同じ夢

遠く電車の揺れる
脊髄を渡る車輪 それは私の骨か
吐瀉物が口に帰って来る
声が口に戻る
まばたく声 明滅している 塞がれた声
溶けかけの襖   漏れてくる涙 おしろいの
ヴァイオリンを弾けないの彼
音は鳴るのに  誰でも
ねえ波、波、波、波 
黒の出ないボールペン 冷えたカツ 硬まった牛 また同じ夢
遠く電車の擦れる
もうどこにもいない
脊髄を渡る車輪 
人を乗せている
私の知らない人を乗せている
まだ知らない人
胃の中で吐瀉物が揺れている
車輪の振動に合わせ

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