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9月のボラタイルな市場は、割高テック株ではなく、割安成長株に投資(ジュール・フィナンシャル)
9月は伝統的に厳しいマーケットの月とされ、取引初日となる昨日は、一部ディフェンシブセクターを除き、大きくセルオフされました。8月末にかけては、ダウやS&P500が最高値圏まで戻す中、下落からの回復が出遅れいるナスダックは、9月に突入して、その初日に更に大きく株価を下げることになりました。
この投稿は、ジュール・フィナンシャル社(Joule Financial)というファイナンシャル・アドバイザリー企業のクイント・タトロ氏へのインタビューを通して、現在の市場環境における彼の見解を紹介するものです。このSchwab Networkのインタビューでは、彼の視点から、NVIDIAを始めとするテクノロジー企業のバリュエーション評価と見解、また、今後のボラタイルな市場へのアプローチと彼の推奨する3銘柄(ONON、FSLR、NOW)が紹介されています。ご参照ください。
(1)インタビュー
[ニコール・ペタリデス](シュワブ・ネットワーク)
今日は、ジュール・フィナンシャルのマネージングディレクター、クイント・タトロさんにお越しいただいています。さて、9月の市場についてですが、9月は伝統的に厳しい月とされています。そして、現在テクノロジー株が3週間ぶりの安値にありますが、こういった中で何かチャンスはあるのでしょうか?
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[クイント・タトロ](ジュール・フィナンシャル)
チャンスはまだ来ていないと思いますが、近づいているとは感じています。ご指摘の通り、テクノロジー株の売りが始まったばかりだと考えており、真のチャンスが訪れる前に、もう少し厳しい状況が続くのではないかと思います。この時期は特に不安定で、多くの逆風や不確実性があります。これまで非常に強い上昇があった後ですので、利益確定が進んでもおかしくありませんし、ボラティリティが高まることも当然です。そして最終的には、これがチャンスを生むのではないかと思っています。上昇時に利益を確定させ、投資家が準備を整え、もし一部の資金を確保しているならば、今後チャンスが訪れると思います。
[ニコール・ペタリデス](シュワブ・ネットワーク)
そういう戦略ですね。具体的に、市場をどのように分析して、これがチャンスだとか、これは違うと判断しているのですか?
[クイント・タトロ](ジュール・フィナンシャル)
結局のところ、重要なのはバリュエーションだと思います。数週間前にお話ししたときも、テクノロジー株、特に「マグニフィセント・セブン」が一旦ピークに達したと感じていました。私たちは、ここで利益を確定し、様子を見るか、もし先回りしたいならば、もう少し安定した分野に資金を移すべきだと考えていました。私たちはバリュエーションを非常に重視しており、それは単に「安い」という意味だけではなく、成長が見込める企業であり、合理的な価格で取引されていることが重要です。そのため、私たちが注目する銘柄は、単に値下がりしているから低いマルチプルで取引されているというものではなく、成長のきっかけや将来的な価値の上昇が見込める銘柄です。これこそが、私たちが現在リストアップしている銘柄の特徴で、魅力的なバリュエーションを持ちながらも、将来的に強い成長が期待できる企業なのです。
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[ニコール・ペタリデス](シュワブ・ネットワーク)
わかりました。それでは、あなたの注目している銘柄、On Holdings、ファーストソーラー、そしてServiceNowについてお話ししましょう。
[クイント・タトロ](ジュール・フィナンシャル)
これら3つの企業が私たちのトップ銘柄です。さまざまなセクターを見渡してきましたが、On Holdingsについては以前もお話ししました。前回お会いしてから2,530%の上昇を見せましたが、それでもこの企業は市場シェアを拡大し続けると考えています。特に学校の新学期向けの買い物シーズンの数字は驚くほど良い結果になると思います。私の息子も一足欲しいと言っていたので、それは良い兆候だと思いますね。もし彼らが予想通りの成果を上げれば、今年の利益は140%増加する見込みです。現在の利益に基づく40倍のマルチプルに躊躇するかもしれませんが、この企業が市場シェアを拡大している成長は素晴らしいと考えています。この銘柄は「合理的な価格での成長株」として非常に魅力的です。さらに調整が入ればもっと良いですが、現時点でも十分に良い水準だと思います。
