episode:5 特定非営利活動法人Lakeside Stories
Lakeside Storiesの横塚です。
私たちは、昨年から任意団体として活動してきましたが、
この度、2024年7月9日をもって、“特定非営利活動法人Lakeside Stories”を設立しました。
素敵なWEBサイトとロゴを掲げ、新たに出航します。
とっても長旅になりますが、皆様どうぞお付き合いください🖐️
1 Lakeside Storiesが実現したい未来
“トラウトフィッシングの聖地”奥日光中禅寺湖をアップデートしたい
雄大な自然に囲まれた日本最古の国立公園
“奥日光”
湖と流入河川に生息する国際色豊かな7種のトラウトたち
満点の星空の下でコーヒーを淹れ、ライズの音を聞きながら、夜明けを待ち、竿を振る
とても贅沢な時間。
でも、湖で起きている物事に目を向けると、ふと違和感を感じることがあります。
このフィールドは、本当に聖地と呼べるのだろうか。
地元漁師の先輩方からは、「昔は自由で豊かだった」と聞くけど、今はどうでしょうか。
僕は、釣りをしていて“気持ちよくないなぁ”と感じてしまう瞬間があります。
今の湖は、奥日光の釣り文化を築いた英国紳士たちが想い描いたフィールドになっているのかな。
僕も含め、みんな釣り場や環境のことを考えているつもりでも、
実は自分の利益を優先し、魚や自然に対して紳士的に向き合うことができていないのではないか。
聖地と呼ばれるこのフィールドが抱える課題は意外にもたくさんある。
逆に見れば、それらの課題を解決することで、もっともっと良い未来を創ることができるはず。
歴史ある釣り文化の継承や豊かな自然環境の保全等の活動を通じて、人と魚と自然のフェアな関係性を築き、持続可能なトラウトフィッシングの未来を創造することにより、奥日光の価値を高め、次世代に繋いでいく。
これが私たちLakeside Storiesの使命だと思っています。
2 団体名とロゴに託した想い
奥日光の歴史ある釣り文化や豊かな自然環境をより良いカタチで次世代に受け継ぐため、イマを生きる自分たちの行動で課題解決を図り、先人達が築いたストーリーを未来に繋げていく。
“2100年も鱒が棲み続けられる湖へ”
そんな想いを込めて、男体山をバックに美しい湖で鱒と出会える中禅寺湖らしいロゴができました。
鱒釣りの聖地は、魚が棲んでいなかった中禅寺湖に初めてイワナが放流された1873年から始まったストーリーであるため、「since 1873」をと表現させていただきます!
3 先人たちに想いを馳せた設立総会
奥日光の釣りの歴史の中でもひときわ異彩を放つ存在
“東京アングリング・エンド・カンツリー倶楽部”
大正14(1925)年
英国の実業家 ハンス・ハンター らによって結成された、鱒釣りを紳士的に行うことを目的とした国際的な社交クラブ。
皇族や各国の大使など錚々たるメンバーが名を連ね、千手ヶ浜周辺の西ノ湖、外山沢川、柳沢川等で、鱒の養殖事業やスポーツフィッシングが行われましたが、第二次世界大戦により解散を余儀なくされます。
彼らの夢は「奥日光を世界の鱒釣りの理想郷にする」こと。
もしも、あの時、戦争がなかったら、今ごろ奥日光はどんなフィールドになっていたんだろう。
想像しただけですごくワクワクする。
東京アングリング・エンド・カンツリー倶楽部の結成からおよそ100年が経った
令和6(2024)年5月
奥日光の鱒釣りの未来を想い、様々な立場や肩書きを持つメンバー10名が集い
彼らの拠点となった千手ヶ浜の柳沢川でLakeside Storiesを設立しました。
メンバー10名をざっくり紹介します。
・水産業・地球環境・暮らしを守るお役人4名
・奥日光のプロフェッショナル
・アウトドアフィッシャーマン
・釣りをこよなく愛するフォトグラファー
・世界を旅するフィッシングピーターパン
・GOOUT釣り部によく出てるおしゃれアングラー
・妄想生態学者兼造形作家
各国の要人で構成された東京アングリング・エンド・カンツリー倶楽部には劣るものの、なかなか個性的なメンバーが集まったこと、誇りに思います!
不思議なことにみんな何かしら繋がっていた同世代の釣り人が集う。
全てが必然であるかのように“縁はやおら形を成してゆく”
大切にしたいのは“多様性とコラボレーション”
立場や考え方の違いも“価値”と認め、ゼロからイチを生み出していく。
そして、先人達の想いも背負いながら、未来を創っていきたいと思います。
4 奥日光から日本のフィールドを変えていく
3つの活動
当団体では、描いた未来を実現するため、3つの活動に取り組んでいきます。
1 奥日光の釣り文化・生態系への理解促進
「フィールドを守り、受け継ぐ。漁協とともに」
正装を身にまとい釣りを嗜んだ英国紳士たち。川と湖に共存する国際色豊かな7種の鱒。トーマス・グラバーやハンス・ハンターをはじめ、奥日光には国を超えた人々と魚との交流が生まれ、鱒たちへの敬愛と、豊かな環境・恵みへの感謝から、紳士的な釣り文化が育まれてきました。それらを守り、受け継いできた中禅寺湖漁業協同組合の想いや活動への理解を深め、広く伝えていきます。
2 生物多様性の保全
「水の中の紅葉をいつまでも」
“中禅寺湖の紅葉は水の中から始まる”と称されるヒメマスの遡上。生息数の激減に伴い、漁師は漁に出られなくなり、観光客が天然ヒメマスを味わう機会もなくなりました。失われた原風景を復活させ、地域の笑顔と活力を取り戻したい。ヒメマスの資源回復に向け、流入河川での発眼卵放流や産卵環境の改善などを通じて、自然再生産を促進していきます。
3 自然環境の保全
「釣り人として果たすべき責任を」
釣り人にとって避けることができないルアーやフライの“根掛かり”。このまま残していいはずがない。湖底に沈むルアーやフライなどの根掛かりや一般ゴミを回収し、アウトドア製品等に作り替えるアップサイクルを通じて、持続的な湖沼環境づくりに取り組んでいきます。
これ以外にもたくさんの課題があるので、今後プロジェクトを増やしながら、取り組んでいきたいと思います。
奥日光が抱える課題は、この国の課題
ずっと先を見据えた大きな話。
私たちが、奥日光で解決したい課題は、全国各地の釣り場が抱える課題でもあります。
それぞれの釣り場管理は、漁協と行政が主役ですが、人材と資金不足が進行していて、やるべきコトに手を付けられない状態にあります。
釣り人から見て、「もっとああすれば、こうすれば」って思うこと、たくさんありませんか?
「漁協はやる気がない」とか、「金儲けするだけで何もやらない」って、話になりがちなんですけど、
やらないんじゃなくて、できないんです。
この国の川や湖が抱える最大の課題は、「釣り場管理の担い手をどう確保するか」。
近い将来、漁協や行政に加えて、釣り場を支える誰か “Third player” が求められる時代が必ずきます。
漁協・行政と“3番目の誰か”が連携し、より良い釣り場づくりが成功した時、自ずと釣りに関する法律や規則などの仕組みも変わっていくはずです。
(この国の釣りに関する仕組みについては、別の機会に紹介させてください。)
奥日光という小さな地域を舞台とした取組が、全国に波紋のように広がっていく。
そんな夢も見ています。
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