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2024年社会部振り返り

新聞社の社会部といっても、最近はどうもピンと来られていないときがある。自分は「共同通信社会部」「こちら大阪社会部」を読みふけった口だが、新聞を読む人が減って社会部という言葉自体を知らない若者も増えているのではないかなんて思ったりもする。2024年を振り返りながら、特に若者たちに社会部の仕事について知ってもらいたいと思う。

2024年の静岡県内の重大ニュースを編集局内の投票で選び、けさの朝刊に掲載された。10個の重大ニュースは次の通り。
・袴田さんの無罪判決
・川勝平太氏の辞職と鈴木康友知事の初当選
・南海トラフ臨時情報が初発表
・暑い夏。静岡市で初の40度
・衆院選、県内も野党躍進
・清水がJ2優勝、J1復帰。磐田はJ2降格
・サッカー長谷部誠さんが引退
・牧之原バス置き去り前園長に実刑判決
・パリ五輪・パラリンピックで県勢メダル
・静岡大学長が浜松医科大との大学再編白紙化を示唆

この10個のうち、社会部の担当は袴田さんの無罪判決、南海トラフ臨時情報、暑い夏、牧之原バス置き去り判決、静岡大と浜医大の大学再編の5つ。知事選や衆院選でも軟派企画といって社会面連載を担当する。スポーツ以外はほとんど社会部が絡んでいるといってよい(スポーツに絡むこともある)。これに加え、能登半島地震は社会部が中心の取材班を現地に4回派遣した。日本をゆっくり横切って大混乱を引き起こした台風10号も社会部の担当だ。今年は捜査本部事件もあった。捜本はまさに社会部のヤマである。

このほかに東日本大震災13年、熱海土石流3年、終戦79年なども社会部が中心となって企画、取材する。社会部は老練なベテラン記者とバリバリ働き盛りの中堅記者、若手記者がバランスよく配属されている。上記のような取材の合間に、展覧会や地域のイベントといった日々の街ネタを取材したり、所轄署を回ったりするのは若手記者の重要な仕事だ。

今年は正月から大変な年になりそうだという予感があったが(これは誰もがそう思っただろう)、大晦日のきょう振り返っても特に忙しかった気がする。特に日本の将来に大きな影が落ちたような1年だった。個人的に、「無敵の人」や意図せずトクリュウに加わってしまう若者などがこれからどんどん増えていくのではないかー、今の日本の凋落の原因をつくった政治家たちが自分たちの身を守るためにますます自分たちが有利な何かを企んでくるんじゃないかー、など、正直すごく不安の多い年越しを迎えている。

社会部長は何をしているかというと、(曲者ぞろいの?)記者たちの担務の割り当て、取材指揮、助言、原稿チェック、労務管理などが主な仕事だ。特に最近は一般論として法的対応が重要になってきているので、法務部門とのやり取りも多い。報道ヘリを飛ばす判断も社会部長が行う。充て職も多い。4つくらい外部の有識者委員みたいなのをやり、なんとかコンクールの審査員みたいな仕事もある。その合間に1面のコラムや社説も書いている。今年の1面コラムでテーマにした主なネタは次の通り。我ながら結構いろいろな切り口で書いたつもり。

・ネリー・ブライの80日間世界一周
・米ミシシッピ・フリー・プレスのトランプ批判
・炭焼きレストラン「さわやか」の哲学
・マッカーサーの「日本人は12歳の少年」発言の誤解
・経済史学者としての川勝平太
・原子力船「むつ」の混乱
・1933年の40.8度
・和田心臓移植と渡辺淳一さん
・3次元点群データと坂本龍馬
・サンタ追跡とフェイクニュース

忙しいが、その分、やりがいもある。それが社会部である。これを読んで、新聞記者をやってみたい、社会部で働いてみたい、インターンシップやってみたい、社内見学だけでもしてみたい、とちょっとでも思ってくれたそこの学生さん、ぜひコンタクトお待ちしてます。一緒に働きましょう!(ステマ)

※旧年中はお付き合いいただき、ありがとうございました。2025年もよろしくお願いいたします。


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