エアロフォン Roland AE-10のバイオリン音源の演奏に関して気を付けている3つのこと(2024.01)
ららぴっちです。
和楽器バンドが無期限活動停止になる発表を聞いて、なんかなんとなく今の自分の音楽に対する向き合い方を(後の自分のために)まとめておこうと思って、執筆しました。
先に言っておきますと、ららぴっちは2021年10月1日にRoland - Aerophone AE-10という電子吹奏楽器(ウインドシンセサイザー)を購入するまでは、幼少期に初歩的なピアノ、大学のときにDTMを少し齧ったくらいで、とくにちゃんとした楽器演奏経験はないです。むしろ小学校・中学校のリコーダーに関していえば、「右手が上」という逆手持ちで慣れてしまったことで、AE-10のいわゆる普通のリコーダーの持ち方に直すための矯正が大変だったので、マイナスからのスタートと言っていいかなと思います。
なので、執筆時点では演奏歴=AE-10歴、2年3か月の状態です。初心者ぺーぺーなのですが、路上ライブでは無告知でも結構な人数(日にもよりますが多い時で同時に30人くらい)の方に聴いてもらえてるので、人を感動させる演奏が少しできるようになってきたかなというところです。
普段VRChat等の路上ライブやイベント演奏で、このバイオリン音源をひたすら使い続けていますが、別に何かこだわって使っているわけではなくて、単にこの音源が好きだからというただ一点の理由のみです。
もっと良いバイオリン音源ないかなぁと上位機種(というかフラッグシップモデルですが))のAE-30を買ったこともありましたが、バイオリン音源だけでいえばAE-10のほうが結局好みだったので、手放しました。
前置きはこれくらいにして、2年3か月時点でこんなこと考えてるよーという大きな3つのことについて、内容を書きます。
1、「一撃必殺の音」を中心にして組み立てる
ららぴっちは、現在レパートリーが50曲ほどありますが、どの曲も全部、この音(おたまいっこ)一撃で感動させたいなぁっていう1音が必ずあります。
例えばレパートリーのうち、合唱曲「旅立ちの日に」だと、ラスサビ2回目の”未来信じて”の”て”の音。この音は原音より3度上げたアレンジをするのですが、つまりこの1音が最も心に響くような展開にしていくように、その前後の音、それから様々なバランスを考えて曲全体の演奏をつくっていくようにしています。
曲の解釈としては一般的には、最後の”大空に”の”大”がいちばん盛り上がるところだと思うんですが、ららぴっち的にはあそこはストンと静かに着地するためのランディング姿勢でしかないかなぁと思ってます。
なので、言い換えると、その一撃必殺の1音のためにいろんなものを犠牲にします。序盤でこう弾いたらもっと綺麗なのにみたいな部分も、我慢したりしています。そうやって組み立てるほうが、「ららぴっちの性癖」がいちばん曲に強くあらわれて、その1音が刺さった人が一発でららぴっちのファンになるからです。
ちなみにこの考え方は、20歳くらいのときにハインツ・ホリガーの来日公演を観にいったときにヨハン・クリスティアン・バッハのソナタ(何番か忘れた)で、穏やかな演奏の途中にコンマスが突然力を込めて”鳴らした”たった1音がものすごくぶっ刺さってしまって結局今も引きずっている経験からです。
ほら漫画とかでもあるじゃないですか、1台詞で涙腺崩壊させてくる恐ろしい組み立てするやつ。ああいうのに弱いんです。
2、ビブラートキャンセルと腹筋ビブラート
AE-10のバイオリン音源(以下、本音源)は、勝手にビブラート(強弱のビブラートであってピッチベンドではない)がかかります。けっこう綺麗にかかるんですけど、同じ周期で機械的にしかかからないので、ずっとかけてるとくどいです。
で、このビブラートなんですが、音を出してから少し時間をかけてかかりはじめます。図にすると以下のような感じ。
なので、とくに強いビブラートをかけたくないときは以下のように吹いています。
格ゲーのコンボっぽいので、ビブラートキャンセル、略してビブキャンと勝手に読んでいます。
他の楽器に関しては全然知らないんですけど、このビブキャンのタイミングをコントロールして、綺麗にビブラートが鳴ってほしいときだけビブラートがかかるように調整してみる試行錯誤をいつもライブ演奏中にしています。
あとは、腹筋でかけるタイプのビブラートですが、これは曲の終わりに”ゆっくりなビブラート”を疑似的に作り出すために(曲によっては)やります。
マウスピースのかみかみでコントロールするビブラートもあるんですけど、その機能はまだ使いこなせないのでオフにしています。
ビブキャンするとなんか格ゲーが上達した気分になってちょっと気持ちいいです。
なお格ゲーはとても苦手です。
3、1音ごとすべての音をブレスコントロールする(つもり)。
ららぴっちはトリルやモルデント、トレモロなどの装飾音が大好きです。ですが、装飾音の1音1音すべてを、息の強弱や装飾音の早さをどうするのかめちゃくちゃ意識しています。というのも、本音源は細かい装飾音ですら、息の強弱や打つ早さによって聴こえ方が全く異なるからです。
もちろん装飾音に限らず、1で話した一撃必殺の音のために色々な工夫をします。
なお、ららぴっちが音を出すときですが、出す瞬間ひとつとっても
A.タンギングをする/しない
B.舌でアタック音を出す/出さない *タンギングしつつアタック音を出さないことも可能です
C.アクセントをつける/つけない *アタック音とは別です
D.タイミングをずらす/ずらさない
E.装飾音を入れる/入れない
F.聞こえない程度の小さな音からのポルタメントをする/しない *音をゆらがせるため。
G.サムパッドでポルタメントをする/しない
の6種類を毎回瞬時に選んでます。
タイミングは前後あるし装飾音のバリエーションも現在5種類くらいあるので、2(A)×2(B)×2(C)×3(D)×5(E)×3(F)×2(G)=720通りほどを全ての音で組み合わせてつくっている感じになるんですね。4分音符4つも出せば2687億通りの演奏があるわけです。
まじかよ、ららぴっちすごいな。
いま記事書きながら自分でびっくりした。
でも意識的にそれくらいの弾き分けは確かにやってるのかもしれない。ただし、頭では考えていても指と舌と肺が全然追い付いていないので、「思ったとおりの1小節」が弾けることはあんまりないです。
なお、当然ですけど出した音をひっこめるときも単純計算で数百通りくらいはあるみたい(ビブキャンもあるし)なので、もはや1小節のなかに小銀河があります。1曲弾いたらパターン数が全宇宙の分子量超えそう。
音楽むずかしいよ。
とりあえず、2年3か月時点でららぴっちが気にしながら演奏していることは上記の通りです。
もっと根本的なところで壊滅的にテンポがとれてないんですけど、それは時間が解決すると思ってるのでちょっとしか気にしてません。
なお、音作りについてですが、本体音源だけでなくハードウェアエフェクターとして今はAfterneath ショートディレイリバーブ - EarthQuaker Devices を使って複雑なリバーブをかけてます。
ほかのエフェクターはあまりに沼が深そうなのでまだ手をだしていないです。
がんばれららぴっち。この音源、まだまだ沼は深いぞ・・・