「正直者はバカをみない」 Humankind から改めて自信をもらう

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週に3~4回本屋に足を運ぶ。
でも、本屋で本を買うことは、ほとんどない。
買うのは、もっぱらWeb経由(Amazon または ヨドバシカメラ)。

では、なぜ本屋に行くのか?
それは、発見があるから。
いわゆる「掘り出し物」と、たまに出逢う。
この本「Humankind」は、まさに「掘り出し物」。

いつものように何か面白そうな本がないかと物色していたところ、
副題にある「希望の歴史」というフレーズが目に飛び込んでくる。

その下には、「わたしの人間観を、一新してくれた本」という、ユヴァル・ノア・ハラリの推薦文。それをみて、すぐに上下巻を手に取り、レジへ。
上下巻を一気に読み終えた。

人文系の本は、人の暗い部分にフォーカスしているものが多い。橘玲さんなどは、どの代表例。それはそれで面白いのだけど、読み終えると、すっきりした気持ちにはなれない。シリアスな映画を見た後、じわーっと感じるモヤモヤ感みたいなものがある。

人間には暗い側面があることは認めるものの、私たちの生活がすべて暗いものではない。人を信じなければ、家族、学校、会社、社会、国家など、すべてのレベルで円滑に回っていかない。人が人を信じる「信頼」というものが、この世界の大部分を動かしている。だから、もっと人間というものを善いものとしてとらえたほうがよいのではないかと思い、「信頼」について、いろいろな角度で調べてきた。

「信頼」に関して、本質を表していて、も気に入っているフレーズがある。それは「正直者はバカをみない」という言葉。糸井重里さんが「ほぼ日刊イトイ新聞」を立ち上げたときに使った言葉だと思う。根拠になっているのは、山岸俊男先生の「信頼」に関する一連の研究。

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いまの社会では、「人を信頼するのはお人よし」と思われているふしがある。でも、実際には、私たちは困っている人がいれば親切にするし、親切な行いを見ると心が温まる(一部の人は、偽善と感じるようだが)。自分自身は、人間の善の部分をこの山岸先生の著作で知ることができ、自分の生活になるべく取り入れるようにしてきた(難しいけど)。

この「Humankind」の著者はオランダの方で、山岸先生とは何の接点もない。アプローチの仕方も全く違う(山岸先生は研究者なので、実験結果に基づくアプローチ。この著者のブレグマン氏はジャーナリスト的なアプローチ)。でも、結論は同じ。

「ほとんどの人は、本質的にかなり善良だ」

「信頼」に関しては、これまで山岸先生の考え方が大きな裏付けだったけど、この本がもうひとつの裏付けになった。本書では、世の中でよく知られている事件や実験結果を詳細にわたって再検証し、これまでの考え方が思い込みにすぎなかったことをわからせてくれる。これまで私が抱いてきた「人のポジティブな面に光を当てる」という考え方が、決して間違いではないといういことを、説得力のあるかたちで示してくれた。ありがとう。

優しい人、でもちょっとしたことで傷ついてしまう人におすすめします。
多くの普通の人たち(みんなホモ・パピー*の仲間、*可愛がられる種族の意味)に、これから生きていく方向を示してくれる本、自分に自信を持たせてくれる本です。

よい映画は私たちをスカッとさせてくれる。そして持続する。
この本を読み終えて二か月以上が立つけど、爽快感はまだ続いている。
たぶん、何度も読み返す。

#読書の秋2021 #Humankind


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