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メディカルイラストの必要性:論文紹介シリーズ第一弾

こんにちは!私、日本でメディカルイラストレーターとして活動しております、株式会社LAIMANのライアン杏莉です。

ここでは、メディカルイラストレーションという職業について私見も交えながらお話ししていこうと思います。

これまでには「メディカルイラストレーションとは」や「メディカルイラストレーションの様々な専門分野」などこの職業について様々なテーマについてお話しいたしました。

メディカルイラストレーターとして活動していると、「こんなニッチな業界があるんだ!」と驚きとともに興味を持ってくださる方が多くいらっしゃいます。同時に、「写真で十分じゃない?」や「文章を読めば良いのでは?」と、メディカルイラストレーションという職種の重要性がまだピンときていない方もいらっしゃいます。

そこで、今回はイラストがなぜ必要不可欠な存在なのか、研究論文を紹介しながら具体的に説明していきたいと思います。「メディカルイラストレーションは重要だと思うけど、理由はぼんやりしている」という方にとっても参考になれば幸いです。

さて、まずはなぜ情報を伝達する上でイラストが有効なのでしょう?文字だけではなく、絵や図を添えることによってどのように理解を助けるかお話ししていきたいと思います。

米国のRichard E. Mayer博士は、マルチメディアによる学習効果の研究の第一人者といっても過言ではありません。Mayerの1989の論文では、車の知識がほとんどない大学生34人をランダムに「活字のみ」(17人)または「図解」(17人)の二つのグループに分け、「ブレーキのメカニズム」についての資料を学ばせたところ、メカニズムの記述問題のテストで21%の差が開きました。

<実際に使用された図説>


<実際に使用された文字のみの説明>


また、絵や図は子どもの読解力に対しても効果的であると証明されています。2019年のアフリカ・ガボンのMounguengui博士は、7歳から9歳の子ども52人に対して「文字のみ」または「文字と挿絵」の童話を読ませたところ、童話の教訓への理解が16%高まったとされています。

やはり、「文字ばかりの説明文はわかりづらい」と体感される方は多くおられるかと思いますが、学術的に理解力を分析した場合も、イラストの効果は証明されているのです。

また、イラストの効果に関わる研究は、認知科学や心理学、教育学など幅広い分野で行われています。ブログ記事一つで到底網羅できる分野ではございませんので、こちらで紹介する論文はあくまでも氷山の一角であるとご理解ください。弊社コミュニケーションディレクターの有賀雅奈も、桜美林大学に在籍する研究者として、メディカルイラストの重要性を論理立てるためにとても大切な研究をしています。

さて、今回紹介させていただいた「メディカルイラストの必要性:論文紹介①」参考になりましたでしょうか? 次回のブログ記事では、今回お話しした「ビジュアルの重要性」を更に治療や医学教育という場面に絞って論文を紹介していきたいと思います。ぜひお楽しみに!

参考文献:
Mayer, R. E. (1989). Systematic thinking fostered by illustrations in scientific text. Journal of Educational Psychology, 81(2), 240-246. https://doi.org/10.1037/0022-0663.81.2.240
Mounguengui, F., & Ilouga, S. N. (2019). Illustration and text comprehension: Tales study for primary students. Journal of Educational and Developmental Psychology, 9(1), 90. https://doi.org/10.5539/jedp.v9n1p90

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