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音楽:キング・クリムゾン(3)

キング・クリムゾンのアルバムの中でマイベストは?と聞かれたら、ライブ版の「B’Boom」を挙げたいです。1994年8月6日〜16日にアルゼンチンのブエノスアイレスで行われた白熱のライブです。アルバム「Thrak」のレコーディング(1994年10月24日〜12月4日)に向けた最終仕上げを兼ねた聴衆の前で公式リハーサルとして位置づけられます。この時のKCは、ダブル・トリオと呼ばれる編成で、ギター、ドラム、ベース(スティックス)の3人のバンドが2組あるという意味で、ギター2人、ドラム2人、ベース2人が同時に曲を演奏します。ギターやベースなどはユニゾンでもなく、片方がリードでもう片方がバッキングというわけではありません。バッキングともソロとも言える、旋律あるいはリフが、付かず離れず演奏されます。一見シンプルなのですが、聴けば聴くほど複雑なのがわかります。エイドリアン・ブリューなんて、ボーカルも演りながらですので、人間技とは思えません。そんなプレイをライブ会場のサウンドボードについで、ほぼ一発録のものをリリースしたのが「B・ブーム」です。
ただし、2012年に発売されたKing Crimson Collector's Club No.47のDVD「ライヴ・イン・アルゼンチン1994」があるので、今となっては「B'Boom」の価値は低くなってしまいましたが。
KCほどのバンドとなると、時期ごとにコアなファンがいて、マニアックなコレクターもたくさんいるようです。しかも、ロバート・フリップが、きっちりと過去のライブ音源をコンスタントにリリースしてくれるわけですから、スタジオアルバムの数が少ない割に、公式だけでなく、コレクター向けボックスセット、アニバーサリーボックスセットを含めると、KCの音源は無数にあるように思えてきます。
ダブル・トリオ時代(第5期)のライブ音源は、代表的なものを挙げると、Vrooom (1994)、Thrak (1995)、B'Boom: Live in Argentina (1995)、Thrakattak (1996)、Live in Japan (1996)、Live in Mexico City (1999)、Vrooom Vrooom (2001)、Collectable King Crimsonのうち「2008 Vol. 3: Live At Shepherds Bush Empire – London, England, July 1, 1996」と「2010 Vol. 5: Live in Nakano Sun Plaza, Tokyo, October 5/6, 1995」があります。
僕はコレクターではないので、上記ダブルトリオ時代のものと、RedのLPのリマスター版とスティーヴン・ウィルソンリミックス版、太陽と戦慄のLP、ThrakのLP、他スタジオアルバム、ライブアルバムでCDリリースされたものくらいしか持っていません。それでも、膨大な音源数のように感じています。
いろいろ聴いて疲れてきたら、原点回帰という感じで、この「B'Boom」を聴き直して、当時の感動を思い出しています。

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