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金利低下とドル安傾向を享受:2024年第4四半期のラリーを期待(モルガンスタンレー)


 今後の利下げが市場に与える影響について、モルガンスタンレー、シニア・ポートフォリオ・マネージャーのアンドリュー・スリモン氏に対して8月27日に実施されたインタビューの内容を紹介します。
 年末に向けてラリーが予想されていますが、決して浮かれたシナリオではないので、参考にさせてもらおうと思いました。

【主要なトピックス】
・金利4%を境としてMMFからリスク資産に資金流入する可能性
・既に金利低下を織り込んだ大型株以外の金利敏感銘柄への波及
・ドル安進行の恩恵を受ける銘柄への波及

・季節的に悪い9月に多くの好材料が短期的に織り込まれることの懸念
・企業の自社株買いに与える影響は、市場の不安定要素

・第4四半期にラリー期待。年末には、S&Pは6000に近づく
・市場調整の可能性は否定できないため要注意




(1)インタビュー

[アリス・スティール](Bloomberg)
 
年内の利下げの予測としては、75ベーシスポイントを見込んでいらっしゃるのか、それとも100ベーシスポイントを想定しているのか伺いたいです。また、その数値が実際に株式への配分にどのような影響を与えるのか、どう重要なのか教えていただけますか?

[アンドリュー・スリモン](Morgan Stanley)
 それが重要だと思う理由は、現在、莫大な資金がマネーマーケットに投資されているからです。MMFは昨年、最も急速に成長した資産となっています。このことは、金利が非常に高いことから理解は容易です。金利を引き下げるスピードがマネーマーケットの魅力をどんどん失わせ、それが市場を加速させる要因になる可能性があると考えています。例えば、来年の初めに金利が4%を下回るとすれば、それが市場を大きく動かす要因になるかもしれません。したがって、金利を引き下げるスピードが、マネーマーケットから資金がどれだけ早く流出するかに直結すると考えています。

[アリス・スティール](Bloomberg)
 なぜ、それが実際に起こると確信しているのでしょうか?お金がそのまま留まる可能性はないのでしょうか?

[アンドリュー・スリモン](Morgan Stanley)
 理由は2つあると思います。まず1つ目は、残念ながら投資家は過去の状況に基づいて投資の見解を持ちやすいということです。2022年の弱気市場がまだ記憶に新しいため、5%のマネーマーケットが魅力的に見えます。しかし、2023年は株式市場にとって良い年でしたし、2024年も同様に良い年となりそうです。その結果、株式のリターンがマネーマーケットを大きく上回るようになり、マネーマーケットの利回りも低下していきます。残念ながら、金利がそれほど魅力的でなくなると、より良いリターンを求めるのが人間の本能です。ですから、これは自然な流れであり、今年の終わりから来年の初めにかけて、そういった動きが起こるのではないかと考えています。

[ロメイン・ボスティック](Bloomberg)
 たしかに、金利が市場の予測どおりに大幅に下がれば、いずれその水準に達することは間違いないでしょう。しかし、その前に大きな問題があります。現在の経済状況や先の決算シーズンの結果を考慮すると、今の評価額で株式市場を積極的に受け入れようとする人がどれだけいるのか、という疑問がありますね。

[アンドリュー・スリモン](Morgan Stanley)
 そうですね、いくつかポイントがあります。まず、S&PはすでにFRBが金利を引き下げ始めることを織り込んでいると思います。そのため、S&Pのイコールウェイト指数や金利に敏感な株式銘柄、公益事業、REIT、小型株など、他の市場セクターへの資金の移動が見られているのだと思います。さらに、ドルが弱くなっていることで、国際市場が好調になる可能性もあるかもしれません。つまり、大型株は金利引き下げをすでに織り込んでいますが、他の株式市場のセクターについてはまだ十分に織り込まれていないのではないかと思います。

[ロメイン・ボスティック](Bloomberg)
 この金利サイクルが始まった数年前に皆が期待していた、いわゆるソフトランディングを私たちはまだ期待しているのでしょうか?それは今でも現実的な結果と言えるのでしょうか?

[アンドリュー・スリモン](Morgan Stanley)
 その通りだと思います。但し、多くの人がそれを予想していることに少し不安を感じます。私たちは急速に回復するV字型のラリーを経験しました。S&P500が5,670から5,100まで下がって、再び5,600まで回復しましたが、これらは、ソフトランディングが実現し、インフレが低下するという期待によるものです。しかし、その仮説が9月に試される可能性はあると思います。
 私が心配しているのは、株式の最大の買い手が企業の自社株買いであることです。この点があまり注目されていないように思います。企業は8月の市場が下落したときに非常に積極的に自社株を買い戻しましたが、第3四半期の決算が近づく9月後半には、株式を買い戻すことができなくなります。9月後半は季節的にも市場が悪い時期であり、そのタイミングでFRBが金利を引き下げ始めると、短期的に多くの好材料が織り込まれてしまうことが心配です。その上で、例えば、インフレ率が少し高く出たり、経済指標が少し弱くなったりすれば、市場が調整する可能性があります。

[アリス・スティール](Bloomberg)
 今回の調整は、8月初めに見られたような小さな揺らぎなのか、それとももっと深刻なものになるのか、あるいは単なる軽い一時的なものに過ぎないのでしょうか?

[アンドリュー・スリモン](Morgan Stanley)
 私は、第4四半期にはラリーが起こると考えています。年末には市場が6000に近づくと予想しています。企業の業績が弱いとは思っていないので、その見通しに自信があります。
 ここ数年、弱気市場への懸念を避けられたのは、来年に向けた収益予想の修正が続いていることが大きな要因です。今年の12月31日には、2025年の収益予測に基づいて価格が設定されることになりますが、現在、ボトムアップでは約279ドルとされています。これは企業からアナリストに示された数字であり、今年は279ドルが予測されていますが、トップダウンのウォール街の予測はもっと低く、260ドル前後です。昨年と同様に、多くのストラテジストが来年の収益見通しを引き上げざるを得なくなると予想しています。
 第4四半期は強い動きになると思いますが、5,100を再度試しに行く可能性はあるか、については、そうなったら驚きですが、その可能性も否定できません。大きな地震の後には余震が続くことが多いため、そのような動きが見られてもおかしくないと思っています。




<オリジナル・コンテンツ>

 オリジナル・コンテンツは、以下リンクからご覧になれます。
尚、本投稿の内容は、参考訳です。また、意訳や省略、情報を補足したコンテンツを含んでいます。

Bloomberg Televisionより
Original Published Data : 2024/08/27 EST

[出演者]
  Morgan Stanley
 Investment Management
    
アンドリュー・スリモン(Andrew Slimmon)
    Senior Portfolio Manager
  Bloomberg
    
ロメイン・ボスティック(Romaine Bostick)
    アリス・スティール(Alix Steel)


以上です。


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だうじょん


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