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優しい連鎖

連日降り続いた雪に、重い腰をあげ、アパートの駐車場の雪寄せをするために家を出ました。

普段はあまり降らないからと、油断していた私は小さなスコップで膝まである雪を寄せていました。

そうしたら、向かいのお家のお爺さんが、
大変だよね、うちでは古くて使わないからあげるよ
と、プラスチックの雪かきをくれました。

ここに住んで4年になるけれど、1度も話したことのない方でした。
家の中から、私が奮闘しているのを見ていたのでしょう。

翌日、お礼に伺うと奥さまが出迎えてくださって、娘みたいに見えたのよ、と教えてくれました。

困ったときはお互い様よ。また何かあったら頼ってちょうだい。
そう、優しい言葉をかけて頂きました。


それまで、あまり関わりがなかった同じアパートの人たちにも、思い切って声をかけて、みんなで共有の雪かきにさせて頂きました。

各々が気づいたときに雪を寄せて、そうすると、すれ違ったときに雪寄せありがとうという会話が飛び交うようになりました。

老夫婦の優しさが、今度はアパートの住民同士の繋がりを生み、そして優しさと思いやりの輪を作ってくれました。


小さな優しさから始まった暖かい連鎖で感じた人と繋がることの安心感と心地良さは、きっとずっと私の中に残るのだと思います。
 

どんなに辛く苦しい中でも、この暖かさだけは変わらず大切にして、そして惜しげなくこの暖かさを私の周りのみんなに分けていきたいと思うのです。

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