日本人の人権の意識
世界人権宣言は誰しも学校で聞いたことがあるだろう。世界で初めて人権保障の目標や基準を制定したものだ。そして、そこに書かれている人々の平等、多様性、救済を受ける権利などの文言は所謂、一般常識なのではないかと思う。
そして、どこの国に行っても当たり前のこと。・・・当たり前のこと?
頭ではわかっていても、行動できているのかと言われたらどうなのだろう。
海外でよく見かける人種差別問題などが最初に思い浮かんだだろうか?心から人権を尊重しているのならウクライナ侵攻など起きないだろう。
しかし、その陰に隠れて日本もなかなかに酷いものである。
2021年ジェンダーギャップ指数、156か国中120位。
「経済」の順位は156か国中117位、「政治」の順位は156か国中147位。
GDP第3位の先進国(今ではそう言えるのか危うい)が、男女格差に注目してみると、下から数えた方が圧倒的に早いところに位置している事実。もちろん、G7の中では最下位。
アメリカやヨーロッパ諸国では性的マイノリティについて理解を深めているのに対し、男女間の格差の議論で止まっている日本。しかもトップに立つ人ほどそれを軽視しているイメージ強い(実際は違うかもしれないが)。
政治経済なんて言われてもイメージがつきにくいと言う人もいる。それならば、男女の賃金格差に注目していこう。
日本の男女賃金格差は大体25%(アメリカは17%)
極端な話、全く生年月日が同じで能力も同じ二人の男女がいたとしたら、性別が違うだけで女性は一生かかっても男性の生涯賃金の75%しか稼ぐことができないということだ。
なぜこんなにも格差があるのか。
もちろん結婚や出産、育児などのライフスタイルが関係している面もある。確かに、出産前後では男性よりも女性の方が仕事を休まざるを得ない場面に遭遇する割合が高いだろう。それは全世界共通の話だ。
しかし、日本特有の原因もある
「夫は外で働き、妻は家庭を守るべき」
正直、いつの時代の話よ。
しかし、近年どれだけ男性の育休取得が加速している等の対策が取られていても根底ではこの概念が邪魔をしているのではないかと思うことが多い。
実際、幼いころからバイアスのかかった刷り込みを無意識で受けている家庭は今でも多いのではないだろうか?
「女の子なんだから大学なんて行かないで、早く結婚しなさい!」など。
そしてまた、ひと昔前の「イクメン」なんてワードが代表的だろう(今も使っている所も沢山あるだろうけれど)。
【男性なのに】育児に参加していて偉いね。という話。
男性なのにとは何だ。自分の子供を自分が世話して褒められる環境とはなんだ。だからと言って女性が子供の世話をしていても、それは当たり前、取り上げてほめることではない。何を得意げに…と思ってしまうのは私だけだろうか。
さらに、これは全世界的な話だが、大きな災害が起こったとき(たくさんの死傷者が出てしまうようなとき)女性の死亡率は男性と比較するととても高いそうだ。これは、生命力などのどうにもできない不確定な要素だけではなく、単に優先順位をつけなければならないときに圧倒的に女性が後回しにされるということだ。
どれだけ時代が進んでも、人間の奥底にある差別的観点を変えることは難しいと思っている。
しかし、ESGのS(social)の目標として、世界的に大きく人権や差別的意識の撤廃を掲げていること。
その意味を、企業の適応や責任投資以前の問題として、今一度考えてみる価値はあるのではないかと思う。