言うことで今日もまた自分勝手なクズ患者どもがやりたい放題やってそれに耐えきれず病室には極力いないように努力をするのだった。とは言ってもウォーキングはまだW5にいた頃のようには歩けないし、デイルームは週末だから良いものの平日は座る場所もなくなるくらいの盛況ぶりだし。

 今日は妻がわんこの散歩の途中で近くまでやって来てくれた。妻が散歩できるのが週末だけ、先週は手術で動くこともできなかったのでわんこを直に見るのも久しぶりだ。本当はSkypeなどで話がしたいが妻があからさまに嫌がるので仕方なく我慢をしている。そういえば今日はラーレのうちの子記念日。祝ってあげることもできず申し訳ない。退院したらちょっと遅いけど大事な日なのでお祝いしたい。

 ほんのつかの間のわんことの再会を終えるとまた部屋と廊下とデイルームと落ち着いた居場所のない時間を過ごす。同室患者がクズでなければこんなことしなくてもいいんだけど。そう思うと悔しくてならない。

 そういえば昨日の「3人目」で書いた大阪おじさんは日中はいるのかいないのかわからないくらい大人しく、ナースに運動したらと言われるくらいだった。どのような病気なのかは知らないが、向かいにあんなブツクサうるさい奴がいて、隣のジジイも常にガタゴトとうるさく、自分の世話に来たナースが自分の世話の途中なのに呼び出されたりしてイラッと来ないのだろうか。だとしたら相当悟りを開いた人なのかも知れない。とは言いながらもやっぱり消灯時間を守らないのだからクズには変わらない。なんだって今回の入院でも同室患者は自分以外全員クズなんだか。

 今日は午前中に抜糸が行われる予定だった。しかし担当ドクターがまだちょっと出血があるけどどうしますかねと迷っていたので主治医の性格を考えて今日は見送りにしてくださいと抜糸は見送りにしてもらった。見送りで抜糸はなし→シャワーもナシなのだが今回はこういったところ特に慎重にやってもらっている。ほんのちょっと残した糸のせいで今日はシャワーを断念することになったが、明日こそはシャワーに入りたい。

 結局問題のない場所は抜糸をし、完全な状態の一歩手前でもう一日過ごすこととなった。しかし手術からもう9日が過ぎたと思うと先の教育入院の時と同じで日の過ぎるのがやたらと速く感じる

 余談だが同室のジジイは僕より先に抜糸も終わったので明日にでも退院してもらいたい。隣のオッサンの手術が先程も書いたが来週金曜日。という事は来週木曜日に移動だ。木曜と言わずに明日にでも移動してもらいたい。できたらE6(それは無理だが)。そして大阪おじさんはかわいそうだが最低あと1ヶ月は入院が続く。もう一つ、初日に人の隣で音立ててモノ食っていたバカは今日退院したみたいだ。今日ってのもおかしいが、いなくなってくれて安心。こいつはタダのバカなだけでなく、だんだん元気になり車椅子で暴走する様にまでなり、僕も何度かヒヤッとしたことがある。車椅子患者はどうして元気になると暴走したがるのだろう。

 コイツもいなくなればもう一生会うこともない。バカはバカらしく自分の居場所にとっとと去ってくれればそれでいい。(前回の退院の時の大敵だった「屁こき太郎」はその後病院内で外来として再会して思いっきり気分が悪かった思い出があるが。)

 同部屋患者のスケジュールを見ると明日退院してもらいたいジジイはわからないが一番先に抜けるのは僕のようだ。それが一番いい。その日が待ち遠しい。あと何回寝ればその日が来るだろうか。それまではじっと待ちながら身体を徐々に動かせるようにしておきたい。退院してどのくらい杖が必要なのか、ヘルプマークを付けて外出しければならないか。まだまだ先のこといろいろと考えないといけない。しかしそれらのことはこれからのこと。明日のことは明日が考えればよいとは聖書の名言。今は同室のクズ患者どうしてくれようか、どう報復するか、対してどう対処するか考えるべきなのかも知れない。

 最後に言い訳じみた事を書くが、自分自身入院して心穏やかにはなれず。そんな状況下で書いた日記はやはりストレスがそのまま文章に叩きつけられているようにも見える。特に同室患者に対する辛辣な表現など。「クズ」は言い過ぎかとも思われだろう。しかしやっぱりクズはクズだ。ただし患者としてクズなのであり、他の部分まで否定するつもりはない(「モノ食うバカ」は除く、あれはバカ故に病室でも平気でモノを食う行為ができるからだ。)人間のクズとまで言うつもりはない■

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