湖のほとりで思い思いの過ごし方を。「湖畔の時間 2021」を開催しました
2021年11月13日(土)・14日(日)、白樺湖で野外イベント「湖畔の時間 2021」を開催しました。
「湖畔の時間」は今回で2回目のイベント。湖の価値やそこで過ごす時間の穏やかさを伝えたいと、白樺湖周辺で働き暮らす事業者たちを中心に、熱い想いをもったチームによって企画・運営されています。
初めての開催だった昨年は企画担当いわく「手作り感満載でした(笑)」とのことでしたが、今年は早くから動き出し、空間演出やコンテンツづくりに取り組んできました。天候にも恵まれ、両日ともにカラッとした秋晴れに。寒いけれどあたたかい空気の流れる11月中旬の湖畔で、思い思いの時間を過ごしていただくことができました。
2日間とも現地にいたプロジェクトメンバーが、当日のイベント会場の様子をレポートします。
帰ってきた!と思わせる、湖畔の時間らしい空間装飾
会場は昨年と同じ、白樺湖グランド。エントランスゲートをくぐると色とりどりの看板やアンティーク家具の装飾が出迎えてくれ、「帰ってきた!」という気持ちになりました。1年は早いですね……。
エントランス裏にも装飾が施されていました。雰囲気のある額縁や楽器たちがぎゅっと一箇所に並べられ、「湖畔の時間」らしさを早くも感じながら会場内へ。
感染対策も万全にして行われた今回のイベント。会場内は密にならないよう、広さに対する入場者数が考えられています。混みすぎず、ガラガラでもなく、心地よい混雑具合になっていました。長野県内と首都圏からのお客さんが多く、他にも愛知や岐阜、新潟、関西方面など、いろんな地域のナンバーの車が停まっていました!
新登場コンテンツとして、読書ができるスペースができていました。移動図書館の PARADISE BOOKS さんにお願いし、「湖畔の時間」らしい本を選書してもらったもの。
白樺湖での地域づくりで大切にしている価値観「HYGGE」の本もありました。
暖かいテントの中で、まるで家にいるように読書を楽しむことができる空間。会場内には自分で読みたい本を持参して、湖畔の空気を感じながらゆっくりと読み進める人の姿もあり、「読書」は新しい湖畔での過ごし方として定着しそうです。
ワークショップ、アウトドア体験、サウナやシーシャ。自由に過ごせるコンテンツ
会場中央ではにぎやかなアフリカンミュージックが演奏され、大人も子どもも一緒になって踊っていました!今年新たに設けた、クリエイティヴ・コミュニティ「Weeeee」監修のキッズエリアです。
演奏の横ではレザークラフト体験をやっていたり、おもちゃが売られていたり。子ども用のトランポリンは、1日中まわりに人が集まる大人気コンテンツ。
ビビッドカラーの独特なアイテムが並ぶ、ひときわにぎやかな一角でした。
反対サイドには、マクラメ編み、地域の木材でつくるクラフト箸、手づくり着火剤、白樺樹皮のコースターづくり、ポップコーンづくりなど、自然の中で体験できるワークショップのエリアが。
大人たちも真剣にクラフト体験。自分だけのアイテムを作ってお土産として持ち帰れるため、旅の思い出づくりにぴったりです。
「何を作ろうか?」と親子で悩んでみたり、飾られている作品を珍しそうに眺めてみたり。隣にはアパレルも出店していて、標高1,400mの白樺湖周辺はこの日とても寒かったので、その場ですぐ身に着けられるアイテムを手に入れた人もいたようです。
イベント会場をちょっと抜け出して体験できるのが、e-bikeやカヌーなどのアクティビティ。白樺湖近くでアクティビティガイドをやっている「八ヶ岳アドベンチャーツアーズ」が提供するもので、白樺湖エリアならではの自然をたっぷり楽しめると普段から人気のコンテンツです。
湖畔でサウナ、湖畔でシーシャなど、「湖畔の時間」ならではの体験も。都市部で経験したことがある人も、自然の中でやってみたい!ということで、昨年に引き続きこちらも人気コンテンツだったようです。
ホットワインにコーヒーに、キッチンカーによる地元のフード
お昼も近づいてくると、食べ物を持って歩く人の姿が……。
会場内には、長野に縁のあるキッチンカーが多数出店。おやつとして何個でも食べたくなってしまうガレットやポテト、がっつり食事系のラーメンやカレーなど、この地域ならではの味が揃っていました。食べ歩きもしやすいラインナップなのが嬉しい!
