徒歩旅行記:出町柳→山海空温泉 (55km)
2020年9月中旬の晴れた日に、京都府左京区の出町柳駅前から大阪府能勢の山海空温泉までの55kmの道のりを歩く旅行をしました。所要時間は休憩も含め17時間ほどです。このnoteはその旅行記です。
山海空温泉について
山海空温泉は大阪の上の方、兵庫県との境目らへんにある温泉です。
温泉情報サイト源泉かけ流しどっとねっとによると、大阪府の中で源泉かけ流しの温泉はここを含め三件しかありません。アクセスの面では、山海空温泉は山エリアにある温泉としては最寄り駅までの距離が5kmと比較的近いです。
出町柳から50kmほど歩いた場所にある温泉を探していて、温泉に入った後に電車で帰れて都合がよいので、この山海空温泉を目的地に選びました。
道順と行程
出町柳を夜の10時に出発し、朝の10時に山海空温泉の開業時間に合わせて到着する予定でした。(歩くのがしんどくて結局5時間オーバーしました。)夜中に移動することで、体力温存を狙うつもりでした。
出町柳から山海空温泉へと向かう徒歩ルートは大きく2つあります。一つは国道9号から府道733号を経由するルート、つまり緯度を保ったまま山越えするルートです。(下図一番上の灰色のルート、11時間23分の方)
もう一つは、鴨川沿い、桂川沿いを高槻市まで南下し、そこから大阪府道46号を北西へ進むルートです。(下図青いルート)
直線距離で見ると前者の山越えルートのほうが近そうですが、道が曲がりくねっているためか実際の距離はほぼ変わらず、また京都府道733号は「腐道」として知られる激ヤバ道路であるため、真夜中に歩くのは命の危険を伴います。加えて、これは徒歩旅において重要なことですが、都会エリアを通過するルートでは道沿いのコンビニでトイレや飲料の補給ができますが、山エリアでは補給が期待できません。今回は安全性を重視し、後者の高槻市経由のルートを選びました。
行程について。googleマップの経路検索では徒歩移動時間11時間48分と書いてあったので、以下のようなガバガバな行程表を作りました。
22時:出町柳出発
(↕25km)
翌5時:高槻市を経由
(↕30km)
10時:山海空温泉着
(休憩を含め合計12時間)
結果、50km以上の徒歩旅は今回が初めてということもあり、立てた予定よりも到着が5時間遅れました。また、誘惑に負けて途中5km分路線バスに乗ってしましいました。敗因は
1,後半になるほど一度の休憩時間が長くなったこと
2,途中で修正不可能な道間違いをしてしまい、引返したこと
3,疲れによる精神的ダメージの蓄積
みたいなことだと思っています。
実際に歩いた道の様子、体調の変化など
【出町柳~高槻(深夜帯)】出町柳を22時に出発し、十条通(6km地点)で23時30分に休憩、大山崎インター前(17km地点)で2時30分に休憩しました。この頃までは一回の休憩時間は15分ほどで、歌ったり撮ったり、夜間労働者に思いを馳せるなど(下ツイート)、精神的な余裕がありました。
私は後足を内股にして歩く癖があり、このあたりから徐々に右膝に痛みを感じ始めました。高槻市まであと7キロほどの地点で精神的な辛さを感じるようになり、午前4時、精神的な限界を感じてマクドナルド171号高槻店(25km地点)で一時間ほど休憩しました。マクドナルドではハッピーセットを注文し、プリキュアの玩具を貰いました。以下この区間の図や写真を並べておきます。
図:出町柳からマクドナルド171号高槻店までの約25km。
図:高御産日を祀る神社。後で調べたら羽束師坐高御産日神社というらしい。長岡京らへん(13km地点)にある。
【高槻~忍頂寺(朝)】午前5時頃にマクドナルドを出発し、高槻市内を歩いていると夜が明けました。午前中に温泉へ到着するつもりでいたため、朝日を浴びて急ぎ足になりました。この頃は、歩くのが辛いという気持ちよりも、目的地へ到着しなければならないという気持ちが強かったです。高槻市街に入ってからはスマホで怪談ライブを聞きながら歩いていましたが、夜が明けて車通りが多くなったことで音を聞き取るのが困難になり、精神的にも何かを聞きながら歩ける状態ではなくなったため、聞くのをやめました。
7時半に府道46号茨木亀岡線に乗ろうとして、ここで道を間違えて時間・体力・気力を同時に吸われる圧倒的ミスを犯します。その原因となったのがセブンイレブン茨城桑名店(32km地点、下図)での休憩です。
セブンイレブン茨木桑原店は、青い点線で示された府道46号沿いにはなく、実際はその左側の細い道沿いにあるため、セブンイレブンに寄るためには予定していたルートを外れなければなりません。しかし、府道46号にはこの先山しかなく、ここが最後の補給ポイントなので寄る必要がありました。
ここで私は地図を見て、セブンイレブンに寄った後、そのまま北へ進めば、桑原ふれあい広場付近の交差点で府道46号に合流できると早とちりしてしまいます(上図上の方を参照)。しかし実際はここは交差点ではなく、高低差推定十メートル以上の立体交差だったのでした。
左図:地図上。交差点っぽい。、右図:実際
結局、分岐する地点まで戻り、府道46号を進むことにしました。道路が高架になっているのを下から見て、「もし歩道がなかった場合、この旅はここで終わってしまう」と心配しましたが、府道46号は高架部分にも広い歩道があり、地元の中学生やツーリングの人が自転車で行き交う良い道路でした。
【忍頂寺~妙見山(昼頃)】忍頂寺スポーツ公園で、テニスに励む中高生を横目に30分ほど休憩させてもらいました。忍頂寺スポーツ公園付近から脇道の林道に入ります。道の見た目があまりにもヤバかったため、スポーツ公園の職員の方にその道が通れるのか伺ったところ、分からないと仰っていました。
図:忍頂寺スポーツ公園の上にある三叉路が問題の場所。google mapが通れと言っている場所がヤバい道のほう。
結論から言えば通れましたが、すごい道でした(下図)。ここが通れない場合、徒歩での迂回路は実質無いに等しいので旅が終わってしまうところでした。
図の左側:やばい雰囲気を漂わせる道への入り口 図の右側:実際すごかった道。クモの巣が大量にある。
ヤバい道を出てすぐの所にバス停があったので、キツさに負けて乗ってしまいました。この周辺に希望が丘というニュータウンがありますが、全国的にも稀にみる過疎化で有名らしいです。
【妙見山~山海空温泉】
妙見山の山登りがキツかったです。妙見山付近に「野間の大ケヤキ」というクソデカい木があり、有名らしいです。木の周りでアイスコーヒーが飲める屋台があって、そこで1時間くらい休憩してしまいました。
山海空温泉は、歩いて疲れてたのもあって最高でした。温泉の味も美味しかったです。温泉をペットボトルに入れてもらって持って帰ったのですが、それで淹れたコーヒーの味は微妙でした。身体にはよさそう。
その日偶然、山海空温泉にとある居酒屋の店員と常連客からなる陽気な一行が訪れており、京都から歩いてきたことを言うと、ご親切にも温泉から石橋阪大前駅まで車で送っていただきました。ありがとうございます。
感想
・google mapを信じてはいけません。
・一人で歩くのは思いの外精神的にきつかったです。一人だと「がんばろう、また立って歩こう」という気持ちが起きにくくなり、一回の休憩時間が長くなります。