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コンサル業界~コンサル全解明(2021/5 東洋経済)~

表題の雑誌を再度読み直し、コンサル業界について少しまとめてみました(一年前の雑誌ですが、基本的に現在と大きく異る感じではなさそう)。

コンサル業界の市場拡大

コンサル市場はDX需要の高まりで年々成長(コロナの影響で2020年度は市場減少)し、2024年度には1兆規模に到達予定です。
※最新の調査では、年平均7.8%の成長のため、もう少し早く1兆を迎える可能性もあるようです。

特に増加傾向なのは、デジタル関連のビジネスコンサル/ITコンサルで、デジタル以外のビジネスコンサルは若干縮小傾向、デジタル関連以外のITコンサルは2024年度にはほぼなくなっていそうです。
(デジタル関連以外のITコンサルって何を指しているのかイマイチわかりませんが汗)

採用についても、業界内からの転職もありつつ、異業種からの転職が70%以上にも登ります。

コンサル儲けのからくり

従来のコンサルは、依頼をうけコンペで受注、予算やメンバーを決定し、クライアント側の担当者へのヒアリングや市場調査をしながら仮説検証し、最終的な解決策を決定するのが一般的でした。

しかし近年は、解決策の提案後、実行支援まで行うケースが増えています。
かつてのコンサルで花形だった戦略系から、下流の業務まで一貫して携わる総合系コンサルが花形に移り変わってきています(顧客側に実行までを手掛けられるスキル/人材がいないため)

報酬形態の基本は単価×人数×期間のため、効率がいい稼ぎ方として、追加提案や仕様変更により、期間や人数の増加を図ったり、あとは単価は安いが給与も安いコンサルレベルを大量にアサインするケースもあるようです。

なお、上記のような報酬体系にも変化があり、成果報酬契約(契約時に評価指標を設定し、その達成度で報酬が変わる)への変化もあります。デロイトの代表も今後のトレンドにあげています。

また、合弁会社設立により、コンサル側も利益/リスクシェアするケースも増えています。特にアクセンチュア(以下AC)は先駆となり、ファーストリテイリングやKDDI,資生堂等と設立しています。目的の一つには、互いの社員を一緒に働かせ、デジタル人材を育成することもあげられています。

仁義なき陣取り合戦

ここ数年はACの勢いが強いです。戦略コンサル/ITシステム開発/間接業務のアウトソーシング/デジタルマーケやデザイン、の4部門が揃っており、一気通貫で対応可能なためです。

社員も2020年には16000人と、過去6年で3倍にも膨れ上がっています。

ACと真っ向からぶつかるのはBig4ですが、デロイト曰く「監査で培ったリレーションを強みに、最上流の戦略構想~開発まで世界的に対応する」とのことです。

より最上流派だった戦略コンサル(マッキンゼー等)も、DXコンサル組織を立ち上げ、下流へと進出しています。ただ、ACが役職や高給を餌に引き抜きをかけていることもあるようです。

所謂SIerのNTTデータ、富士通、NEC等も、実装力を強みとしながら、コンサル強化に動いています。NECはアビームコンサルティングを傘下にいれ、富士通もRidgelinezを設立。日本文化をしる人材が多いことが強みとも言われています。

ただ、コンサルが実行フェーズまで入ることで、「コンサル抜きではいられない」、「必要ないシステムまで提案される」といったデメリットが言われることもあり、それに対しACは「作業の9割をACが担わないと経営者のニーズに答えられない」と主張しています。

各コンサルトップが語る勝ち残り戦略

AC

6年前はデジタルが1%程度。デジタル領域の成長を見越して、日本国内で設計開発までできるように採用強化をしました(既存のITではオフショア開発主流)。

顧客の課題解決のためには、実行フェーズまで踏み入れることが必要です。戦略が80点でも成果が10点では意味がないからです。そのためベンダーに外注せず、自前で全部やれるようにしています。

利益率がそこまで高くない実行フェーズをやるのは、市場が伸びているためであり、自前でやればそれだけ儲かるから、という戦略ではないです。

ボストン・コンサルティング・グループ(BCG)

企業の経営層が抱える悩みの4割はデジタルが関わるため、デジタル分野にも進出しました。デジタルBCGという組織を立ち上げ、デジタル化の方向性設定やプロトタイプ作成まで行います。開発はITベンダーに投げることで、中立の立場から提案できます。

強みとしては最先端の方法を提案できることです。未来予測のシナリオ分析手法は日々進化していますが、世界中の先進事例/幅広い業界について知見をもっているため、最適な提案が可能です。

デロイトトーマツコンサルティング

顧客は戦略からIT実行までend to endの支援をもとめており、それをグローバルにできるのは、デロイトとACとBCGくらいです。システムの導入支援~運用保守までできる会社を買収し、実装力を高めました(デロイトトーマツアクト)。

また、デジタル技術とデータ活用をしたコンサルスタイルへの変革を狙っています。例えばAIツールのNapierに投資し、M&Aターゲット企業候補リストを作成し、コンサルはそのリストからどれが精度が高いかを見極めるようになりました。

売上の5%を研究開発にまわし、コンサル×テクノロジーの新しいサービス展開を進めています。

PwCコンサルティング

コロナ以降顧客は変化にいち早く対応するスピードを重視しています。そのため、机上の説明だけでなく、PoC等でスピーディーに提案内容を体験してもらい、早く意思決定できるようにアプローチを工夫しています。

顧客社員が何もわからないのはDXではないので、顧客とコンサルで作業領域を分けることが必要です。Web企業のサービスを用いれば、専門知識がなくてもデータ分析等はできるため、やり方を簡単に教え、顧客に実行してもらいます。

案件需要が増え、単純な採用では追いつかないため、海外人員の活用やAIでの代替が戦略の要になっていきます。

EYストラテジーアンドコンサルティング

上流から下流までカバーするが、Big4の中でも小規模かつ強みがない状況です。対応できるクライアント数は限られるため、すでにコンサルが多く入っている業種を強化して、自身や能力を高めていきます。

人員は2000人をこえ、増員スピードは比較しても早いほうですが、テクノロジー人材ばかりを採用しているわけではないです(他社のほうが人員多いため)。

戦略系とIT系では案件規模も違うため、稼ぐのはIT系です。となると戦略の有能な人がいづらくなるので、戦略や業務改革が収益の半分以上を占めるようにしていきます。

KPMGコンサルティング

経営コンサル(攻め)とリスクコンサル(守り)のうち、今は後者が重要視されています。大災害やコロナ等がおきたとき、いかに活動し続けられるかが顧客にとって重要です。

開発などは外部に頼みつつ、自治体や大学、大企業を巻き込んで変革リードのハブを目指します。過剰提案や売りやすいものを売るといったことは顧客のためにならないので、売上や規模はいたずらに追いません。

発足してまだ7年目で、急ごしらえで集まった組織のため、個人の実績よりも協力して顧客の成長を目指す文化形成を徹底してきました。コンサル各社のサービスはそこまで変わらないため、長期的には培った文化が差になると考えます。

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