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初めて作った日記ZINE「水辺の止まり木」

先日開催した写真展の作品の一つとして、日記ZINEを制作した。タイトルは「水辺の止まり木」。

小学校5年生の頃から15年間つけている手書きの日記から、海、川、湖など、水辺にまつわる思い出をピックアップし、当時撮影した写真を添えた、日記集であり写真集。

自分で描いたアルコールインクアートを表紙にした。
右奥の正方形のやつが原画。

昔から、泳げないのに水辺が好きだった。

中学のとき、友人と瀬戸内海を目指してひたすらチャリを漕いで辿り着いた、名もなき浜辺。

大学受験が終わった春休み、一人で旅した直島、豊島。

社会人になって、毎晩のように散歩に出かけては小声で歌を口ずさんで自分を励ました猪名川。

水辺は私にとって心を休める止まり木のような場所だから、このタイトルに。我ながら気に入ってる。

日記ZINEを作ると決めて、まずは15年分の日記を全て読み返すところから始まった。

水辺に関するエピソードにひとつひとつ付箋を貼り、Wordでひたすら文字起こし。当時の温度感を残すために、誤字脱字や、漢字で書けずにひらがなで書いた部分もそのまま文字に起こす。個人名を伏せたり、PC入力で再現できない特殊記号を消したりなどの最低限の修正を加えて、最終的に2万字ぐらいになった。

中2の私、平等院鳳凰堂が書けず「几」で妥協
(これもそのまま文字起こししました)

文字起こしをしたあとは、それぞれの日記を書いた日に撮影した写真を掘り起こす作業。日記を書き出したのも写真を撮るようになったのも同じ時期だったから、当時の写真は探せばあるはず……!ということで、PC内やAmazon Photo、Dropbox、外付けハードディスクなど、心当たりのある場所のデータを片っ端から見ていった。

2010年7月4日の写真がハードディスクから出てきて歓喜

仕事もあって冊子の制作が思うように進まず、入稿したのは写真展の一週間前。写真展前日の仕事終わりに印刷工場で受け取った。ギリギリ攻めすぎ。印刷会社さん、京都に工場置いてくれてありがとうございます。工場引き取りという最後の砦を用意してくださってありがとうございます。
受け取る時、受付の方に「急いでたんでめちゃくちゃ助かりましたありがとうございました(泣)」言うてもうたわ。そんなこと言う前にもっと早くから作れ。

受け取った帰り、工場の近くのなか卯で夜ご飯食べてたら、隣の席のやんちゃっぽい人が誰かと電話しながら「中学の時の方が恋愛上手かった気がする」と言ってた。そんなことあるんや。


このZINEは展示だけでなく、同じものを会場で販売した。自分の文章に値段をつける日が来ると思っていなかったし、どれだけの人が興味を持ってくれるんだろうと不安だったけど、会期中、目に止めてくださった方々の元へ旅立っていった。どんな言葉をかき集めても足りんぐらい嬉しい。ありがとうどころじゃないんよ本当に。ほぼ原価だけど、安くない金額をこの本に出してくださったこと、当たり前じゃない。

もう少しページ番号小さくても良かったかなとか反省点はありつつも、初めて作った自分のZINE。大事にしよう。

縁あって立ち寄ってくださった初めましての方がこの日記をとても褒めてくださってお迎えしてくれたのだけど、 なんと「サイン書いてもらえませんか?」と言ってくださって「!?」となった。生まれて初めてサイン書いた。めちゃくちゃ嬉しい。こんな素人のサインで良かったのだろうか……。


ここ数日、読んだ方から早速感想をいただいてて心がほかほかしてる。あの話が良かった、あの言葉が心に残ったと言ってくださると泣きそうになる。

私は誰かの止まり木のような存在になりたいとずっと思っていて、誰かを傷つけたり斜に構えて批判したりするためではなく、周りの人に寄り添い、息抜きの場所を作るために、表現という手段を使いたい。

この日記が、手に取ってくださった方の止まり木になれば嬉しい。

(12/8 下北沢の日記祭、1/19文フリ京都、3/2おかやまZINEスタジアムで販売予定です)

2024/12/12 追記:
通販始めました!よければぜひ。

写真展の話はこちら


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