播磨の祭礼:ひめじ別所駅前の毛獅子像
1. 獅子どころ播州
JR姫路別所駅の北側ロータリーに毛獅子のオブジェがあるので拝観しました。左右で、阿吽になっていました。
ロンドンのハムステッドの墓地でマルクスの石像を見て以来の強烈なインパクトでした。
大塩天満宮をはじめ周辺神社は、「獅子どころ播州」と呼ばれ、獅子舞の原点とも言われています。別所には、日吉神社氏子の別所西・東、大塩天満宮氏子の小林があります。
全国的に分布する獅子舞は大別して東日本の一人で舞うシシオドリに対して西日本では二人で舞うシシマイがあります。播州も二人で舞う獅子舞です。
2. 播磨の獅子舞の元祖
別所は播磨の獅子舞の元祖であり、伝承によれば、北は、約150年前に姫路市豊富町の金竹に伝わり、約120年前には市川町甘地に伝わり、一方、南は、鎌倉時代にはすでに大塩に伝わっていたとされます。南下のルートについては、山陽道に沿った別所・北宿村より小林村に伝わり、小林村から次の経路で伝わったとされます。
(雌獅子の舞)北脇ー西浜ー大塩宮西(中之丁・西之丁)
(雄獅子の舞)牛谷ー大塩宮東(宮本・東之丁)
別所や大塩の獅子舞の特色は、全身が黒か茶色の毛、胸が白色の毛で覆われた毛獅子です。これは古来のままの野獅子の生態を示しています。
別所町の獅子舞の道具は今も全て地元民による手造りであり、獅子頭は仕上がると8 kg重にもなります。
獅子舞は、祭りの際に観るのですが、言葉がなく、獅子舞やひょっとこの所作や衣装、あるいは和楽器の演奏から場面の状況や展開を理解しなければならず、言葉で理解することに慣れた現代人には、少し難しさも感じます。しかし、もしかすれば、昔の日本人にとってはこういった言葉の使わない演舞の方が理解しやすかったのかもしれません。
獅子もライオンという原型はあるものの、想像上の動物です。龍も獅子も播州の祭礼には関わりの深い神獣です。自分が獅子舞を見た限りの感想ですが、獅子には多面性があるということです。時には、綺麗な花の薫りに引き寄せられたり、鞠や蝶で操られたりと動物的なところがあり、時には、猿や里人と知恵比べをして打ち負かす聡明なところがあり、刀剣で人間と戦ったりと、色んな顔があります。
3. 毛獅子像(JRひめじ別所駅)
参考文献
姫路市史編集専門委員会(1992年)姫路市史 第15巻 上 別編 民俗編
別所西獅子舞(HP)