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次に興味深いのが、ファーストソーラーです。この銘柄は非常に割安でありながら成長している企業です。ただ、政治的な不確実性という逆風を受けています。ソーラー関連株は厳しい状況にありますが、ファーストソーラーはその中でも例外的に好調です。財務状況も非常に健全で、ほとんど負債がなく、まさに「テフロンのようなバランスシート」を持っています。将来の利益に基づくと、今の取引価格は10倍のマルチプルであり、今年の利益は75%、来年は55%の成長が見込まれています。仮にその予測通りにいかなくても、この銘柄は割安です。現在、52週の高値から売りが入っているのは、政治的な逆風や不確実性が影響しているためですが、私たちの見解では、これがこの企業の成長を止めることはありません。むしろ、株価が下がったときこそが、絶好の買い時だと考えています。
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次に注目しているのは、大型テクノロジー分野で新たなリーダーシップを発揮する可能性がある銘柄で、AIの次の段階を狙っています。最初の段階では、NVIDIAがチップを販売し、皆がそのチップを購入しましたが、今後はそれらをどう活用するかが焦点になります。ここで注目したいのが、ServiceNowです。この企業は「AIをビジネスに導入する」というテーマで非常に有利なポジションを確立しています。企業がAIを導入したいと考えたとき、まずServiceNowに連絡するでしょう。ビジネスモデルも非常にシンプルです。
もちろん、バリュエーションに関しては不安を抱くかもしれません。現在、株価は将来の利益の50倍で取引されており、成長率は27%にとどまっていますが、私たちはこの予測が非常に低く見積もられていると考えています。今後、企業がAIを導入していく中で、この会社が大きな役割を果たすと確信しています。その結果、これから先、これらの予測が上方修正され、利益が増加することが予想されます。後から振り返ると、この株が割安だったと感じるかもしれません。ServiceNowは、将来の新たなリーダーとして注目しており、今後何年も話題に上ることになると思います。
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[ニコール・ペタリデス](シュワブ・ネットワーク)
前回、NVIDIAなどについてもお話ししましたね。現在、NVIDIAの株価が110ドルを下回っていることについて、どうお考えですか?
[クイント・タトロ](ジュール・フィナンシャル)
私にとって、この銘柄は魅力的ではありません。130ドルの時も、最近100ドルに下がった時も興味が持てませんでした。数週間前に40%の大きな振れ幅があった際に底を拾おうとしたなら、それはそれで良いかもしれませんが、私は長期投資家なので、この銘柄を短期で取引するつもりはありません。正直に言うと、この銘柄は割安ではないと感じています。
前回の決算発表後の動きが示しているのは、業績は確かに目標通りでしたし、ガイダンスも引き上げましたが、それでも市場の期待には応えられず、株価が下がったという事実です。現在の水準では、さらに成長し続けることや、勢いを加速させることが求められていますが、私はその可能性をあまり感じていません。このサイクルは徐々に終わりを迎えつつあると思います。新たな競争相手も登場するでしょうし、今後はソフトウェア企業やAIを導入する企業が、その空白を埋める役割を果たすと見ています。
ですので、今後は、この銘柄は底を拾おうとする人たちの間で論争の的になるかもしれませんが、この銘柄は私にとっては魅力的ではなく、現時点では私は手を出しません。
[ニコール・ペタリデス](シュワブ・ネットワーク)
クイント・タトロさん、Joule Financialからお越しいただき、ありがとうございました。またお会いできるのを楽しみにしています。
(2)オリジナル・コンテンツ
オリジナル・コンテンツは、以下リンクからご覧になれます。
尚、本投稿の内容は、参考訳です。また、意訳や省略、情報を補足したコンテンツを含んでいます。
Schwab Networkより
(Original Published date : 2024/09/03 EST)
[出演]
Joule Financial
クイント・タトロ(Quint Tatro)
Schwab Network
ニコール・ペタリデス(Nicole Petallides)
以上です。
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だうじょん
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