episode:3 グラバーの根掛かりを外せ
Lakeside Storiesの横塚です。
中禅寺湖解禁まで、あと1週間。
2024年はどんなシーズンになるか楽しみですね!
さて、突然ですが、みなさんは、根掛かりでルアーをロストした時、どんな気持ちになりますか?
僕は、少し前までは
・最悪。お気に入りのルアーが。
・高かったのに。。
・リーダー結び直すの面倒くせぇなぁ。。。
とか思っていました。
でも、ある日をきっかけに、考え方が変わりました。
今日は、中禅寺湖と根掛かりについて、向き合ってみます。
1 中禅寺湖とマイクロプラスチック
2016年の出来事。
僕は、研究業務の一環で、中禅寺湖の放射性物質汚染を調べるため、毎月、中禅寺湖の水を採水していました。
表層から水深160mまで、様々な層の水を採水します。
サーモクライン(水温躍層)より深い層の水には、プラスチックのような小さな破片が混じることがあります。
初めて見た時は、「これが噂のマイクロプラスチックか。でも、海のように大量にあるわけじゃないし、問題ないよね」と楽観視していました。
環境保全という分野は専門外ですが、この頃から少しずつ、中禅寺湖の環境を意識するようになります。
2 釣り糸の自然分解に600年!?
中禅寺湖で釣りをする上で、避けて通れない“根掛かり”
湖底の状況を把握できるようになるまで、相当数のルアーをロストしました。
根掛かりしないよう、釣り方を工夫する、根掛かりしても諦めずに外す、など自分なりに対処してきましたが、どうしても外せない場合があります。
ロストする度に悲しい想いをしてきたのですが、
その悲しさのベクトルは、いつしか“自分”から“湖”へと移り変わっていきました。
自分が無くしたスプーンやミノー、切れたラインは、湖の中でどうなっているのだろう。
湖や魚にとって、決して良い影響はないよね。
スプーンは金属だから錆びるけど、水質にどう影響するんだろう。
ミノーはプラスチックだから、どうなるんだ。
ラインは、ナイロンならすぐボロボロになるよね?PEは溶けそうもないな。
論文や研究報告を探しても、なかなか答えに辿り着けず、
“根掛かりはよくないけど、どうしようもないもの”で止まっていました。
しかし、2022年のある日、日本財団のインスタグラムを見て、考え方が一変しました。
https://www.instagram.com/p/Cf_IP0bPx1A/?igsh=MTB6dGVkMjZiNzN6bA==
いやぁ怖い。ただただ怖い。
ペットボトル450年(ミノーってこれに相当?)
釣り糸600年って、ナイロンでこれでしょ💦
ちょっと待ってよ。
中禅寺湖の釣りが始まったのが約150年前(1873年にイワナが放流されてから)。
鱒釣りの歴史を築いてきた、西洋人のトーマス・グラバーとかハンス・ハンターとか、先人たちの根掛かりは今も残ってるの?
今まで、僕が根掛かりしたルアーとラインは、今後数百年も残るの?
子供とか孫とかそういうレベルの話じゃない。
近年、中禅寺湖の釣り人数は増加傾向にあって、根掛かりも相当増えてるはず。
今後のことを考えると、本当に怖いな。
なんとかしなくちゃ。
3 湖の状況を把握しよう
まずはできることから、一歩ずつ。
湖の根掛かりの状況を把握して、対策を考えていきたいと思います。
まずはベーシックな方法で調査を進めていきます。
湖を一つの箱として考えた時に(ボックスモデル)
ルアーの収支(INとOUTの数)を把握して
ルアーの総量を推定し、将来の見通しを立てる
そして、対策の検討・実行に繋げていきます。
4 Lure & Fly lost survey
湖へのルアー・フライのINを調べたいと思います。
釣り人は、ルアーやフライを1日にどのくらいロストしているのか。
年間のロスト総数はどのくらいになるのか。
参考までに
琵琶湖では、約20年前に同様の調査を行い、年間約10トンのルアー等がロストしているという研究結果があるようです。
毎年10トンって怖いですね💦
そこで、調査を行うためのアンケートフォームを作成しました↓
https://forms.gle/aZa9KnyUrCSAYjeK6
いきなりですが
釣り人のみなさまにお願いです🙇
今年、中禅寺湖で釣りをする際に、ロスト数を報告していただけませんか?
信頼性の高い調査結果にするため
常連アングラーからビギナーアングラーまで、様々な情報を集め、実態を把握できると嬉しいです。
フォームへの回答作業は面倒です。
インセンティブはありません。
それでも、協力してくれるアングラーの方がいらっしゃいましたら、ぜひご協力をお願いいたします。
5 今後のアクション
ロスト数を調べた後は、どのようにして回収するかを検討する予定です。
日本中の海で清掃事業を展開する“Marine Sweeper(マリンスイーパー)”社と連携し、ダイバーによる根掛かりの回収とその効果を検証していきます。
その先は、回収物のアップサイクル。
スプーンやジグは、溶かした上で、別の価値ある金属製品に生まれ変わらせていく。
大量に回収されるであろうPEラインは、燃やしても温暖化を助長してしまうので、コイやフナの人工産卵場などに再利用できる道を模索していく。
“日光国立公園”中禅寺湖の環境保全に繋がる取組なので
環境省をはじめとする行政
中宮祠自治会や中禅寺湖漁業協同組合など地域の方々
そして、湖を愛してやまない釣り人のみなさまと
連携しながら、前に進んでいきたいと考えております。
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