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その後の日記(4)
退院して早半月。これまでに2回の外来診察を経ているが状況はほぼ変わらず、血液検査でいくつか数値が悪くなっている部分もあったりと油断はできない。腰痛もそのまま、むしろ毎朝腰痛に苦しむ日々を送っている。ただ日中には薬の効き具合では外に出られるくらいに穏やかな時もあれば、今日などは午後は横になっていても腰が痛いなんて事もあった。もともと今日は午前中から通院で散々に腰に負担を与えてしまってはいたが。
正直言って入院中にすっかりCOVID-19については油断をしていたように思える。病棟という特別な環境下、病室を出るときはマスク着用が義務づけられては居るが、病室ではマスクをほとんどつけてなかった。そんなこともあってマスクは出かける時につける、それ以外はつけない生活習慣が身についてしまっていたし、手洗いにしても至るところに消毒液があるので手荒いをする習慣はすっかり無くなってしまった。もう一つには手洗いをする姿勢が腰に多大な負担をかけるのでできるだけ消毒液で片付けてしまった感じでもある。そんなわけでもないだろうが、入院中はCOVID-19に対してかなり油断をしていたように思える。
それが退院したらどうだろう、事態は全く変わっていないで寧ろ悪くなっているようにさえ思えた。入院中はテレビをほとんど見なかったので感染者の状況なんてものはラジオでちょっと聞く程度だったし、GoToキャンペーンのニュースなども耳にするのでてっきりCOVID-19の第2波は収束傾向にあったものだとばかり思っていた。ただ手術後数日救急病棟に居たときにはICUの情報も耳にしていて(看護師が喋ってばかりいるので情報はかなり入ってきた)それによればICUでも数人COVID-19陽性者がいて、今後病棟にも割り当て分が設けられるのではないかという話を耳にした。しかし自分が一般病棟に戻るとそんな話はどこ吹く風で、一般病棟の整形外科、呼吸器外科の患者が入れ替わり立ち替わりの日々を送っていた。
それから間もなく戸塚区の病院でクラスターが発生したというニュースを知る。戸塚区の病院は自分が入院していた横浜医療センターをトップとし、いくつかの総合病院があり、さらに地域の町医者がある。そんなどこにでもありそうなヒエラルキーが存在していた。他所と違うのは横浜医療センターが戸塚区のみならず、他の区や隣接する藤沢市も受け入れている。入院患者もある程度のレベルに達するとこうした他の総合病院やリハビリ専用病院へと転院するか、僕のように家が近ければ自宅療養にしてとにかく病床数とある程度は確保している。
で、話はそんなヒエラルキーではないのだが、僕が8月に救急車に乗せられたときは専門医がたまたま医療センターにしか居なかったのでそこに運ばれたが、その前にも何度か通っては腰痛を訴えていたにもかかわらず的確な診断が下されなかったことから他の病院を希望していた。結局希望をしていた病院はその日担当の専門医師がいなかったので行くことができなかったのだが、その病院こそがクラスターを発生させた病院だった。それまでの間も救急病棟や一般病棟に居たときに家に帰らずその病院へ転院するという患者を何人か見ていて、病院を出ながら行き先が他所の病院ってのはなんとも不憫なものだが、その行き先でクラスター発生したのではと思うとちょっと気の毒でならない。
結果としては良かったのかも知れないが、最初は医療センターに運ばれる事には多少の抵抗を感じていた。ただし医療センターの救急チームが僕の病気を的確に診断してくれたのでそれはそれで良かったとは思っている。また医療センターでなくて別の病院に運ばれていたらCOVID-19に感染していたかも知れない■