時間帯に関係なく、開場してから暗くなるまで、各キッチンカーにはお客さんが途絶えませんでした。寒い屋外イベントに温かいフードは必須ですね。
オフィシャルバーで提供していた「ノンアルホットワイン」も、ひっきりなしに買っていくお客さんが来ていました。長野のりんごやシナモンスティックが入った、身体の芯から温まるドリンクです。
会場内にはベンチやラグなど自由に座れるスポットがたくさん用意されていました。ノンアルホットワインとデザートガレットを買って、特等席を見つけてアーティストライブを鑑賞。
日が落ちてきて気温が下がると、みんな温かいドリンクが手放せないようで……。コーヒー、ホットワイン、カフェラテ、と飲み物のオーダーが止まりません。
いろいろと飲み続けていたら、こんなラテアートにも遭遇!細かいこだわりを見つけることができました。
湖上カヌー席で聴くアーティストライブ
そしてメインコンテンツのひとつが、アーティストライブです。今話題のグループからアップカミングなシンガーまで、今年は計8組の豪華アーティストが出演しました。
出演アーティストはこちら。
11月13日(土)出演:Caravan / THE CHARM PARK / tiny yawn / DJ:YonYon
11月14日(日)出演:Kan Sano / chilldspot / Sarah Furukawa / DJ:Eita Godo
「湖畔の時間」は昨年から、音楽フェスだけのイベントではないですよ、という伝え方をしてきました。ライブとライブの間に長いブレイクタイムを設け、その間に興味のあるコンテンツを楽しんだり、食事をしたりしてもらえるタイムテーブルになっているのです。
「聴きたいアーティストのライブが何時からあるから、それまでにこのワークショップに参加してみようよ!」
そんなふうに自然な流れで、心地よい「時間の過ごし方」を仲間や家族と相談しあうシーンが見られるのも、「湖畔の時間」ならではの魅力です。
アーティストライブは前列に立って聴いてもいいし、後ろのほうでゆったりくつろぎながら聴いてもいい。それぞれの心地よい席で聴いてほしい、と今年から新たに用意したのが、事前予約制の湖上カヌー席。ライブステージ横でカヌーに揺られながら音を楽しむのもまた格別です。
何もしない贅沢な時間
どのコンテンツも魅力たっぷりでしたが、「湖畔の時間」で何よりも贅沢な過ごし方は、実は「何もしない時間」なのかもしれません。ただ佇んでいる人、寝転んでいる人、本当にそれぞれの過ごし方が見られました。
会場内にはラグやクッション、チェアなどが点々と置かれ、自分だけの安らぎスポットを見つけられる空間づくりが考えられています。ラグに横になりゆっくりと読書したりするのも、普段はなかなかできない豊かな時間の過ごし方ですね。
「湖畔の時間」ではひとりで過ごしている人の姿も珍しくありません。友達と楽しみたいものが違ったときに分かれて行動している人もいれば、直前に決めて一人でふらっと来る人もいるようです。それぞれの時間を過ごして合流する楽しみ方も、ここでは“あり”です。
休憩や待ち合わせは、火の側で。会場内各所に設置された焚き火のまわりには人が集まり、居合わせた人同士でなにげない会話が始まることも。
夕暮れ時のシャボン玉と、ファイヤーショーと
夕日が会場に差し込む時間帯になってくると、朝から会場を舞っていたシャボン玉が、一層きらきらと輝いてきました。
はしゃいで追いかけ回す子どもたち、それを見守りながら焚き火を囲み暖を取るお父さんお母さんたち、おもむろにファイヤーショーをはじめる大人たち。「思い思いの時間を過ごしてほしい」「誰も置いていかないイベント」という「湖畔の時間」がずっと大切にする価値観が、そのまま表現されたような瞬間でした。
手がかじかむ寒さの中、アーティストライブも終盤に。後ろの山が夕日に照らされてピンク色に輝き、湖も冷たさを感じる深い色合いになってきました。ステージ前には人が集まり、熱気に包まれます。
いよいよ終わりが近づくと、対岸から盛大な花火が打ち上げられ、サプライズ花火に会場は驚きと感動に包まれながら盛大にフィナーレを迎えました。
夕方5時にイベントは終了しましたが、その後も会場はライトアップされ、幻想的な空間に。近くに宿泊されていくお客さんも多かったため、最後まで残った人たちが焚き火の側に続々と集まってきます。
ゆっくりと余韻を残しながら終わっていくのも、湖畔の時間らしい時間でした。
今回のイベントのために、9月頃からチームメンバーが白樺湖に出たり入ったりし準備を進めてきましたが、ギリギリまで調整し実現したコンテンツ、実現しなかったコンテンツ、その両方がありました。
昨年よりパワーアップしたとはいえ、今年も変わらず白樺湖を愛するチームがお客さん目線になって考え、手作りで進めてきたイベントです。準備期間中に企画担当者に「どんな人に来てほしいですか?」と聞くと、「誰にでも来てもらいたい」と即答で返ってきたのが印象的でした。
家族でも、友達同士でも、カップルでも。お子さんがいる人もいない人も。究極的には、一人来ても楽しめる。本当にそんな空間が実現していて、100人いれば100通りの過ごし方が見られたイベントでした。
白樺湖のこれからに向けて
白樺湖のチームでは、「イベントは湖で過ごす心地よさを知ってもらうためのきっかけにすぎない」と考えています。
「湖畔の時間」は地域内外の人にとって、「七夕みたいな日」になってほしい。この地域から出て行ってしまった人も、普段は遠くに住んでいる人も、年に1回この日だけは白樺湖に集まって、再会を喜び会いながら地元の良さを再確認する日。
実際この日、プロジェクトに関わる側の人やスタッフたちの間でも、昨年のイベント以来の嬉しい再会が見られました。単発のお祭りごとではなく、地域づくりの大きな流れの中でこのイベントが位置づけられているのだと感じます。訪れてくれる人たちにとっても、久しぶりの再会や新たな出会いの場となり、このエリアにまた帰ってきたいと思ってもらえるような機会となっていたら嬉しいです。
このイベントを通じて、地域内での関係づくりも少しずつ進み、然るべき人たちと話しながら皆で一緒に「新しいレイクリゾート」を作っていける基盤が整ってきました。これから白樺湖は、これからの時代に合ったレイクリゾートとして新たな歩みを進めていきます。今回イベントに来てくれた人も、残念ながら来られなかった人も、これからの白樺湖の動きにぜひ注目してみてください!