サマルカンドの蚤の市でソヴィエトアンティーク探し Dalniy Lager Bazaar(ダルニーラーゲリバザール)訪問記
はじめに
かつてはティムール朝の首都が置かれ、「青の都」としても知られるサマルカンド。今回、サマルカンド郊外にあるダルニーラーゲリバザール(別名ハゾラバザール)を訪れました。こちらのバザールは地元の方たちが集う蚤の市で、毎週水、土、日に開催されています。主要な観光地から少し距離があることもあり、訪問した時観光客らしき姿は私たち以外見かけませんでした。
今回、旅行についての情報収集をする中で、JICAからの派遣でサマルカンドの観光案内所にて活動している伊藤さんの記事を読み興味を持ち、観光案内所のInstagramのDM経由でツアーを申し込みました。料金は2名参加で44ドルです。
バザールへ
サマルカンド旧市街からタクシーで20分ほどで、バザールに到着しました。入口には乗合タクシーが何台か止まっており、バザールへ向かう人々で賑わっています。入口付近では飲み物やお菓子、トウモロコシなどを販売したり、体重を1回2000スム(30円ほど)で測ってくれる女性がいました。このような体重測定サービスは、以前マレーシアやミャンマーの市場でも何度か見かけたため、市場では定番のサービスなのかもしれません。
日用品ゾーン
中に入ると取り扱う物ごとにゾーンが分かれており、左右に規則正しく店が並びます。その間でお菓子やパンを売っていることもありました。歩いていると観光客が珍しいのか声を掛けられることはありましたが、客引きの押しも強くなく平和な雰囲気でした。
入り口近くの衣料品コーナーを抜けると家電や工具を扱う店が立ち並びます。かなり年季の入ったものから比較的新しいスマートフォンまで雑多に売っており、道端ではおじさん達がテーブルゲームに興じたりおしゃべりしていたりとのんびりとした時間が流れています。
バザール内のアンティークを扱うお店は、この家電と工具を扱う一角にいくつかあるそうなのですが、残念ながら今回訪れたときは1軒しか開いておらず。お店を訪ねると古い工具や置物、チェス盤などありとあらゆる古いものが売られています。中には共産主義を感じさせる置物などもありました。
続いて食器を多く扱うお店に向かいます。店に入ると古食器が所狭しと店内を埋め尽くしていました。ソヴィエト時代の華やかで大柄な茶器ばかりで、目移りしてしまいます。100年以上前のものまでありました。ウズベキスタンでは文化財保護のため、50年以上前に制作された文化的価値の高いものの国外持ち出しは禁止になっていますので、購入の際は店主に持ち出し可能か聞いてから購入した方が良いかと思います。(店主曰く、古いものであっても大量に生産されたものであれば該当しないものもあるとのこと)
今回はアンティークの雑貨店でソヴィエトの香り漂うペン立てと、食器店
でアザミの花が描かれたティーポットのセットを購入しました。ペン立ては90000スム(約1100円)、ティーポットは受け皿とセットで200000スム(約2400円)でした。
食料品ゾーン
ひと通り雑貨を見た後は、食料品のコーナーに移動します。川魚や精肉類、日本ではなかなか見ることのできない牛の頭や臓物類などインパクトのある売り物が並んでいます。ウズベキスタンはイスラーム国家のため、当然豚肉は陳列されていません。においも少々きついので、苦手な方は避けた方が良いかもしれません。
青果コーナーでは、採れたての新鮮なものが山積みになっています。ガイドさん曰く、サマルカンド旧市街のシヨブバザールの方が鮮度が良いとのことでしたが、普段近所のスーパーマーケットで見かけるものとは比べ物にならないほど状態の良いものが多かったです。
その隣にはヨーグルトやチーズ、はちみつなどの売り場が並んでいます。並んでいるものはすべて手作り。売り場の合間を手押し車にサマルカンドの名物パン、ノンを詰め込んだ売り子が並んでいました。
屋外では家畜飼料のほか、生きた鶏やうさぎを販売する一角もありました。マレーシアの市場では、精肉店で生きたまま鶏を販売しており、注文するとその場で絞めて売ってくれる店などもありましたが、こちらでは生体販売のみとのこと。家で鶏卵用に飼育したり繫殖させたりするようです。バザールでは売り場面積が狭いこともあり小動物のみの取扱でしたが、近くの別のバザールでは羊や牛なども取引されているそうです。
家具ゾーン
ありとあらゆるものが売っているバザールでは、当然家具も多く販売されています。ウズベキスタンでは結婚の際に家財道具一式を購入するそうで、古いものから最新の流行のものまでさまざまな家具が売られていました。全体的に派手な柄の家具が多かったです。
家具を見て回っていると、手押し車でチャプチャフというパンを売り歩いているのを見つけました。お昼時だったこともあり、ふと周りを見回すと家具に座って店主たちがごはんを食べています。
試しに1つ買ってみます。1つ5000スム(約60円)でした。顔より大きな平べったいパンで、表面には白ゴマがついています。炭火で焼いているのか、香ばしく素朴な美味しいパンでした。
家具の運搬は、ソヴィエト時代から活躍しているであろう年季の入った車で行います。乗用車の上に箪笥をくくりつけ後ろの荷台にぎっちりと家具を詰め込むと、細い道を慎重に進みます。写真を撮影していると、「良い画を取らせてやれ!」と言わんばかりにその場にいたおじいさんが運転手に声をかけてくれました。
そして通りすがりに運転手はカメラに向かってにっこり笑ってくれました。見知らぬ異邦人である我々にも優しく接してくれ、大変ありがたかったです。このバザールはもちろんのこと、ウズベキスタン旅行中、積極的に話しかけてくれたり(言語は互いにあまり通じないのですが)親切にしてくれた方が多かったです。
おわりに
基本的にバザールでは英語でのコミュニケーションは不可能なため、買い物の際はガイドのAさんに翻訳をお願いして店主とコミュニケーションを取りました。また、サマルカンドの土産物店などではドルでの購入が可能なことが多いですがこちらは地元の蚤の市。支払いはウズベキスタンスムとなっておりますので、注意が必要です。ツアーとしては翻訳はもちろんのこと、ウズベキスタンの日常生活や市場で売られている物についての詳細も教えていただき、言語力も土地勘もない中で安心してバザールを巡ることができました。また、特に盛況なのは土日で、今回は日程の関係上水曜日に訪問したため、開いていないお店もいくつかありました。ですので、可能であれば土日に訪問した方が楽しめるかと思います。
郊外の蚤の市ということもありはじめは恐る恐るの散策でしたが、程よい活気とあらゆるアンティークな品物を見ることができ、観光地でないウズベキスタンの一面を覗くことができました。