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読書感想文 2020

2020.02
『現代落語論』
-立川 談志-

私が落語にどっぷりハマるきっかけになったのが、立川談志さんの『芝浜』だった。ゆえに落語に関する本を読むなら談志さんのものから、というのは自分の中では自然なことだった。
この本はまず、落語とは、落語の面白さとは、といった解説から始まる。次に、落語家が真打(落語家の身分、低い順に前座→二枚目→真打となる)になるまでを談志さんご自身や周囲の方のエピソードを交えて説明されている。ここまでの内容については、落語に興味を持っていくつか噺を聞いてみた、というような人にとってはうってつけの入門本といえるだろう。
そしてここからは、寄席の現場の話、そしてこれからの落語の在り方に移っていく。談志さんの考えが色濃く出ているパートだ。これが『最後の落語論』に繋がっていく部分なのだと感じた。

ケチはケチ、泥棒は泥棒、キザな奴はキザな奴とそれぞれルールを持っていて、また、まわりも、それに徹しているものにたいして敬意を払っている楽しさが落語の世界にはある。これがまたいい。
『酢豆腐』という噺では、通人ぶった若旦那に寄ってたかって、くさった豆腐を食べさせる。やっと、ひと口たべた若旦那に"オイ、食べたよ。やったよ、偉いネ"と最後までキザをとおした若旦那をほめる豊さ。
(中略)
とこのイキな世界を『石けん』と新作に改作した人がいた。
やたら英語を使う若旦那が舶来のコトにたいへんくわしいという。
そこで洋菓子と称して「石けん」をたべさせる。これをたべたその若旦那にむかって、皆がはやし立てるのだ。
(中略)
そこには酢豆腐にみられる、どちらもその場で恥をかかせない思いやり、という豊かな会話のルールがない。
これが落語にはおおいに必要なんだし、これがあるから噺というのは楽しくなるんだとわたしは思う。

現代落語論

2020.03
『談志 最後の落語論』
-立川 談志-

続けて談志さんの落語論の本、こちらは晩年の談志さんが著されたものだけあって、私にとってはこちらの方が"立川談志"のイメージに近い。
特に大事なキーワードは「イリュージョン」であろう。
『現代落語論』のなかで、「粋」や「古典落語と現代」というテーマで語られていた内容がより煮詰められ、「イリュージョン」として説明されている。

2020.05
『世界からバナナがなくなるまえに: 食糧危機に立ち向かう科学者たち』
-ロブ・ダン、高橋 洋-

じゃがいも、カカオ、バナナなどのプランテーションが、害虫や細菌によって破壊された例を引き合いに、生態系の「コントロール」がいかに困難であるか、遺伝的多様性の保持がいかに重要であるかを解説している。

生命を愛するがゆえに、生物学者は生物学者なのである。だから彼らには、善玉生物、悪玉生物などという区別は存在しない。どの生物も、驚嘆すべき進化の作用の具体的な顕現なのだ。だがヘレンらにとっては、コナカイガラムシという生物だけは、掛け値なしの敵であり、それを食べる生物は、心強い味方に見えた。

世界からバナナがなくなるまえに

2020.06
『ユング心理学入門』
-河合 隼雄-

ユング心理学のなかで基礎となる言葉・概念の解説が丁寧に行われている。

われわれは無数に持っているコンプレックスを数えたて、欠点の多い自分を不必要に反省したりするよりは、その時に布置されてきたコンプレックスの現象をさけることなく生き、最初はネガティブにみえたもののなかに光を見出していく実際的な努力を積み重ねていくべきである。

ユング心理学入門

2020.07
『レガシーコードからの脱却―ソフトウェアの寿命を延ばし価値を高める9つのプラクティス』
-David Scott Bernstein、吉羽 龍太郎、永瀬 美穂、原田 騎郎、有野 雅士-

言わずとしれた名著。とにかくアジャイルで開発すればいいんだ、とはならないところがいい。

2020.09
『古都』
-川端 康成-

この作品を受けて、京都に杉を見に行った。なるほど、管理の行き届いた杉の美しさたるや。

2020.10
『雪国』
-川端 康成-

『古都』に引き続いて川端康成の作品を読もうということで、おそらくいちばん有名な本作品を選んだ。
日本語の日本語たる所以というか、曖昧であるがゆえの美しさ、みたいなものを感じた。それゆえ英訳がとても難しいという話が以下のサイトにて紹介されている。とてもおもしろいのでぜひ。

雪国と Snow Country

熊のように硬く厚い毛皮ならば、人間の官能はよほどちがったものであったにちがいない。人間は薄く滑らかな皮膚を愛し合っているのだ。

雪国

2020.11
『涼宮ハルヒの直観 』
-谷川 流、いとう のいぢ-

シリーズの前作から、約10年ぶりの続編。発売前から話題沸騰といった感じで、これを機に電子書籍に手を出した。

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