スマホ遍路日記(105:三十七番岩本寺〜三十八番金剛福寺 ⑯)
【2023年7月22日(土) Day 116】
四万十市を離れ今日は土佐清水市に入る。札所三十八番金剛福寺が足摺岬にあるのでいよいよ目的地と同じ市内に入ったことになる。
土佐清水市に入ったということは長い伊豆田トンネルを通過したということだ。
伊豆田は「いつた」とも「いずた」とも呼ばれる。かつては清水往還と呼ばれた中村と清水の間の道は難所として古くから知られた道。
かつては「伊豆田坂」と呼ばれる遍路道だったものがやがて車も通れる峠が出来上がり、その後「伊豆田隧道」という道路が整備される(旧道ということになるが現在は廃道だ)。この道はかなりの悪路で、バスの転落事故で5人の犠牲者が出てそれを題材にした映画も作られたことでも有名だ。このトンネル開通をもってしても中村と清水の往復には1日を要したらしい。
現在では伊豆田隧道は廃道となり巡礼路だった事や事故もあってか高知県屈指の心霊スポットになっているらしいが、その一方では使わなくなったトンネルを横目に最初からあった伊豆田坂を通る旧道好き遍路もいて、彼らからは最初にこの道を開通させた僧侶にあやかり「真念庵」ルートと呼ばれ今も通る人がいるらしい。
現在の伊豆田トンネルは遥か低い場所で山の中腹を突っ切るような感じで作られ、総延長は1.6kmもある。
弘法の時代にはなかったトンネルは流石の弘法でも経験し得ない新たな遍路の試練とも言える。その一方でバイクに乗ると夏場はとても涼しくて救われる気分になる。伊豆田トンネルは歩きの人にとっては少し恐怖を感じる道だがバイクや自転車で巡礼する人にとっては救いの道とも言える。
トンネルを越えた先の下の加江は昭和の大合併以前は下の加江町という独立した町だったが周辺の町村と合併して土佐清水市ができあがった。
下の加江には西の三原村との分かれ道もあり、金剛福寺を打ち終わるとここまで戻って来て三原村を通り、次の札所三十九番延光寺へと向かう「打ち戻り」の場所として特に歩き遍路の間では重要なポイントで遍路宿もある。この打ち戻りのルートが最短距離でもある■
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