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1作品で3度のたのしみ

月に1回は映画館ヘ行くので、最新の話題作は割と見逃すことがない。今年は、Talk to me、ドッグマン、デューン砂の惑星PART2、オッペンハイマーを見ている。映画館のポイントが貯まって無料で1回鑑賞できますよ~という時に、「エゴイスト」をチョイスしています。2023年の2月のことです。
現在はアマゾンプライム等で有料配信されています。お金払って損はなし。
https://amzn.to/3K2bcIL

原作は故・高山真氏。

私自身はヘテロセクシャルなのかなと思っていますが、昔からLGBTQの人たちには、同志的な気持ちを抱くことが多くて、それは「自分は社会の中でマイノリティだ」という自覚があるからだと思います。

心が苦しくなった時、誰かに話を聞いてほしい時、電話をかけてしまうのはいつも大阪に住むゲイの友だちで、女心を理解してくれる上に男目線で教えてくれることも多々あり、何より阿吽の呼吸が心地よいのです。「え、その感覚分かってくれるの~」となることが多いので、ゲイだからというより彼と私の相性がいいのかもしれません。

彼によるとゲイ界隈ではマッチョが一番人気とのことなので、「エゴイスト」の鈴木亮平はハマリ役なのでしょう(かなり鍛えた体でした)。

この作品は監督がお若い方で、役者さんの演技はほぼアドリブでお願いしたと聞いています。コウヘイ(鈴木亮平)が激しく動揺するシーンがあるのですが、ものすごくリアルで観ているこちらまでドキドキしたのを覚えています。鈴木さんの演技力は迫真に迫るものがあり、凄かったです。直近の「シティハンター」も評価が高いようなので、マンガも原作も知らないけれど、観てみるつもりです。

で、この作品では宮沢氷魚くんの存在がかなり光っていました。ネタバレるので多くは語れませんが、淡く刹那感たっぷりのRyutaは、氷魚くんがピッタリ。

たとえば自分がコウヘイに片思いをしているとして、コウヘイの意中の人はRyutaだとわかったら、どんな手を使っても「うわ、こりゃ勝ち目ないわ」となる存在なのがRyutaです笑。あんなに無邪気にひたむきで美しかったら、絶対に勝てない勝てない。

さて何を長々と書いているかというと、現在Audibleで「エゴイスト」を聴いています。朗読は林祐人さんという方で声色の使い方がとても絶妙。コウヘイとRyutaの会話部分では、鈴木亮平と宮沢氷魚が目の前に浮かぶという現象を今回経験しました。

村上春樹の「騎士団長殺し」の朗読は高橋一生さんで、魅惑の免色さんの朗読には惚れ惚れしたものです。具体的な顔のない雰囲気だけの免色さんが私のなかでは定着したのも、朗読効果(高橋一生さんの朗読は素晴らしい)だと思います。

春樹さんの小説の場合は、文章の端々が美しいので、読み返したいばかりにキンドルで小説を買い直しました。

今回のエゴイストでは、映画→Audible→原作という流れをたどっているので、受け手としては1作品で3つの楽しみ方があるわけで、作家サイドからは収益が3倍になるはず。文化が割と低く見られがちな日本では、これはうれしいことだと思います。

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